オオカミさんと大和さん 狼は元来愛が深い生き物らしい。生涯一匹だけの番を作って、一生をその番と生きていくのだとか。その中でも、ニホンオオカミは絶滅危惧種であり、その存在は非常に貴重とされている。だからこそ、ニホンオオカミの存在は国に守られるべきであるし、純血である者は特にその種を後世に残していかねばならない。
本来なら少しでも出生率を上げて、確実に次の狼を産むために狼は狼と番うことが一般的であり理想的とされている。しかし、この世界にいる人間の半数以上が猿であり、三割ほどしかいない斑類の中で番となる狼を探すとなると、それは至難の業だろう。幸い、狼はジャッカルや犬などの近縁種と子を成すことができる。斑類の中で、他の種と比べて比較的数が多いとされている犬神人と番うことが、現時代での狼の幸福であり"普通"とされていることなのだ。
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