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    ちゅきこさんの【長船の密かなる晩餐(くりんばだと思ったらみつくりだった)】のスピンオフちょぎくにです。
    初ちょぎくになので、違和感が…すみません💦
    無理矢理描写もありますので、苦手な方は自衛お願いいたします。
    毎度のことですが、何でも許せる方向けです💦

    夜食遠く聞こえる長鳴鳥の声が夜明けを告げる。
    まとまらない思考のままに、山姥切長義は外廊下へ出た。
    振り返りもせず、音もなく障子戸を閉める。
    部屋の中に籠る濃密な空気には、敢えて気づかないふりをした。

    心の内とは真逆に白んでいく本丸の廊下を歩く。
    気付けば厨まで来ていた。
    喉を傷めただろうから、水くらい渡さねば。
    浮かんだ言葉に、知らず奥歯を噛み締めた。

    「やぁ。随分早いね」
    厨番が来るにも早い時間に先客だ。
    「おはよう、ございます」
    厨から出てきた燭台切光忠は、やけに上機嫌だった。
    「伽羅ちゃんが疲れているからね。簡単に食べられるものを頂きに」
    聞いてもいない疑問は顔にでも出ていただろうか。
    大倶利伽羅、の名前に過剰に反応しなかったことだけが救いだ。
    不自然にならないよう、水を取ろうと長義は厨に入る。
    「ああ、長義くん」
    すれ違い様に燭台切が声をかけた。
    「ありがとう。山姥切国広くんにもよろしくね」
    なにが?とも何故それを、とも問えなかった。
    思わず息を飲み、言葉が出ない。燭台切は何を知っているというのだ。
    立ち尽くす長義に、燭台切は思い出したように一度だけ振り返ると、
    「宝物、気が付けないとなくなっちゃうからね」
    気を付けて。そう言ってうっそりと微笑むと、今度こそ燭台切は廊下の先に消えていった。

    戻った自室の前で一度立ち止まると、長義はゆっくりと息を吐き、障子戸を開けた。

    衝立の向こうに、静かな寝息が聞こえる。
    まだ眠っているようだ。
    枕元に水を置くと、長義はようやく惨状に向き合う。
    己の寝床に乱れた姿で眠るのは、山姥切国広だった。

    昨夜、廊下を走る勢いで歩く国広を見咎めた長義は、彼を呼び止めた。
    立ち止まった国広の様子を長義は訝しんだ。顔は紅潮し、着衣も所々に乱れがある。
    『本科…』
    情けない顔を上げた国広に、苦言を吐く。
    『たとえ偽物でも、山姥切を名乗ろうという者の姿ではないな』
    その言葉にびくりと肩を震わせるのにも違和感を覚えた。平静なら型通りの口答えが来るはずなのだ。
    国広は何か言おうとして口を噤み、再び目線を下げた。
    『気に入らないな』
    予感がした。何かが起きている。
    大した抵抗をされることなく、そのまま自室に引き摺り込むと、事の顛末を聞き出した。勢い、誰に何をされたのかまで耳に入れたところで、目の前が真っ赤になった認識だけはある。あとの記憶は朧気だ。


    『痛っ…!なにする…っ!』
    切れ切れの記憶が蘇る。
    『お前は、俺の…………、俺の写しだろう……!!!』
    あの時自分は何を伝えたかったのだ。
    『ごめ…なさ………本科…ご…め………』
    必死に声を抑えていた国広の、耐えきれなくなったあとに出た、幼子のように泣きじゃくる声が今も脳裏に響く。

    己の写しを汚したのだ。他でもない自分が。

    手首には縛られた痕。強く掴んだせいだろう。痩せた腰には、数本の指と思しき痣が浮く。途切れ途切れに聞こえた嬌声と謝罪、しかし『やめろ』とだけは言われなかった。
    最低な暴力だ、こんなの。情交などとは程遠い。

    ただの刀であれば、こんな思いを味わうことはなかったであろうに。
    何故お前が写しなのか。

    燭台切の言った言葉が思い出される。
    『宝物、気が付けないとなくなっちゃうからね』

    二本の指で国広の口唇に触れる。未だ起きる気配はない。
    いっそ口づけてしまえればよかったのだろか。
    そっと自らの口に指を押し当て、長義は静かに目を閉じた。










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    DONEちゅきこさんの【Dom/Subユニバース】『COLORS』シリーズ設定の獅子王×加州SSです。本編メインカプは🍯🌰ですが、こちらは🌰の高校の先輩獅子王くんと🍯さんの同僚加州くんの話。
    チラチラ本編のネタばれアリ。また、D/S初心者の勝手な解釈がてんこ盛りの何でも許せる方向けの極みですので、自衛お願いたします。

    ちゅきこさん、いつもありがとうございます✨
    カサナル、ココロ「痛っ・・・!」
    思わす体がこわばったのは、恋人にも伝わっただろう。
    幾度目になるかわからぬお泊りの夜。
    獅子王は今夜こそは、と内心期待をかけて、加州清光の家へ足を踏み入れた。

    一目惚れから始まった交際はそろそろ半年になる。
    お互い、いい大人だ。もう一段階踏み込んだ関係になっても何も問題はない。そう思っていた。

    何の予定もない週末を控えた金曜日。獅子王は意気揚々と加州のマンションに現れた。手土産にデパ地下のデリでつまみを買ってきた。加州が好きだと言っていたブラッスリーのバゲットは、獅子王の会社からここまでの道のりにあるので、毎週立ち寄ってしまう。
    出迎えた加州が用意した、青江にもらったというチーズをバゲットに合わせ、加州が最近気に入っているという蜂蜜ワインを相伴に預かる。こっくりとした味わいもいいが、やっぱビールが一番だ!と宣うと、呆れたような、それでいて優しさのにじみ出る笑みを浮かべる加州。いつもと変わらない夜だった。
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