【ブラネロ】とらわれた男の誕生日 朝日が昇り始めた時間。鳥の鳴き声が少しずつ響き始めた頃、自室で眠っていたネロが静かに瞼を持ち上げた。
数回まばたきをし、抱きしめているクッションに顔を埋める。そしてくあ、と欠伸をしてから目を擦った。
今日の朝食当番はカナリアだ。久しぶりにゆっくり眠れる日。しかし癖というものは恐ろしく、いつもと似たような時間に起きてしまったようだ。
ネロは再度クッションに顔を押しつけ、目を閉じる。二度寝が許されるなんて最高だと思うけれど、やはり習慣になっているからか、眠気はあるものの、眠りに至らない。
「……カナリアの手伝いでもするか」
二度寝を諦めてベッドから下り、パチンと指を鳴らせば一瞬で着替えは終わる。こういうところで魔法は便利だなとネロは心から思う。
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