ポッキーの日今日は11月11日。そう、巷で話題のポッキーの日だ。当然、竈門少年、いや、炭治郎は俺にポッキーゲームしましょ♡ってくるだろう!
告白してから最初の11月11日だ、当然そんな甘〜いやり取りを期待していないなんて事はない。でも俺はまだ炭治郎の先生だからな!頑張って耐えるぞ!
と思っていた煉獄。社会科準備室でいつものように炭治郎が来るのを心待ちにしていた。いつもの時間に扉がガチャリと開いて、炭治郎が何食わぬ顔で入ってきた。
「煉獄先生〜、今日も来ちゃいました。部屋の掃除手伝いますね」
あれ?何か思ってたのと違う、煉獄は炭治郎がいつものように可愛く絡んでくるものだと思っていただけに、慌てて立ち上がって炭治郎に近寄った。
「炭治郎、ほら、今日は何の日だろうか?」
すると、炭治郎が、あー、あの日の事かと言わんばかりにため息をついて答えた。
「今日ポッキーの日でしょ。知ってますよ。でも学校お菓子禁止じゃないですかー。別に煉獄先生とポッキーゲームしたい訳でもなかったし、持ってきてませんよ。そんな事より、ここ、ホコリ溜まってるんで拭いてもいいですか?」
炭治郎はさっさと煉獄から離れて掃除を始めてしまった。冷たくあしらわれた煉獄は、その場で崩れ落ちた。
酷い、ちょっとだいぶかなり期待していたのに、付き合い始めたんだよな?俺達?
そして炭治郎に縋りついて泣きそうになりながら叫んだ。
「炭治郎〜!嫌だ〜!捨てないでくれ〜!」
「......、という夢をみたんだ!!炭治郎にそんな事を言われたら生きていけない!!怖くて会えない!!どうしたらいい!?宇髄!!」
昼食も取らず机でうなだれている煉獄を見兼ねて話掛けた宇髄は、やっぱり聞くんじゃなかったな、と思いながらパンに齧り付いた。しょうもない、余りにもしょうもない話だなー、とは思ったものの、本人は本気で凹んでいるらしい。
実は先程、竈門に会った時に、ポッキー義勇さんに没収されましたー(泣)って言ってたから、持ってたポッキーやったんだよな、アレたぶん放課後煉獄のところに持って行くつもりなんだろうな、と思ったが、今それを煉獄に伝えてしまうと面白くない。
パンをジュースで一気に胃の中に流し込みながら、宇髄は適当に励ます事にした。
「あー、あれだ、お前の心配しているような事にはならんと思うぞ。とりあえず放課後いつも通り社会科準備室で待ってたら、能天気に、ポッキーゲームしましょ♡、って竈門はやって来るって。俺、次、授業だからもう行くぞ」
「そんな、適当な事ばかり言って!」
「大丈夫だって!絶対来るから!じゃあな〜、ちゃんと楽しめよ」
そして放課後、仕事もあるので、仕方なく煉獄は社会科準備室で作業していた。
怖い、炭治郎が来るのがとても怖い、そう思っていたら、扉を叩く音がして、扉がバーンっと勢いよく開いた。
「煉獄先生ーーーー!!ポッキーゲームしましょーーー!!!」
凄い勢いでポッキーの箱を片手に社会科準備室に入ってきた炭治郎に、煉獄は驚き過ぎてその場で固まってしまった。
「あれ?煉獄先生?どうしたんですか?大丈夫ですか?」
不思議そうな顔をする炭治郎に煉獄はゆっくり近づいて、ぎゅっと抱きしめた。
「いつも通りだった、よかった」
「ぐぇっ、苦しい、苦しいです!先生!」
炭治郎が苦しそうにしているのにハッとなり、ぎゅっと締め付け過ぎていたのを、慌てて離した。
「一体どうしたんですか?」
「いや、何でもない!そんな事より、ポッキーゲームはしないぞ!俺の我慢がきかなくなるからな!!」
「えー!なんでですかー!せっかくの機会ですし、しましょうよ♡」
こうして、いつも通り社会科準備室でイチャイチャ出来て満足した煉獄であった。
えっ?ポッキーゲーム結局したかって??わたしゃ知らん(笑)!!