ラストバトルでお披露目予定　まさか勇者が序盤からレベリング本気勢だったとは。一応そういう仕事なのではじまりのむら勤務の自分達は連日彼に襲いかかっては負けているけどもう普通にしんどい。スライムなんか逃げても絶対追いかけられている。何でかきいたら「経験値がおいしいから以外別に理由なんて無いけど？」と剣振り回されたので二度と勇者へ質問はしない。痛かった。
「確かに彼、もう三つ目のダンジョンくらいなら無傷で踏破出来そうだよね。こっちとしてもどんどん進んでほしいんだけど。 どうしようかな」
　筆記具をしまうと人型モンスターさんは腕を組んだ。勇者の様子を確認しにわざわざラスダンから派遣されて来たそうな彼には確かに見た目からしてそんな雰囲気がある。
「いっそ負けイベント……だがストーリーの進み具合的に登場には早すぎるか……ねえ君、強い力とか欲しくならない？」
「別に。今は棒が折れたので新しいのと、あと食べ物がいっぱいほしいです」
「そう、残念。ちなみに強いモンスターをどう思う？彼らを統べる王様の事は？」
「何も思えません。知らないので」
　数日後配置替えの知らせが来たと思ったらこの前の人型さんに連れられてスライムと二匹即到着していた。色々大変なことも多いけど配給もぐんと増えたしなんとかやっていけそうだ。
　あとは勇者がいつ来るかだけど、どうかな。ものすごい速さでダンジョン攻略を進めている事だけは知っている。人型さんがご機嫌で教えてくれたから。
　そういえば人型さんはラスダンの中でも偉いモンスターらしい。これから沢山僕の事を知ってねと言われてもらった鍵がやたら豪華だったので。どこ用だろう。最上階なわけないしなあ。