背脂という名の星屑と 店が決まらない。
星を散りばめたような華やかな劇場街には、飲食店はそれこそ星の数ほどあるはずだった。しかしどの店にも入れないまま次を探すことを繰り返し、かれこれ40分ほどが経過している。所轄署で情報提供や状況の整理を手伝っていた時間も含めれば、普段夕飯を摂る頃合いから3時間近くが経過していることになる。
「お腹、空いたなあ……」
大通り沿いをとぼとぼと歩きながら、ルークは肩を落とした。
オフィスに帰って自炊するか、食べて帰るか。警察署を出て、すっかり更けた夜空に悩んだ末に後者を選んで一通りさまよったが、劇場街の店はどこも美味しそうで、そしてそれに見合った値段設定だった。味とサービスは保証されているとは言え、この時間でのひとりの食事にどうにもそこまで支払う踏ん切りがつかないまま、決めかねたままふらふらとして時間を無駄にしてしまった。
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