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    しんべえ

    腐/CP厨
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    しんべえ

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    リメショ雨彦×鬼翔真の鬼ショタ雨華小説。
    二話目。時代設定は明治後期。
    ほんのりエロ。

    #アイドルマスターSideM
    theIdolm@sterSidem
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    parody

    狐に嫁入り 弍桜井市巻向に、御綱祭りという奇祭がある。
    五穀豊穣、子孫繁栄を祈る神事で、決して荘厳なものではなく、田遊び祭りである。
    毎年ではないが、人手が足りないときは、父と共に手伝いや片付けに来ていた。今年は声が掛かった。
    雨彦はこの祭りが苦手である。
    当日。如月らしい、寒々しい灰色の空の下。今日は空気が一際冷たい。
    二十人は居るであろう、酒の入った男達に担がれた大きな「雄綱」が、「雌綱」の待つ神社へ向かう。
    雄雌は藁でこさえられた巨大な性器であり、これを見ただけでも、年頃の少年はげんなりとしてしまう。
    前々日も、出発地の神社近くの広い納屋で、地元民らに混じり父と共に雄綱作りを手伝った。
    父には昔馴染もおり、来たときは周りと楽しげであるが、雨彦は、大勢で和気藹々と男根をこさえるという状況に、無心を決め込み藁を纏めていた。
    その手元。左手首の念珠からは、飾り房が無くなっている。あの何か強い力が弾けた時、切れてしまったのだろう。
    物心ついた頃から身に付けているので、御守代わりのようなものだ。少々寂しくはあるが、言い訳が考えつかないので、ここ数日は父と叔母に気付かれぬようにしている。

    さて、重いし担ぎ手達に酒は入っているしで、雄綱の歩みは、のろのろと遅い。
    大勢の見物客を巻き込んで町を抜け、畑の傍での泥相撲を挟み、さんざん焦らすようにしてから、雌綱のもとへ到着する。
    雄綱が近付いて来ると、到着地の神社では、雌綱が相手を迎えるため大きな柱に吊り上げられるのだが、そうすると、見事に女性の入口の形に開くのである。
    (......)
    その光景を、わぁわぁ言っている見物客らの後ろから、泥の跳ねたたっつけ袴の雨彦は、なんとも言えぬ表情で観ている。
    「あかん。お婿さん、でかすぎた」
    「入るやろか」
    「ええから!お嫁さん待ってはんで!」
    という参加者らの大声も、心を無にして聞き流す。雄雌の綱は別の場所で作られるので、大きさを合わせるのは難しい。
    それでも、おめでたい掛け声と共に、何度か突くような動きがあった後、雄綱が雌綱を貫き、無事合体。夫婦の契りとなり、拍手喝采が上がった。
    (なんだこれ......)
    幼い頃は意味が分からなかったが、近年分かるようになってから観てしまうと、なるほど「奇祭」と呼ばれるわけだ、と納得する。

