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    an9_ct

    性癖の煮こごり倉庫

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    譲テツ
    一緒に暮らしてる世界線 日常話

    死水レターはずっと擦り続けたい

    #譲テツ

    おかえりなさい「ほんとにだらしないなぁ」
     
     依頼された仕事を久しぶりに受けたテツさんは、帰宅の挨拶もそこそこにバスルームへ向かった。
     ソファには無造作に放られた着慣れたジャケット。それをハンガーに掛けようとして、内ポケットが不自然に膨らんでいることに気づいた。
    「なんだろう」興味本位で指をいれ半分に折られた封筒を引っぱりだす。視界に入ったそれを見て鼓動が急に早くなった。
     経年のせいかくたびれている封筒は見覚えのあるものだった。
     アメリカへ発つ前にあの人の車に忍ばせた封筒。それをこのタイミングで見つけるとは思わなかった。
     人のものを勝手に見るのはルール違反だ。それが喩え気心知れた特別な関係になった相手でも。
     でも。
     十数年ぶりでなかの手紙を開く。
     自分で書いたものだから内容は知っている。
     
     開いた便せんに十数年前の自身の文字を認めた。
     気のせいか、文字の一部が少し掠れ滲んでいるように見えた。
     あの人への気持ちを何と綴れはよいのか解らず、ようやく書いた二行の想い。
     たった二行の文章を書くために何枚の便せんを無駄にしたか解らない。
     この言葉でちゃんと伝わるだろうか。
     それよりこの手紙を見つけてくれるのだろうか。
     見つけてくれたとして、無かったものとされないだろうか……。
     いろんな想像が頭のなかでぐるぐると廻って、それでも、と僅かな可能性に賭けた。
     
    「じょーすけ、晩メシどうする」
     
     あの人の声が僕の名前を呼ぶ。
     シャワーを終え濡れた髪をタオルで拭いながら、僕のいる場所へとやってくる。
     
     いま、あの人がいる日常がある。
     それだけで僕は。
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    an9_ct

    TRAININGテツと相棒の話
    テツなら相棒のために病院連れていって検査するでしょ…からくる内容 病院のモブ視点



    テツは界隈以外のひとからどんなふうな印象持たれたりするのかな、てのも考えて書いたらあれ?ちょい夢入ったかな?てなったので苦手な方は自衛よろしくです
    「ただいまー」
    休憩から戻ってきたら院内の空気がなんだか変だった。
    緊張から張り詰めたような、ピンとした……という例え、小説なんかで読んだことがある。あんな感じ。
    ヤバい患畜でも来たのかと同僚に目線を向けると、わたしの意を察してくれたのか、小さく顎で待合室を指された。
    どんだけヤバい人?それとも患畜なんだ?興味本位が勝ってそろりと顔を覗かせ、そして納得した。
    いつもはいろんな動物の鳴き声や物音、飼い主さんの気持ちが落ち着かない空気、そういうのが漂ってある意味混沌としている待合室が、何の音もなく、しん、としている。
    いや、なんの音もないは言いすぎた。多少は物音だってあるけど、それは居心地悪くて身動ぎする動物たちであったり飼い主さんたちであったり。いつもふんぞり返って偉そうに三人分のソファスペース使ってるあの飼い主さんも、今日はキャリーケースを膝のうえに抱き、足を閉じて小さく一人分のスペースに納まっていた。なんだ、やればできんじゃない。ちょっと面白くなって声をころして笑ってしまった。
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