柔らかな記憶 夏油傑は悩んでいた。
先日、酒のつまみにとキムチ冷奴にした豆腐が余っている。2パックがセットになったものを買い、1パックを使ったため、残りの1パックが丸々余っている状況で、賞味期限的にもそろそろ片付けたいところなのだが、いかんせんその豆腐で何を作るかが決まらない。
非常にささいなことではあるが、しかし真剣に夏油は悩んでいた。
みそ汁にいれてもよいが、それだとメインのおかずをどうするかまた悩むし、再び冷奴にしてもいいが食べたばかりだしなぁ、と今ひとつ気が進まない。
夏油としては今日で全て使い切りたい気持ちが強かった。余してもまた同じ悩みを抱えるだけだ。だから一気に消費できて、かつ調理が簡単で、メインを張れるような。そんな豆腐を使った料理はないかと模索する。所属事務所が入居しているビルの近くにある、少しお高いことで有名なスーパーマーケットで。
その時、夏油はふと視線を感じた。ゆっくりかつそれとなく周囲を見回すと、妙に目につく男の姿があった。
ああ、週刊誌のカメラマンかな。
夏油は即座にそう思った。
こればかりは勘なので、どこをどうしてそう判断しているかと言われても明確な説明は難しいのだが、しかし夏油の目は明らかにその男の異質さを捉えていた。野菜を買うでもなく、惣菜を買うでもなく、目的があるように見せかけているが、この場にそぐわない狙いを持った男を、夏油は見逃さなかった。
「おつかれさまです」
柔和な笑顔で話しかけると、男はしたのかしてないのか曖昧な程度の会釈をした。視線は合わない。夏油はもう一度、逃がさないとばかりに声をかける。
「おつかれさまです」
「…………あ、え……、はい」
男は近づいてみると遠目の印象より若く見え、もしかしたら駆け出しのカメラマンなのかと思わせるほどだった。急に狙っていた被写体に話しかけられて、動揺のまま視線を泳がせる様なども、良くいえば初々しい。尾行だけ頼まれたアルバイトなどだと、この時点でダッシュで逃げることも多いが、彼はそうではないらしい。それくらいの根性はあるようだ。
夏油は笑顔を崩さないまま、撮ろうとしてましたよね、と優しい声で詰め寄る。男はごもごもとした口調で、あー、まぁ、などと返事をした。
もちろん、『撮りたい画』が夏油の買い物風景などではないことは分かっている。彼はきっと、その後夏油が部屋に誰かを招く、あるいは誰かの部屋へ行くことを期待して付け狙っていたのだろう。ワインなど買ってみせたら『この後女を部屋に招くか、あるいは手土産に持って行くにちがいない』などと勘ぐられるのかと思うと、夏油はほとほと呆れるとしか言いようのない感情に襲われる。飲みたきゃ一人だって飲むし友達と飲むかもしれないし、いずれにせよ個人の自由ではないか。ばかばかしい。
しかし、この男を動かしているのは大衆の下世話な欲望という名の需要があるからだということもわかっているので、夏油はこの男だけに怒りを向けることはしない。だが、牽制はしておきたかった。
「別に今日は楽しい写真は撮れないと思いますよ。買い物して自宅に帰って夕飯を作るだけなので」
はぁ、と間抜けな返事をした男を夏油は笑顔のまま見下した。残念だが彼が狙っているような、女優やアイドルや女子アナやモデルと食事をする予定はない。クラブやキャバクラで騒ぐ予定もない。自宅に誰かを呼び寄せることもないし、もちろん自宅で女性が待っているということもない。あるのは余っている豆腐をどう片付けるかと、別仕事で疲れて帰ってくる五条をどう迎えるか。ただ、それだけだった。
「夕飯、どうしようかと思って」
「は?」
平然と話を続ける夏油に、男はきょとんとした顔を見せた。自分がなぜ話しかけられているのか一向に分からないといった表情に、夏油は内心意地の悪い笑みを浮かべてしまう。