    この光景を前にして思い返すのは、相手に申し訳ないが、
    あれから翔真の事が、片時も頭から離れない。
    自分に話しかける時の、優しく甘い声。艶々とした肌。長い指。薄紅色の艶やかな唇。長春色の濡れた舌......。
    真っ先に性的な特徴から思い出す自分が、後ろめたい。冬空の下だというのに、体が熱くなる。
    雨彦とて、翔真が自分を宿に連れ込み、何をしたかったかぐらい、解る。
    正直、今となっては、ついていけば良かった、とさえ思っている。
    あやかしだとしても、ともすると、自分一人で対処できたかもしれないし、
    純朴な子供のふりをしていれば、何から何まで教えてくれたかもしれない。
    (華村さん、どうしてるかな)
    雨彦はこれまでの人生、他人を必要以上に気に掛けたことはない。
    だが今は、翔真の事が只々気になるし、あろうことか、嫉妬までする。
    あの調子で翔真が、他の男に言い寄っていたらと思うと、その相手に、嫉妬する。そして、苦しくなる。
    こんな気持ちが延々続くのかと思うと、面倒だった。
    もやもやとした気持ちを紛らわすため、今朝は起き抜け翔真を想い、自慰に耽った。
    実際に受けたことはないので想像には限界があるが、自分の股の前に膝をつき、抜き身をあの長い指が捕らえ、濡れた熱い舌を先端に這わせてから、美味しそうにしゃぶり立てて......
    「何を考えてる?」
    良いところだったのに、視界の左側からニヤついた父が覗き込んできて、雨彦は顔をしかめた。
    「お前さんも年頃だから、イロイロ思う事も、あるだろうなぁ」
    からかうように言う父の視線の先を追うと、観衆の向こう、めでたく挿入された雄綱と雌綱が二度と離れぬように、上に乗っかった長老によって、きつく縛り上げられている最中だった。
    雌綱が雄綱を逃がすまいと、ぎゅうう、と締め上げているようにも見える。
    「別に、何も」
    「そうか。なら、帰るぞ」
    「片付けは」
    父の眼差しが、真面目なものになる。
    皆が綱のほうに集中しているのを、ちら、と確認してから、手に隠していたヒトガタを、息子に見せた。風もないのに、手と頭がヒラヒラと、落ち着きなく揺れている。
    「すっ飛んで来た。早く戻ったほうがいい」





    阿倍に着いた頃。
    夕刻というにはまだ少し早いが、空はどんより暗くなり、しんしんと雪が降っていた。
    父は家の心配をしているが、雨彦は、翔真が盆地特有の底冷えに凍えていないか心配だった。
    文殊院の東に伸びる小高い丘の、ちょっとした森に隠されるようにして、葛之葉邸は建っている。
    北側の通りからも、見上げて目を凝らせば塀が見えるのだが、現地民らはずっと寺院関係の建物かと思っており、気にも留めない。
    通りから森へ入り、少し歩けば、門長屋。その向こうには、主屋、離れ、道具蔵が、ぴしりと並んでいる。主屋は入母屋造りの立派な建物である。
    雨彦と父が帰ってくると、主屋の前に、叔母が難しい顔をして立っている。何か作業した後か、着物の上に着た生成色の割烹着が、随所黒っぽく汚れていた。
    「どうした」
    「話すわ。とりあえず、中へ」
    叔母は雨彦には、
    「あなたは部屋に戻りなさい。今夜は出ないように」
    と、口早に言った。些か厳しい表情だった。
    母代わりに自分を見てくれている叔母に対して、雨彦は記憶上、口答えしたことはない。理不尽に思おうと、不思議に思おうと、腹に落とし込みそのまま、何か言い返す事はなかった。

    とはいえ、
    (出ないように、って)
    そう言われたら、抜け出したくなるのが思春期の少年である。
    雨彦は自室......主屋の裏口から飛石で繋がる、離れ.....におとなしく引き籠ったが、父と叔母が何を話しているのか、気になって仕方がない。
    あれから陽は落ち、辺りは暗い。火鉢に手をかざしながら、丸窓から主屋を見ると、あちらの縁側を挟んだ向こう、書斎の格子入り障子は、長いこと灯りに照らされている。
    盗み聞きしに行きたいが、あの二人のことだ、すぐに気付かれてしまうだろう。
    叱られて、もともと。 近くまで行ってみようか、と雨彦は、決心したように玄関へ降り、物音を立てぬよう、そうっと引戸を開けて出た。

