【GAIA】六章 幕話〈或る村人の追憶〉 本筋とは関係のない話です。
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当時の僕はまだ幼くて、 何もわかっていなかった。
覚えている記憶もほとんどが朧気だけれど、あの時の記憶だけは今でも鮮明に、昨日のことのようにはっきりと思い出せる。
村の外からやってきた、 知らない女の子。
黄昏色の髪と瞳を持った可愛い女の子。
誰とも違うあの子に、僕は一目で恋に落ちた。
それが僕の初恋だった。
あの子は村の皆から忌み嫌われていた。
村の外、一度足を踏み入れたら二度と帰れない不気味な森に、あの子は住んでいるらしい。
魔物が巣食う場所で暮らしている人間はまともじゃないと、災厄を呼び招くと、皆は口を揃えて言う。
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