「豆腐がね、余ってるんですよ」
「……はぁ」
「ねぇ、豆腐を使った料理といえばなんだと思います?」
穏やかな笑みは崩さないまま、夏油は男により近付く。自分よりも上背のある人間に詰め寄られたためか、男は肩を竦ませ身を小さくした。
「え……、麻婆豆腐、っすかね」
「麻婆豆腐は悟があんまり食べられないからだめだなー」
もちろん、あまり辛味を効かせなければ五条でも食べられるのだが、夏油としては麻婆豆腐はしっかり辛くて痺れる味付けの方が好みだ。妥協点を探るのも悪くはないが、夏油は微妙な味の調整が得意ではない。レトルトに頼るのもありだが、普段あまり自炊できない分、時間のある時くらいは作りたいという気持ちもある。よって、悪くはないが候補としては下の順位になる。
「他にないの?」
「えぇ……みそ汁?」
「メインになりそうなのでない?」
「キムチ鍋に入れるとか」
「だから辛いのは悟がだめなんだって。却下」
次々とダメ出しすると、男はあわあわと焦りを顔に表した。夏油は、何か思いつかないの、とさらにぐいっと詰め寄る。
「……前に彼女が、豆腐ハンバーグとか肉豆腐なら作ってくれたこと……ありますけど」
「へぇ!!」
わざと大げさに大きな声を出したせいで、周囲の目が一瞬こちらを向いてしまったのは失敗だったが、夏油は目の前の男がビクつく姿が面白いということの方をつい優先させてしまった。
「豆腐ハンバーグに、肉豆腐ね」
男を無視するように夏油はスマートフォンをポケットから取り出し、レシピの検索を始めた。豆腐ハンバーグは切るこねる成形する焼くと手順が多かったが、肉豆腐は切って煮るだけなので即座に肉豆腐に軍配が上がる。
「いいね、肉豆腐にしよう」
「………はぁ」
男は気の抜けた返事をしたが、未だ自分が何を問われ何を求められていたのか、さっぱり分かっていない顔つきだった。夏油は男の間抜けとも言える顔をじっと見る。
記憶の中にも、そういえばこんな表情たくさんあったなと思い出す。視えない人間は、目の前で何が起きているか分からない。だからよくこんな顔をしていた。それをなんと間抜けなツラを晒しているんだろうと、そう思うようになった記憶の中の"夏油傑"のことを、夏油は突き離しきれないでいる。
結局、全く別の人間の記憶なんだとしても通じてしまう部分は大いにあって、目の前の男がこんなアホ面を晒しながらも恋人に作ってもらったらしい料理を笑顔で食べているのだろうことを考えると、随分と白けた気持ちが湧いてきてしまう。
夏油は小さく短くため息を吐いた。同調しすぎるのは、良くない。あまり"記憶"に引っ張られると、頭の中で急速に靄が拡がり、それに支配されそうになってしまう。
「ありがとう、助かったよ」
夏油はわざとらしいほどの微笑みを作り、最大限優しく聞こえる声音で言った。そうすることで、頭の中の靄を隅に追いやる。だが、それはそう簡単には追い祓われてくれない。夏油はすっと腕を伸ばし男の貧弱な肩をぐっと掴んだ。
「今日はここまで、ね」
想像以上に冷えた声が出たことに、夏油は自分でも少し驚きながらも引く気は起きず、むにりとした肉に指を強く沈めた。男はびくりと肩を揺らす。与えられた痛みを逃すように、うっと小さなうめき声をあげたが、そんなことを夏油が気にするはずもない。痕が残らない程度の力にしたつもりだが、確証はない。こうしてすぐ暴力で解決しようとするのはよくないと頭では分かっているが、今日のこれは正当防衛の範疇ということにしてほしい。