    雪は止み、薄い雲から月が見え隠れしている。
    中庭へ出るとすぐ、ある香りに気が付いた。
    横目に、うっすらと雪を纏っている椿が見えるが、此れではない。
    梅の香りが、ふわりと鼻につく。
    芳醇な白梅の、甘い香りがする。どこからともなく、漂う。
    「......」
    雨彦は胸が高鳴って、主屋には向かわず、離れから左手に進んだ。
    夕闇のなかにそびえるのは、道具蔵だ。
    ここには、家業に関するものが納められている。
    蔵戸には常時鍵がかけられており、雨彦は何処に保管されているのかも知らない。
    主屋のほうを振り返り、誰も居ないことを確認すると、雨彦は胸元から一枚、ヒトガタを取り出した。
    (いけるか......?)
    まだ完全に使いこなせるわけではないので、集中する。
    指の上でひとりでに、ヒトガタの頭と手が震え始めたかと思うと、グシャグシャと〝こより〟状に細くなってゆく。
    太い針のように硬く変化した其れは、紙とは思えない。錠前に挿し込み、中で少し動かしてみると、ガチャリ、と外れた。
    (お)
    雨彦はうまくいった事に、思わず、子供らしく口許が綻んだ。
    何分まだ幼いところもあるので、父からでも叔母からでも、誉めてもらえるのは、嬉しい。
    翔真なら、「凄いね、おキツネちゃん」などと言って、誉めちぎってくれるかもしれない。
    (華村さんじゃ、ないかもしれないけど)
    と思ってはいても、気は急いた。

