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    20mくらい離れて読んで下さい

    パニシキがAURORAのコンサートへ行った話目を奪われるとは、まさにこの事だった。

    深く深く沈むような歌声に、眩く変わりゆく光景に、ただただ呑み込まれていく。
    「素晴らしい」とか「美しい」なんて言葉では言い表せない、経験した事の無い輝きに息が詰まった。

     一曲、一曲とコンサートが進み、ふと、その手の温もりに気付いたのは、終わりに近付いた時だった
    意識が浮上し、周りはステージの中央に立つ彼女ヘ向かって手を振り、思い思いの言葉を叫んでいる。
    そんな大歓声の中で、無意識に握りしめていた手が視界に入った。
    徐々に視線を上げれば、眩しいものを見るように細められた彼の瞳と目が合う。
    声は出せない、歓声すらも

     代わりに、少し笑った彼が手を引き、そのまま身体は宙へと舞った。

    ーーTill queendom come

    星の子達の鮮やかなケープと光が散る
    踊っているのか、飛んでいるのか
    はたまた何かに流されているだけなのか
    そんなのはどうでも良かった
    ただただ、固く強く繋がれた手がここにあって、素晴らしい歌声と素晴らしい景色がそこにある。

    光と声に身を任せながら、ぐっと手に力を込めて身を寄せる。
    驚いた顔がこちらを向いた

    「好きです、パニカさん」


    ーーTill queendom come
      my queendom come‼︎

    多分、この日の景色は一生忘れないだろう
    そう思うと、熱くなった目から溢れる涙さえも愛おしかった。
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