すれ違うように夏油は男を置き去りにして、笑顔のまま精肉売り場に足を運ぶ。牛肉はちょっといいやつを買おう。そう思うことで広がろうとする靄のような"記憶"を抑える。今この瞬間の手触りを確かめるようにすることは、夏油にとって呑み込まれないための一つの手段だった。
だが、対面式のショーケースの前に立ってみたものの、困惑する程度に種類が豊富なことに夏油はその時初めて気付いた。こういう時、七海ならどの部位のどういう肉がいいかなど詳しく知っているのだろうが、あいにく夏油はそこまで詳しくない。そのため、似たようなものだしいいだろうと、すき焼き用と書かれているショーケースの中の牛肉を指差して店員に購入の意図を伝えた。
「何グラムご用意しますか?」
「えっと……肉豆腐を男性二人で食べるくらいの量がいいんですが……」
普段料理をしなれていないと、咄嗟に必要な分量がわからない。夏油は恥ずかしさと申し訳なさを感じながらそう伝えたが、ベテランと思わしき女性店員はなんということもなく笑顔で対応してくれた。
「それなら200グラムくらいかと思いますが、肉豆腐をメインでしっかり召し上がるなら300でもよろしいかと」
「では、300グラムでお願いします」
にこやかな笑みを崩さない女性店員に感謝をしつつ、夏油は油紙に包まれた牛肉を受けとった。ずしりとした肉の重みを感じながら、夏油はそのまま野菜売り場へ直行し、必要なものを買い足していく。玉ねぎときのこと、とひょいひょいと品物を選び出し、レジへ向かった。
「あ、母さん?」
帰宅の道すがら、電話の向こうにいる母親に夏油は話しかけた。
「今日、肉豆腐つくろうと思うんだけど、作り方教えてほしくて」
そう言うと母親は、矢継ぎ早にあれをこうしてそれをどうすると指示を出してくるので、夏油は慌てて「詳しいのは、LINEに送って」と返した。
「具材?豆腐と牛肉と、玉ねぎとしめじとまいたけの予定」
料理が得意とは言い難い夏油にとって、母親からの指示というのは、本当はかなり難易度が高い。そのため結局はレシピを見ながら作ることにはなるのだが、しかしこうしてコミュニケーションを取るのも親孝行の一つだと信じて連絡をしている。
心配をかけた時期も、あった。
中学生頃などは"夏油傑"の記憶を夢に見て、夜中吐き気を催すことも多かった。現実には口にしていないはずなのに、汚泥を無理やり口内に詰め込まれるような、そんな感覚に襲われて夜中に飛び起きてはげーげー吐く。そんな様子を繰り返しみせられて、子供の心配しない人ではない。学校で何かあったのか。あるいは何か病気にかかっているのか。直接詰め寄られたわけではないが、それでも母親がこちらをとても気遣っていることは、十分に分かっていた。病院もすすめられたし、口を開けば丁寧に耳を傾けてくれもしたし、いつだって真剣に見守ってくれていた。
記憶に理解が追いつくことで、吐き気などは治まるようになったものの、それでも息子が何かを抱えていることを、母は見抜いていたと思う。
しかし夏油は、両親に記憶のことについて一切話をしなかった。できなかったという方が正しいかもしれない。記憶の中にある両親の無残な姿。それを引き起こしたのは己であるという自覚。それを軽く見るほど、現在の夏油は能天気ではなかった。
「なんでって?豆腐がさ。あの2パックがセットになってるやつあるでしょ。あれ、片方余しててさ。それで」
日頃から自分の息子がマメに料理をするタイプでないことを知っている母親が、訝しげになんでまた肉豆腐などと聞いてくるので、夏油は素直にそう説明した。
「え、あ、そうなの?てことは、一丁って書いてあるレシピだと豆腐足りないってこと?」
さすがというかなんというか、母親はすぐさま息子が一丁だと思っている豆腐は一丁に満たないという指摘を飛ばしてきた。