    蔵戸を開けると、隠せない開閉音に反応するように、奥から、床板の軋む音が聞こえた。
    居る。
    道具蔵の中は不気味な暗さで、いっそう冷えたが、半ば〝熱に浮かされている〟今の雨彦にとって、寒さは問題ではなかった。
    一歩踏み込むと、こちらも床板が軋む。
    「「......」」
    両者、無言。
    入口から離れた暗がりでよく見えないが、真正面の壁に背を預け、こちらを向くようにして、誰かが、足を崩して座っている。
    天井近い窓から差し込む、弱い月明かりがぼんやりと照らすのは、光沢のある襦袢か。
    いや、素肌か。艶かしく曲線を描いた、生足。
    「誰」
    威嚇しているようにも、怯えているようにも聞こえた。
    しかしその質は、鼻がかった甘い声。
    雨彦は、まだ相手の姿も見えていないのに、頬が熱くなるのを感じた。
    「......おキツネちゃん?」
    恐ろしいもので、気配で分かったとでもいうのか、あちらから聞いてきた。
    雨彦は翔真に会いたかったが、ここへ来て、少し躊躇する。
    此処に立ち込めている空気が、明らかに〝人ならざる者〟のそれだからだ。
    暗がりから、あの、ふふ、という可愛い笑いが響いた。
    「良かった。此処へ来たら、会えると思ったの」
    「......華村さん、捕まってるの」
    翔真の笑顔は見たいが、修練を積んでいるだけあり雨彦は、冷静な対応を始める。
    雨彦の声を聞いて、翔真はまた、嬉しそうに短く笑った。
    「そうなのよ。勝手に忍び込んだ、私が悪いんだけど」
    反省はしていない、明るい口ぶりだ。
    雨彦の想像だが、家の中か敷地内をうろつく、人ではない者......翔真......を叔母が、式神の力で捕らえ、ここに拘束したのだろう。
    「ねぇ、おキツネちゃん。助けてくれない?」
    暗がりの中でも白く艶やかに光る生足は、揃って左向きに倒れていたが、一旦膝が立ったと思ったら、そのまま絶妙な内股へと崩された。
    雨彦は、ドキリとする。
    この位置からでも分かる肌面積があまりにも広く、何も穿いていないのではないかと思うほどだ。
    もしそうならば、このまま膝を開けば、中心が見えてしまう。同性同士であるのに、見てはいけないもののような気がして、雨彦は気持ち、視線を外した。
    「助けてくれるなら、良いコトしてあげる......」
    言い終わり、こちらを試すような、吐息混じりの色っぽい声だった。
    これで男の部分が刺激されないほうがどうかしている。
    雨彦は先ず、翔真が何者か尋ねたかったが、自分が何者か聞き返される事まで想像した。それには今、答えたくない。
    「......」
    そっと、歩み寄る。
    一瞬。ピクリ、と翔真の足が震えたのを、見逃さない。
    (華村さんだって、恐がってないわけじゃないんだ)
    近づいていくと、時宜を図っていたかのように、月明かりが強くなる。
    雨彦は、翔真の艶かしく照らされた足から、腹筋横が見えるような幅の、ぴったりとした腹掛け......裾中央が股を潜ったような形で、下に何も穿いていないわけではなかった......、相変わらずの美顔まで、視線を上げる。
    「......」
    後ろ手に縛られている翔真は、負けん気の強さから、なんとか雨彦と目を合わせているが、その眼差しは不安げだ。
    眉を下げたその顔は、世の男が見れば皆放っておけないだろう。
    張りのありそうな太腿と二の腕、腹掛けから覗く、むっちりとした腹筋と豊かな胸は、どこもかしこも触り心地が良さそうである。こんな状況であるのに、あらぬ事を妄想させる。
    ......勿論、額から生える、二本の角が見えていないわけではない。
    (べっぴんな鬼も居るもんだな)
    翔真は、雨彦が自分を見て怯えると思っていたが、いたって冷静なので、意外だった。やはり不思議な少年だ、と思ったし、この姿を見て怖がられないのは、素直に嬉しかった。
    「俺の一存じゃ、助けられない」
    「そう......」
    しゅん、と視線を落とした翔真を見て、可哀想だとは思った。が、演技かもしれない、と疑わなくてはならなかった。
    「今、華村さんをどうするか、話し合ってると思う」
    翔真は、すがるように顔を上げた。
    「お願い。説得して」
    雨彦は翔真の姿に、南総里見八犬伝の玉梓を重ねた。捕らえられてもなお、生来の色香を放っている。
    だが翔真の場合は彼女とは違い、陰か陽でいえば、陽の色香である。温かさが感じられるような......母性が感じられるような......。
    「おキツネちゃんがしてほしいコト、何でもしてあげるから......」
    右膝が左膝の上に乗っていたのを、わざとらしく、すぅ、と反対へ組み替える。それだけなのに、腰からくねらせるような、艶かしい動きだった。
    切な、中心の小さな膨らみが分かったし、
    翔真の腹掛けだか服だか分からないようなものが、背中どころか尻まで完全に出ていることが分かって、雨彦は目のやり場に困る。
    ......といった様子を、翔真はしっかりと見ている。
    「私のこと、おキツネちゃんの好きに使っていいのよ?」
    小さく口を開き、下唇に舌先を乗せて見せる。
    今朝がたの妄想がぶり返し、少年の頬が暗がりの中でも分かるほど赤くなった。「使って」という言葉選びも、扇情的で効いたのだろう。翔真は、もうひと押しだ、と思った。
    「助けるのは後でいいから、、ね? お口でちゅぽちゅぽしてもらうの、気持ち良いわよぉ」
    口はそのままに、艶っぽい笑みで見上げてくるものだから、雨彦は自分の中で、かぁぁ、と血が沸き立つのを感じた。
    (......まずい。持ってかれる)
    のまれてはいけない、と、思い出したように視線を外して、一度、深呼吸する。......深呼吸したところで、翔真が放つ甘い梅の香りを、胸いっぱい吸い込むだけなのだが。
    「......悪いことしてないなら、問題にはならないし、帰してもらえる。でも華村さん、悪いことしてそうだから、難しいかも」
    ここまでしても誘いに乗ってこないので、翔真は肩透かしを喰らったように、芝居然と、肩だけでズルッと〝コケて〟みせた。
    こんな年頃の男子も漏れなく一発で仕留めてきたが、雨彦の身持ちの堅さには、どうも手こずらされる。
    「そうね。確かに、やらかしたといえば、やらかしたわ」
    「どんなこと」
    「聞きたい?」
    翔真に微笑みかけられる度、雨彦は、綣の下あたりがムズムズとした。
    「おキツネちゃんには、ちょっと刺激が強いかもしれないけど」






