舎弟より特別な「雄大くんっていい兄貴分だよな」
門倉の元へ書類を持って行った帰り、南方は隣の部屋から聞こえてきた言葉に足を止めた。
雄大くんとの呼び方からわかる通り、この部屋にいるのは門倉の黒服だ。舎弟とも言い換えてもいい奴らでもあり、中には自分が街を牛耳っていた時に見た顔もちらほらいる。
そんな奴らがする門倉の話。南方の知らない一面も語られるのだろうかと思わず聞き耳を立ててしまう。しかし理性が盗み聞きはいけないだとかなんだとか訴えてきたせいか、ただでさえ目立つ巨躯は舎弟たちから見える位置だというのに隠れことが出来ていない。
当然それに気付かない舎弟たちではなく、一人立ち上がると南方が立ちすくんでいる方の扉を開く。
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