ツインパックのやつは、だいたい半分くらいしか量ないわよ、という電話口の声に、夏油は小さく項垂れた。料理の腕も知識がまだまだであることに、こうした瞬間気付かされる。だが母親はすぐに笑いながら、豆腐が少ない分は野菜を増やせば大丈夫よとアドバイスをくれた。
「うん、ありがとう。やってみるよ。あぁ、悟?今日は別々の仕事なんだ」
夏油は自分のこと以上に五条のことを気にかける母親に、小さく笑いを漏らす。
初めて実家で顔を合わせた時から、夏油の母親は五条をいたく可愛がったし、自分の息子と同じように愛情を示してくれた。
あの五条の人とは明らかに異なる見た目に何かいうわけでもなく、根掘り葉掘り怪しがって事情を聞くわけでもなく、五条がハンバーグを食べたことがないといえばすぐに作って振舞ってくれるような。そんな人である。
一度だけ、五条の家庭事情について心配そうに聞いていたことがあったが、家庭環境が複雑で、と掻い摘んで説明したことに対し、ああだこうだ言うこともなく、そうなのと納得してくれた。大人が必要な時にはすぐ話してね、という母親に、うんと小さく頷いたことは夏油の中で、些細だが重みのある記憶となっている。
「はは、最近別々の仕事が多いって?大丈夫だよ、別に不仲とかじゃないから」
たしかに最近は、個々の仕事も増えている。お互いお笑いというフィールド以外の仕事もするようになり、その比重が少しずつ増えていることは否めない。
だが、夏油はそれをネガティブには捉えていない。五条が才能を持て余すのは本当にもったいないことだと思うし、自分自身も新しい挑戦はいい刺激になる。特に、最近始めた執筆活動は記憶と感情の整理をつけるという大きな意味を与えてくれている。夏油は、素直にそう感じていた。
「うん、うん、わかってるよ。いつもありがとう。じゃあね」
いつもいつも体の心配を欠かさない母親に、ほんの少し笑みが漏れる。そう変わりがないことなど、わかっていてもつい聞いてしまものなのだ。
当の夏油も、あの双子、美々子と菜々子にはいつもつい心配めいたことを言っては、笑って流されている。明日の収録でも、きっと保護者のような感覚で小言を言ってはほんの少し面倒臭そう笑われることだろう。
今の美々子と菜々子には、"記憶"がない。
夏油が彼女たちと接するようになったのは、本当にたまたまで、双子で音楽ユニットをやっているという彼女たちの、期間限定ラジオ番組の回し役としてお呼びがかかっただけのことだった。
そのご指名も、別段彼女たちの意向ということではなく、単にラジオ番組に不慣れな彼女たちをサポートできる見込みがあって、かつ彼女たち唯一の希望であった『きたないおじさんとやるのはイヤ』という身もふたもない要求を満たせる人物の一人として白羽の矢が立っただけだった。
それも、半端に売れてる奴より死ぬほど売れてる奴の方がかえってセクハラしてきたりしないから、という彼女たちなりの防犯意識から、選ばれただけのことだった。
彼女たちに"記憶"がないことは、夏油にはすぐにわかった。初めての顔合わせの日、美々子は菜々子の少し後ろに隠れて立ち、菜々子は精一杯の虚勢で無愛想な顔をしていた。もし"記憶"があったとしたらーーこれは随分な自惚れと言われても仕方のないことだがーー彼女たちはきっともっと笑顔を向けてくれるはずだ。だから夏油も、瞬時に『初めましてモード』に切り替え、ひとまず安心して話してもらえる関係を作らねばと思った。
『写真を音楽にするユニット』という少々変わった活動をする彼女たちだが、つまるところは菜々子が自ら撮影した写真をイメージ元に作曲をし、それを受けて美々子が歌詞を書き、菜々子が演奏、美々子が歌唱、と内訳で活動をしている。