    「このまえ奈良で合流したとき、いい香りがしたんだよ。聞けば、ならまちで〝つきまとわれた〟と言うから、そういう事にしておいたんだ」
    「後ろめたい事があったということね」
    和室の書斎には、左右の壁に本棚が並び、角には、縁側へ向くように文机が置かれている。
    部屋の中央には、引き出し付きの小さな座卓が置かれ、それを挟み、父と叔母が向かい合っている。
    座卓の上には、見覚えのある、金茶色の飾り房。
    鬼が気を失っている間に押収した持ち物である。
    彼の着物からは、武器の類いは一切出てこなかった。袂や巾着から出てきたのは、柘植櫛や化粧水、紅、しまいには、潤滑油らしきものが入った小瓶......。
    外見の特徴や持ち物の雰囲気からして、少し前から耳にしている、「方々で食い散らかしている鬼」と見て間違いない。と、二人は話していた。
    我が子が、甥が、淫魔と接触済みである事に、些か複雑な心持ちである。
    父は、息子が昼間の祭りのあいだ、明らかに何か考え事をしていたのを思い出していた。
    「いい加減、如何するか決めないと。もう目を覚ましているかもしれないわ」
    昔々のほうが、人外の者は意外にも、人間とうまく共存していた。
    どちらかといえば人間のほうが寛容で、友好的であったり生活に協力的な人外に対しては、差別なく普通に接していたのだ。地域によっては、精霊や神と崇めるようなところもあった。
    しかし、文明開化したような近代の世になって、人外は、見つかれば始末される事が殆どだ。人間が、よく解らないものや不思議なものを恐れ、共存よりも排除するようになったのである。
    「下北山村かねぇ」
    かつて人間の子を拐い食べていた鬼が居たが、修験道開祖に仕え、改心した。その鬼の子孫が、今も棲む村である。其処でひっそりと暮らしてもらうという、平和的な案だ。
    「そうね、やはり理解ある方でないと。ただ、山中暮らしが好きそうな鬼には、とても......。......」
    ここで、二人揃って、格子入り障子のほうを向く。
    「......」
    「来ましたか」
    怒ることなく。
    寧ろ、穏やかな二つの気配に、少し驚いている。
    父が障子へと立ち片側へ開くと、雨彦と、彼の着物を着せられた美しい鬼(本人の拘りか、衣紋をぐっと抜いた、花魁さながらの着方である)が、手を繋いで縁側に立っていた。
    息子は、些か緊張しているように見える。
    鬼のほうは、障子が開いた瞬間こそ少し目を大きくして驚いたが、
    よい歳の男と目が合うや、にこ、と柔和に微笑んだ。
    (べっぴんな鬼も居るもんだな)
    と思いながら、父は雨彦に目をやったが、
    息子は、何も聞くなとばかりに、やりづらそうに視線を逸らした。

    続く
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    珍しく休日に出かけていた独歩が、左手にぶら下げたビニール袋を掲げて聞いてくる。
    一瞬何のことかわからなくて首を傾げたけど、ビニール袋に印字してあるホームセンターのロゴを見て把握した。
    「なに、また買って来たの?」
    「またって言うな、俺の数少ない趣味のひとつだぞ」
    ちょっと拗ねたように言って、ローテーブルに恭しく置かれたビニール袋から独歩が取り出した観葉植物は、黄色と緑色が混在する多肉植物だ。
    いや、これ絶対俺の髪色と似てるからって名前借りるとか言い出しただろ。
    「別にいいけどさぁ、でも今まで名前なんかつけてなかったじゃん?」
    「ん···なんかおまえの名前つけたら生命力強くなりそうだなって」
    「それは褒められてるんだよね?」
    「もちろん」
    なんだか釈然としなかったけど、その手のひらサイズの「ひふみ」を見つめる独歩の顔がいつになく輝いていたので、それ以上何かを言うのもはばかられた。
    激務が続いて心身ともに疲弊してくると、独歩はよく観葉植物たちに話しかけてるみたいだから、俺の名前がつけられたあいつにも愚痴ったりすんのかなって思うとちょっと面白くて、悪い気はしな 1514