「見んな」
真横から伸びてきた手にいきなりスマホを攫われて、こちらも力づくでそれを奪い返す。
「なに今更な事言ってんだ。企画段階から関わってんだよこっちは」
「うっせーな!いいからさっさと閉じろ」
「嫌だ」
「ガキかよ!」
例の1日限定恒例企画をチェックしていたら、風呂から上がってきた大和に見つかった。
狼藉を働こうと迫る体を片手でホールドして、もう片方の腕は遠く伸ばしスマホを安全圏へ移動させる。
詰め寄る大和を片脚の膝上に乗せたまま、流れてくる画像を黙々と目で追った。
「……………」
「……………」
「………おい何してんだ」
「保存してる」
「!!!!!!やめろ!バカ!」
髪を拭いていたタオルでばしばし叩かれたが屁でもない。
「大体おまえ撮影ん時もいただろ!あとなんかよく分かんねーけど最後の確認とかですでに散々見てんだろーが!」
「まあ」
「じゃあもう見る必要ねえだろ!」
「見るに決まってんだろアホ」
「〜〜〜〜〜っ!!!」
信じられない大音量の〝髪乾かしてくる〟を至近距離で食らわせると、大和がリビングから出て行った。
あの大声なにかに使えないのか。発電とか。
くだらない事を考えながら、ようやく邪魔が入らなくなったので黙々と指先を滑らせる。