ねこのひみつボクの弟の一松は時折耳が四つになる。
頭の上に二つ、ひょこりと三角の耳が生えて、おまけに尻尾がするりと伸びる。
黒猫の耳と尻尾。
これが出るときは多分、ボクの前だけなんだと思う。
なんでそう思うかっていうと、一松に猫の耳が生えたことをトド松と喋ったら、トド松はそのことを全く知らなかったから。
「え…?一松にいちゃんに猫の耳?」
「そう。時々生えてるんだ。トド松は見たことない?」
「カラ松にいちゃん、ボクのことからかってるの?人間に猫の耳なんて生えるわけないでしょ。そもそもどこに需要があるの?女子高校生ならまだしも男子高校生だよ?生物学的にありえないこと言わないでよ」
「えっ、あ、えっと」
「もー、いくらボクでもそんな小学生みたいな嘘には騙されないからね!」
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