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    あ み

    安コと呼んでいいのかよく分からないSSをたまに書く…、かも。
    @am11une1apin

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    あ み

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    私が思うクリスマスの安とコ。
    昨日いろんな人のクリスマスツイートを見てたら思いついたやつ。

    #安コ
    cheapChild

    Merry party「へっくしゅっ。やっぱ夜は冷えるなー」
     探偵団の仲間たちとのクリスマスパーティーを終えたコナンは、緩んだマフラーを整えながら足早に居候先へと向かっていた。時刻は午後六時過ぎ。つい二日前に冬至を迎えたばかりの空は既に真っ暗になっている。今年は暖冬傾向だというものの日が落ちてしまってはやはり寒く、いっそ目的地まで走って行こうかと通りの奥を見遣ったそのとき、突然声を掛けられた。
    「あれ?コナンくんじゃないか、こんばんは」
     驚いて声の方を向けば、肩から大きなトートバッグを提げた安室が立っていた。だいぶ膨らんだバッグの口から長ねぎが飛び出している。
    「あっ、安室さんっ こんばんは……、えっと、買い出し?」
    「そうなんだよ、気合を入れたら少し買い過ぎてしまって」
     でも確か……。
    「安室さん、今日はイブでお客さん多いのに午前中しかポアロに出られないって梓姉ちゃんが嘆いてたけど」
    「午後から別の用事でね。でももうそれも片付いたし、この後更に別件で作るものがあるから、そのための買い物だったんだ。コナンくんは探偵団のみんなとパーティーだっけ?」
    「うん、そうだよ。博士の家で……」と返事をしつつ。普段プライベートなことはあまり話さない安室の別件が気になってしまい、頭をフル回転させる。——安室さんがポアロの仕事意外で料理を作る用事ってなんだ? 普通に自分の夕食を作るならあんな言い方しないだろうし、ここまで大量に買ってるってことは誰かに振る舞うのか? くっそー、全然わかんねぇ——
    「……くん、コナンくん? 大丈夫?」
    「え?あ、うん!ちょっと考え事してただけ」
     顔を覗き込まれ、いつの間にか自分が黙り込んで熟考の淵に沈んでいたことに気づく。別に聞いてもいいのだろうが、何かと秘密の多い彼のことだ。答えてもらえる可能性は決して高くない。
     疑問を燻らせたまま今度こそ当たり障りのない会話を続けているうちに、毛利探偵事務所の入るビルまで辿り着いてしまった。
    「それじゃ安室さん……、へ?」
     別れの挨拶をしようとしたのだが、何故か安室も事務所や住居スペースのある上の階へ向かおうとしていたため無意識に動きを止める。
    「安室さん、小五郎のおじさんに何か用なの?」
    「ふふっ、それは中に入ってからのお楽しみさ。ほら、早く行こう」
     楽しそうに差し出された手に引かれ、三階までやって来たコナンは玄関の扉を開けた。

    「ただいま戻りました」
    「安室さん、買い物を任せてしまってすみません。あら、コナンくんも一緒?ちょうど準備ができたところだから早く入って」
    「お、やーっと来たわね、ガキンチョ。安室さーん、野菜こっちにお願いしまーす!」
    「蘭ちゃーん、ビールのおかわりちょうだーい!」
    「ちょっとお父さん、始まる前から何杯飲む気?」
     怒涛のように流れてくる言葉に処理が追いつかない。
    「こ、これは一体……?」
    「こないだ園子とポアロに行ったときにクリスマスの話になってね。コナンくんはみんなとケーキ食べてくるし今年はどうしようかって言ってたら、安室さんが『鍋はどうでしょう?』って」
    「もうだいぶ寒くなってきたし大人数のときにはもってこいだと思ったので。そしたら僕も誘って頂いたからお言葉に甘えさせてもらった、というわけなんだよ」
    「世良ちゃんも誘ったんだけどねー、お兄さんとご飯食べるって言って来なかったのよ」
    「え、クリスマスに鍋? チキンとかじゃなくて?」
     蘭の説明に安室と園子が補足するがいまいち納得がいかない。勿論状況は分かった。分かったが。園子は最初から頭数に入っていたとして、どうしてバイトに本業に裏稼業にとおおわらわなはずの大の大人がお言葉に甘えて毛利家のクリスマスに参加しているのだ。大体鍋なんて提案したら蘭の性格からして誘われることぐらい分かっていただろう。つまり最初から自分も相伴に与る気満々だったということだ。もしや本当に暇なんだろうか、いや彼に限ってそんなはずは……。
     暫くしてある可能性に思い至ったところで、タイミングよく出来上がった鍋が食欲をそそる香りとともに運ばれてきた。蓋を開けると大量の湯気の後、よく火が通りくったりとした白菜と豚肉が顔を出す。
    「うまー!」
    「美味しい!」
    「やっぱり寒い日は鍋よねー!」
     さあ、宴の始まりだ。さっきまで内心鍋に不満タラタラだったコナンも舌鼓を打つ。食べてしまえば美味しいのだから仕方がない。

     五人で鍋を綺麗に平らげた後も暫く思い思いのものを飲みながら話に花を咲かせていたが、小五郎が寝てしまったことで何となく片付けが始まった。
     ふと服に重みを感じた安室が視線を下に移すと、食器を運びながら近づいてきたコナンが裾を掴んでいる。何か伝えたいことがあるのだろうとコナンに合わせてしゃがみこみ「どうしたんだい?」と応じると、何やら心配そうな顔をされてしまった。
    「安室さん、もしかしてクリスマスに一人でいるのが寂しかったの?」
    「ぷっ、まさか。たまたま蘭さんと園子さんが話してるところに居合わせて、たまたま誘ってもらったからお邪魔したんだよ」
    「ふーん、たまたまねぇ。ま、いいけど。クリスマスに鍋ってどうかと思ったけどよく考えたら凄く安室さんらしいよね、やってみたら意外と楽しかったよ。寒い中買い出しに行ってくれてありがとう」
    「どう致しまして。コナンくんも楽しんでくれたようで良かったよ」

     ——そう、これが「「僕」」からのプレゼント。

     そうして互いにニヤリと笑った後はそれぞれに片付けを続け、安室発案のクリスマス鍋パーティーは無事お開きとなった。

     メリークリスマス!
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