Happy Hugo Day 11.30ふと、目を覚ます。
なんだか夢見が悪かったような気がしたが、乾燥して張り付いた喉に気がいって忘れてしまった。
時計をみて、嗚呼、と息を漏らす。
2020.11.30 23.58
誕生日は嫌いだ。自分の誕生日で楽しかったことなど幼少の頃に数える程だった。
父親が死んでからは自分の生まれた日なんて、実の母親から呪いの様な恨み言言われるだけの日。
忌々しいだけの思いで。だから俺は祝われたくない。 …誰にも、言ったことはないけれど。
毎年、何事もなく済むこの日に、今日に限って何故。
ああ、昼間に、学校の女子にそういえば、と誕生日を尋ねられたからだ。
他人の好奇心ほど面倒なものはない。笑って誤魔化したのが余計に火をつけたようで随分食い下がられてしまった。
思いだして舌打ちを一つ。サイドテーブルのピッチャーからグラスに一杯注いで喉を潤す。
あと少しで日付も変わる。そうすれば、…とコップを置いたのと同時、ガチャリ、と扉が開いた。
「……………なんだ」
寝ぼけでもしたのか、くしくしと瞼をこすりながら近づいてくる。
入ってもいいか、と聞かないのが珍しい。
とてとてと近づいて、じっと見つめてくる瞳に溜息を一つ。部屋に戻れ、と告げると、眉をさげた同居人が、ふるり、と一度首をふった。
「こわい、の。ゆめ。 …ここに、いたい」
普段なら許さない図々しさでよじよじ、とベットに上がり込むのを許したのは夢見が悪かったからか。
いや今更押し問答が面倒だったからだろう。
深々と溜息をつき、さっさと寝ろ、と布団をかける。
ピピピ、と電子音がする。
2020.12.01 00:01
振り返ると時計が進んでいる。
狭苦しくなったベットに体を横たえて、冷えた体に同じく布団をかぶる。
今年も何事もない日が過ぎたのをみて、今度こそゆっくり眠れる気がして、深く、息を吐きだした。
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