独占欲と嫉妬と。「新曲のお披露目の時に着る衣装ができたから、」
ーーあなたに見て欲しいの。
そろそろと視線だけでうかがってくる彼女に、拒否する言葉を投げれるやつはきっと人ではないと思う。
そんなことを考えているとは一切悟らせず、竜ーーもとい、恵は、それが当然であるかのように頷いた。
そして現在。竜は、自身の城の一室で、彼女を待っていた。
夏の事件でジャスティス達に燃やされた城は、創造主であるvoicesの計らいと、AIたちと天使の協力のもと、元通りに復元されている。燃やされる前は所々に見えたブロックノイズも全て修正されていることを踏まえると、「元通り」とは少し違うかもしれない。
竜の体格にあわせた部屋の天井は前と同じように高く、壁には様々な写真が飾られている。荒れていた部屋は元の姿を取り戻しているが、唯一、女性の写真にあるガラスのひび割れだけはそのままだった。
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