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    ただの性癖です。その2。
    自分の中の中二病が炸裂したネタ。何でも許せる方にだけ。
    みかつる&🍯🌰の異世界パロ。死にネタ。
    違う名前で呼ばれたりするので、苦手な方はご注意ください。
    とにかく書いてる本人だけが楽しい小話です。
    推しの死にネタが好きすぎる気がして反省。
    今回は🍯🌰が登場です。

    fairy tale 2『ねぇ、鶴さん!今〈オーロ〉って呼んだよ!!』
    『言ったかぁ?おーおー、って唸っただけじゃないのか?』
    『絶対言った!ね、貞ちゃんも聞いたよね!』
    『おれだって〈オーロ〉って言えるじぇ!みっちゃん!』
    『うんうん、貞ちゃんもすごいねぇ。カッコいいよ!
    すごいね、〈シュヴァルツ〉。1歳になったばかりなのに、もうお話できるんだね!』
    『まったく、光坊は大げさだな。』
    『なぁ、鶴しゃん、つぎこの本読もうじぇ!』
    『おう、まかせとけ。どれ。』
    『むかーしむかし…』




    差し込む光に朝が来たのだと知る。

    意識が浮上してぼんやりと瞼を上げた。見知らぬ天井だ。
    そうか、外に出たのだったーーー昨夜の顛末を思い出しゆっくりと起き上がると、俺を連れ出した張本人は、既に起床して朝食を準備しているところだった。
    「光忠。」
    「あ、おはよう伽羅ちゃん。よく眠れたかな。」
    名を呼ぶと満面の笑みで挨拶を返される。光忠が研究所を出るまではこれが日常だった。ふと懐かしい気持ちになった。
    「おはようの挨拶…」
    まだ意識がはっきりしないが、「ん」と光忠に向けて顔を向ける。
    その所作に、笑いながら光忠は近づき、ちゅ。と可愛らしい音を立てて、光忠は俺の頬に唇を当てた。
    「もう、伽羅ちゃんは相変わらずだね。そんな可愛いこと、みんなにやっちゃ駄目だよ。」
    上機嫌で言う男は「朝ごはん、もうすぐだよ」と言いながらキッチンに戻ろうとする。またこの繰り返しか。
    「あんた、口にはいつになったらしてくれるんだ。」
    声音に不満がありありと出たのは態とだ。光忠は目を見開きながら振り返った。
    「わ!伽羅ちゃんたら、そんなこと言うの??もう誰の悪影響かなぁ。」
    無言のまま光忠を眺めていると、「鶴さんだよね、まったく…」と一人で納得して、もう一度こちらに近づいてきた。俺の目の前で人差し指を立てて左右に振る。
    「唇は駄目だよ、伽羅ちゃん。大人になってから。」
    この国では成人は14歳だ。
    そういう法律にはうるさいのだ、この男は。無駄に整ったその顔で真剣にそんなことを嘯く。
    手強いな。思わず舌打ちしたら、「あ、お行儀悪いよ。」とさらに叱られた。

    燭台切光忠は、俺が生まれたときからの馴染みだ。俺は五条博士という、底抜けに明るく狂った学者の研究対象として、人の腹を介さずに生まれてきたそうだ。
    研究所の詳細は未だによく知らない。五条博士とその妻は、所内でも序列の高い学者夫婦で、広々とした庭のついた一棟建ての研究スペースを宛がわれていた。
    俺が接したことがあるのは、同じく五条博士の研究対象である国永、五条夫人本人と、その研究対象として暮らしていた貞、それから光忠だ。
    日々の世話をしてくれる研究員はいたが、会話もほとんど記憶にない。
    他の棟でどんな研究がされているのかなんて、もちろん俺たちモルモットが知らされることはなかった。

    7つ上の光忠に対する想いが、思慕ではなく恋慕だと気づいたのは、光忠が軍に入隊して研究所からいなくなってからだ。
    たまに様子を見に来てくれた光忠に、俺なりに何度か告白だってしているのだが、この色男は全く絆される様子もない。腹立たしい。

    「伽羅ちゃん、おいで。お腹すいてない?白パンあるよ。好きだろう?」
    テーブルに朝食を配膳し終えた光忠は、いつまでもベッドから出てこない俺に、心配そうに声をかけてくる。この男はどこまでも過保護だ。俺は両手を光忠に向けて言ってやった。
    「抱っこ。」
    言われた色男は、見る間に頬を染めて慌てる。
    「伽羅ちゃん、駄目。そんなの可愛すぎて、僕息が止まっちゃうよ。」
    そう言いながらも、この男は俺の要求を断れない。まだ赤い顔のまま近づいてきて、俺の望みを叶えるのだ。
    「わ、ちょっと身長伸びてるかな。前よりも重くなってるかも。しっかりご飯食べてたんだね。えらいえらい。」
    抱き上げられて、目線が光忠より高くなる。俺を見上げる金色が、殊更優しく細められた。
    「186㎝もある大男に言われてもな。」
    「え、僕別に太ってないよ!」
    ニヤリと笑って返すと、何を勘違いしたのか、少し焦った様子で自らの体型を省みている。
    あんた、俺より7つも年上なくせにこんなんで大丈夫なのか。
    腰回りをしきりに気にして、よそ見する光忠の唇に狙いを定めて、すっと顔を近づける。
    「こぉら。駄目って言ったでしょ。」
    直前で口を覆われた。くそ。
    「おふざけも程々にしよう。スープが冷めちゃうよ。」
    こちらは大真面目なのに。あんたにはいつだって届かないんだ。

