七月小説感想会総括:六万字書きました! お疲れさまでした! 綺麗な話やグロ、性癖に忠実なえっちや近代文学パロなど、最近書きたいものを全部書けた月じゃないかな。作風があまりにも自由すぎるけど、一貫して『お互いを尊重して受け入れ合う愛の話』を書いてるんだなあ。
八月はいい加減新刊の原稿をやりたいです。
1『深夜、ミモザの秘密基地にて』
「あんまり寄ると食べるぞ。いいのか?」
冗談交じりに声を掛け、手を伸ばして、止めた。碧い蝶が視界の端でぱたぱた揺れる。天彦の瞬きを思い出す。触れたら最後、消えてしまいそうで怖くなる。窓から碧い蝶が飛び立って、戻ってこなくなる夢を、もう幾度となく見ていた。
――プロットまとまるまでめちゃめちゃ大変だったけど、執筆するのすごく楽しかった。二万五千字とか久しぶりに書いた。視覚的に美しい話、を書きたかったので大満足。呪いが解けるシーンすごく好きだし、実は電車のシーンも好き。一人称だから地の文でも結構遊べたんじゃないかなあと思ってる。ふみやくんみたいな感じの子の一人称書きやすくて楽しい。ふみやくんが水槽に向かって独白する辺りで良く泣いていた。綺麗な良い話(当社比)。
2『或る青に告ぐ』
――『藪の中』パロ。突発で書こうとしたけどこんがらがったからちゃんと資料作った。ズレがめちゃめちゃむずかったけど、私の中の真実は……やっぱり海の中にあります。いつもキャプションにキャッチコピーというか、一行ポエムみたいなものを載せるんだけど、この時の『真実はすべて、海の中である』が一番パロでは?って感じしててお気に入り。作中の(書き直した跡)とかのカッコ書きもパロディです。
こういう独白形式?大好きなんだけど、普段書かない子は口調が難しいねえ。理解くんとか猿ちゃんみたいな手癖に近い子は掴みやすいし、テラくんみたいに行動が分かりやすい子も書きやすかった。対していおくん、おおせくんはちょっと難しかったなあ。でも楽しかった~!
一番悩んだのは天彦さまの書簡形式かも。
私の答えは海の中と言ったけど、ふみやくんの黒塗り部分が想定解です。でも芥川は想定解用意してないのかな。
3『デリカテッセの恋人ー一食目ハンバーグ』
「……生ハムの原木ってこんな感じですよね」
類は友を呼ぶ、ならぬ、類は恋人を呼ぶ、である。
――とりあえずハンバーグにしたい、というパッションだけで書いた。後で全七話のプロット立てたから、伏線張り直したり文章整えたりで書き直すんだけど、グロいっぱい書けて楽しかった。続き早く書きたい!
4『祭囃子に君を聴く』
「おいしいです……!」
差し出された箸を受け取りながら、ふみやも口元を緩める。
「だろ? 屋台の焼きそばって家のとはまた違うんだよな。鉄板は偉大」
――公式が不穏過ぎて突発で書いた。思い出が無い天彦様に夏祭りの思い出を作ってあげる話。浴衣青姦書きたかったので満足。ユリシスで挿入書けてなかった反動が若干出てそう。
5『白いユリシス』
「……神様が、つくったみたいだ」
惚けたような声が聞こえ、本当なら男性器があるはずのそこに口づけされた。じわりと目頭が熱くなる。
「えっ、やだった? 悪い、そんなつもりじゃなくて」
――性癖を詰め込んだ。一回でいいからデザイナーベビーをモチーフに書いてみたかったので大満足。ちんちん無い天彦様を受け入れて肯定してくれるふみやくんの話。対してふみやくんは救世主ベビー。兄を救うために生まれたふみやくんが、自分の意志で天彦様を救おうとしてくれるんだなあ。リスカ痕にキスするのはご存知の通り性癖です。
上記のセリフは思いついた時に優勝を確信しました。挿入しなくても可愛くてえっちな話だと思う。書いてる間めちゃめちゃ泣いてた。
6『正邪の行進』
ところでお話は、やっぱりその、お店のショーが終わった夜遅く、いつものように河川敷で物思いに耽っていた時、ふと妙な人物に出会ったことから始まるのです。
――『目羅博士の不思議な犯罪』冒頭パロの、ふみやくんCBおめでとう小説。上記の文章はパロディです。CBふみやくんは正なのか邪なのか……。悪人かもしれないけど、それでも傍にいたいと天彦様は選択してくれるだろうと思う。「良いやつ」ってフレーズ大好きだから多用しがち。天彦さまの一人称はじゅなん以来な気がするけど、普段の口調と近しい書き方だとめっちゃ書きやすい人だな……遊べるし。祭囃子やユリシスのふみやくんはスパダリベクトルだったので、悪い部分が書けてよかった。