花屋さんと警察官パロ「はぁー……」
仕入れた花の手入れをしながら花子は悩みに悩んで、大きくため息をついた。
ディスプレイも少し悩んではいるが、今彼の頭はとある人物へのことでいっぱいだった。
想い人、八尋寧々のことだった。彼女にもっとアプローチをしたいが、仕事中にむやみやたらに声をかけるのも悪いという思いから、実は連絡先すら聞けていないのだった。
特に何かあったわけでもないのに交番に行くのも仕事の邪魔になるし、何かに巻き込まれたと心配をかけてしまうのも困るなと思い、彼女が商店街にやってくるのを待っていることしかできていない。
彼女は商店街の見回りだと言って、毎週のようにお店に顔を出してくれているので、大分仲良くはなったんじゃないかと思う、勘違いでなければ。
はあ、と大きなため息をついていると、カランカランと店のドアにかけてある鐘が高く鳴り響いた。お客さんだ、と慌てて顔を上げ、にこりと笑顔を作る。
「いらっしゃいませ……ってヤシロ!?」
「えへへ、こんにちは花子くんっ」
そこに現れた人物は、先程から会いたいと思っていた人物だった。
仕事をしている時の三つ編みとは違い、今日は髪を下ろしていた。腰のあたりまで伸びた髪は彼女が動くたびにふわり、と柔くはねる。
仕事中の制服姿とは違う、可愛らしい私服姿に心が躍る。愛らしく微笑む寧々に思わず頬が緩む。
「今日はおやすみ?」
「そうなの、珍しく平日のお休みなんだ!お買い物しようと思ってるの」
「……俺、ヤシロのその髪型、初めて見た」
「本当?いつも非番の日は下ろしてるのよ」
「仕事中三つ編みだもんね」
「そうなの、下ろしてると仕事中邪魔になっちゃうから…」
「新鮮。似合ってるね」
「えへへ、ありがとう!」
「ヤシロの髪サラサラじゃない?よかったら、少しアレンジしてもいい?」
いいよと答えてくれた寧々を椅子に座らせ、彼女の髪に触れる。腰あたりまで長いのにもかかわらず傷みがない、しなやかさのある髪に手櫛を通せばサラサラと流れていく。
「花子くん、こっ……、これ…ちょっと恥ずかしい.な……お店だし……」
「まあまあ。…ヤシロは偉いね、こんなに髪長いのにちゃんと手入れしてるんだね」
彼女の反応がないので、ちらりと表情を確認すると、寧々は顔を耳まで赤く染め上げ俯いている。
顔を赤らめしどろもどろになる彼女の様子を見ながら、花子も照れくさくなってしまう。頬が熱くなる。
何か話を振ろう、と思い「あっ…あの、さ…」と声を出せば緊張と羞恥から花子の声は裏返ってしまう。一度咳払いをして何もなかったかのように再び声をかける。
「あのさ、ヤシロ…今日はどうしたの?」
「……あっ…えっと……その………お願いがあって…」
「おねがい?」
「あの……ね、花子くん……」
「ん?」
「私と……で、で……」
「で?」
「…デートして欲しいの!」
「へっ……でーと?」