    朝食を取りながら、光忠は簡単に現状を教えてくれた。
    今いるここは、複数ある光忠の隠れ家だそうだ。市街地から遠いとはいえ、研究所があった地域とは隣接しているから、長居はできないらしい。そこで光忠から提案があった。
    「国境を越えて、海を目指そう。」
    「海?」
    「そう。伽羅ちゃん、行きたいって言ってただろ。」
    確かに言った。だが、それは…
    「5歳児の発言、真に受けたままでいるな…」
    こんな風に、幼いころの自分の発言を恥ずかしげもなく晒されると、どうしようもなく年齢差が疎ましくなる。俺はあんたに、父や兄になってほしいなんて思ったことはないんだ。
    「いいじゃない。僕も本物は見たことないんだ。きっと綺麗だろうなぁ。見てみたくなぁい?」
    いい年した男が小首を傾げるな。くそ、なんで俺はこんな奴が好いんだ。
    「見たい。」
    俯いたまま最後のパンを咀嚼して、なんとか答えた。
    「そう、よかった。伽羅ちゃんのお誕生日までには海も超えて、できるだけ遠くにいたいよね。」
    光忠の言葉が引っかかって、俺は顔を上げた。季節は夏が始まるところだ。対して俺の誕生日は冬だ。
    「海って、そんなに遠いのか…」
    俺は生まれてから一度も研究所を出たことがない。この国の面積だとか、隣国の名前だとか、世間でいうところの常識くらいはあるが、あくまで机上の知識でしかない。

    「そんなことないよ。7日くらいで普通は着くんじゃないかな。」
    眉をハの字にしながら、光忠はちょっと困ったように笑って視線を背けた。
    「でも、鶴さんも追いかけてくるだろうし。研究所、僕らのせいで全壊しちゃったからね。怒って政府とかの人も来そうだから。ちょっと時間がかかると思うんだ。」
    やりすぎちゃったかなぁ。鶴さん、絶対に怒ってるよね…お説教厳しいからなぁ。はぁ、かっこつかないよねぇ。と詮無いことをブツブツ呟きながら、光忠がこちらを見る。
    「伽羅ちゃん、せっかく外に出てきたんだ。今まで行けなかったところに行ってみよう。やりたいこともたくさんやろうね。」
    にこり。と花でも咲くんじゃないかと思うような極上の笑みで見つめられ、胸が高鳴る。
    「あんた、今朝は起きてから上機嫌だな。」
    動揺を悟られたくなくて、努めて平静を装う。
    「そりゃ、伽羅ちゃんがいるんだもの。」
    ストレートな物言いは残酷だ。まだ期待したくなる。
    思わずじっと光忠を見つめていると、何かに気付いた光忠が、ゆっくりと長い指を俺の口元に寄せてきた。
    触れられた指先に伝わるくらい、顔中に熱が集まる感覚がする。なのに、「食べかす、ついてるよ」なんて言って、指はすぐに離れた。

    早く大人になりたい。あんたにちゃんと俺を見てもらいたい。

    そう思ってたのに。

    なぁ、あんた。もしも俺が14まで生きられないって聞いたら、いったいどんな顔するんだ?
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    906

    DONEちゅきこさんの【Dom/Subユニバース】『COLORS』シリーズ設定の獅子王×加州SSです。本編メインカプは🍯🌰ですが、こちらは🌰の高校の先輩獅子王くんと🍯さんの同僚加州くんの話。
    チラチラ本編のネタばれアリ。また、D/S初心者の勝手な解釈がてんこ盛りの何でも許せる方向けの極みですので、自衛お願いたします。

    ちゅきこさん、いつもありがとうございます✨
    カサナル、ココロ「痛っ・・・!」
    思わす体がこわばったのは、恋人にも伝わっただろう。
    幾度目になるかわからぬお泊りの夜。
    獅子王は今夜こそは、と内心期待をかけて、加州清光の家へ足を踏み入れた。

    一目惚れから始まった交際はそろそろ半年になる。
    お互い、いい大人だ。もう一段階踏み込んだ関係になっても何も問題はない。そう思っていた。

    何の予定もない週末を控えた金曜日。獅子王は意気揚々と加州のマンションに現れた。手土産にデパ地下のデリでつまみを買ってきた。加州が好きだと言っていたブラッスリーのバゲットは、獅子王の会社からここまでの道のりにあるので、毎週立ち寄ってしまう。
    出迎えた加州が用意した、青江にもらったというチーズをバゲットに合わせ、加州が最近気に入っているという蜂蜜ワインを相伴に預かる。こっくりとした味わいもいいが、やっぱビールが一番だ!と宣うと、呆れたような、それでいて優しさのにじみ出る笑みを浮かべる加州。いつもと変わらない夜だった。
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