テレビ出演などはさほどしていないが、音楽配信サービスなどではかなりの再生数を上げていて、評判は上々。なかなかの売れっ子アーティストへ変貌中だ。
そんな彼女たちと夏油は、隔週の深夜のラジオ番組を共にする仲であり、美々子と菜々子曰く、お父さんとお兄ちゃんを混ぜた人、だそうだ。ゲトウさん、という硬さの残る呼び方だったのも初めだけで、いつしかすぐるさんになり、今ではすぐるくんになっている。"記憶"の中の彼女たちが呼ぶ夏油様という声が懐かしくないわけではないが、それでもあの頃とは違う、あの頃よりは少しだけ対等に近づいた今のこの関係を、夏油はそっと歓迎していた。今の自分たちには、こういう距離感がふさわしいと、そう思ったから。
夏油が美々子と菜々子と食事をしてくるなどと言うたび、五条は不機嫌そうに嫌な顔をしてみせ、ミセーネンとインコーだけはやめろよ、と口を尖らせたりするものの、その実、行くなと言ったことは一度もないことに、夏油はとっくに気付いていた。見逃されているというか、甘やかされているというか。
聞けばあんなWガキンチョ嫌いだと言うのに、それでも夏油が彼女たちへの誕生日プレゼントに悩んでいれば、さりげなく一緒に考えてくれようとしたりする。それが五条悟という男であった。
『よるは肉豆腐』
『まじ?つくんの?』
『うん。豆腐あまってるし』
『あったね』
LINEを送ると、思いの外すぐに既読がつき返信が届いた。
『休憩中?』
そう送ると、ぶさいくな猫のキャラクターが"YES"といっているスタンプが送られてきた。
『セッティング待ち』
そうか今日は撮影だったな、と夏油は思った。とある女性向けの情報雑誌が、和菓子を特集するらしくその表紙と巻頭特集にぜひと呼ばれたのが五条であった。先方の強い強い希望で、和装での撮影になったそうで、着たり脱いだりが面倒だと昨夜五条は不満を漏らしていた。
『何着め?』
『3』
『おつかれ』
3着も衣装替えとは、なかなか大変そうだ。それも五条は一人で行なっている。着物は出版社側がぜひと指定してきたスタイリストが用意したものだが、誰がやるより早いからと五条は自分で着付けからヘアメイクまで一人でこなすといっていた。
五条は日頃何かを必死で行う様は見せないが、それでいて仕事の一つ一つにおいて手を抜くということはしない人間でもある。それでいて、今は日本全土を瞬時に沈められるような大いなる力は持っていない、ただの一人の人間である。忙しければ疲れたと言うし、寝不足が続いて貧血を起こしたことだってある。つまり、おそらく今日も疲れたと言いながら帰ってくるだろうことが予想された。
『おいしいの作って待ってるね』
ほとんど戯れのようなものだが、たまにはそんな言葉を送ってみたっていいだろう。夏油は自分で自分の送りつけたメッセージに、ふっと笑いを漏らした。
『終わったらソッコーで帰るね♡』
この流れに乗ることにしたらしい五条は、すぐさまそんな返信をしてくる。もちろん五条だって本気ではないだろうが、しかし珍しくこんな初々しいやりとりをしてしまったせいで、夏油の胸にはむくむくと「始めたからにはやりきらなければ」という変なやる気が満ちてきていた。
タイミングよく母親から、このサイトを参考にしろだのなんだのかんだのとLINEが立て続けに送られてくる。夏油はアドバイスを一つ一つ読み込んで、手順を頭の中で整理した。豆腐はキッチンペーパーで一度水を吸わせた方がいい。野菜はあまり小さく切りすぎないこと。牛肉は一度取り出して、煮過ぎない。母親からのアドバイスを口の中で転がすように復唱する。願わくはあの五条が一口食べて目を輝かせるような出来にすべく、夏油は帰路を急いだ。