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    20220111 展示会のシルエットが出て(大人が若返ってるから)実也は成長してるのでは!ってネットが言ってるのに怯えた成長敏感歪みオタク

    ##明るい
    ##全年齢

    おめでとう、あっち行って 成長期ってことを加味しても一年半で+八センチって結構なものじゃない?これで昔聞いた身長は易々越えたわけだし散々見下ろされた分僕が見下ろすとか、あとはまあ対等に?目を合わせて話すとかしてやっても良いかなと思っていたんだけど。
    「……最後に集まったのいつだっけ。一年と……」
    「半年前かな。主役の君達をしっとり祝う会のつもりが気付けば大騒ぎになっていた。ほら、食事だけだと言ったのに全員ボードを持ってきていて」
    「ああ、あの時。面白かったね」
     前を歩いていた二人のうち片方が振り返った。思わず足を止めると向こうも足を止め、ぼうっとした顔のままどうかしたかと尋ねてくる。
    「何が?どうもしないけど」
     切り捨てて終わりのつもりが思い通りには行かなかった。
    「っ、ちょっと、何でこっち来るんだよ」
     慌てて後ろへ下がるこちらへ進んでくる足が一対、と思いきやその背後におまけが居たので二対。大股で迷いなく進む前と比べて後ろの足取りの弾んでいること。顔も見るからに浮かれている。噂には聞いていたけど余程最近の生活が楽しくて仕方ないらしい。
    「実也こそ何でさっきから俺達の後ろに居るんだ。ずっと黙ってるし」
    「……別に。邪魔しないようにしてあげてるだけ」
    「気にしなくていい。この人とはいつでも話せるし、邪魔とかも俺は思わない。実也は今でも大事な仲間だから」
    「よく路上でそういうこと言えるよな……!?」
    「どうやら彼その類いの恥は感じないようでね。おかげで毎日愛を囁かれてしまって僕も困っているんだよ。一体どう返せばいいのやら……」
     二人揃って大概にして欲しい発言は他に人も通らないからギリギリ許すとして、他面子の待つ集合場所からどんどん遠ざかっているというのに気にする様子の欠片もないのはどうかと思う。ああ信号赤。駄目だ止まるしかない。
     一歩分だけ残して止まった二人の表情は昔と何ら変わりない。たいして中身も変わっていない事だって今よく解った。それはまあ良い。見た目、髪型や服装の好みは互いの影響か少しだけ変わった気がする。それもまあ良い。だけど一つだけ良くないことがある。二人と合流した瞬間からそのことに薄々気付いていたからこそ、近づいて確定させたくなかったのに。先送りしているだけだと解ってもせめて全員集合してからにしたかった。多分一人くらいは勝てる相手が居る筈だから。
    「……実也?」
     いつからか明確に呼ばれるようになった名前からは時間の流れを感じられる。それなのに。
    「……おかしい」
     目の前。真っ直ぐに見た先には鼻筋。瞳ではなく。
    「ランガ、また身長」
    「伸びたよ」
     何でランガじゃない方が答えてくるのかは解らないけどやっぱりか。
    「そういえば実也くんも随分背が伸びたね。一昨年あたりのランガくんの身長は超しているんじゃない?」
    「確かに。実也、大きくなったな」
    「出合った頃はあんなに小さかった実也くんがこんなに……子供の成長とは早いものだ……」
    「……僕を置いてしみじみしないでくれる?その顔も止めて。全然嬉しくないから」
     三、四年ぽっちの付き合いでそこまで感慨深くなられても困る。それに何を言われようと見下ろされながらでは満たされない。
    「今年は暦とオッサンとランガ、来年はオジサン全員抜かすつもりだったのに。計画狂った」
    「ごめん」
    「謝らなくていい。それより覚悟してなよ。来年の僕はもっと背が高くなってるしこの身体にも慣れてる。フィジカルだって格段に強くなってるだろうから」
    「……?うん」
    「来年も集まって滑ろうね♡と誘われているのでは?」
    「あ、なるほど。うん。滑ろう、実也」
     思わず喉から出た威嚇は昔と違って低く我ながら凄みがあった。けれど二人は怯えもせず目を細める。変わってないねと言うような生暖かい視線から逃れるべく足を動かせば見えてくる豆粒サイズの懐かしい影。その中の一人くらいには勝ててたら良いな、なんて何だか自信を失ってしまっているみたいだ。後ろの二人と来るべきじゃなかったかも。そもそも不用意に三人だけとかならない方が良いんだ、こういう幸せそのものみたいな顔した同棲したての二人なんかとは。
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