「大丈夫だよ」今日の任務は敵の拠点潜入と資料の入手。他のメンバーと都合が合わず珍しく樹と2人での任務になってしまい少し難易度が高い任務になってしまった。
途中別行動を取ったはいいものの退却するタイミングで見つかってしまい怪我を負ってしまったが合流が先だ。
警報サイレンが鳴る中、退却ルートを進む。
「ブルー!」
「グリーン。合流出来てよかった、」
「!その怪我……」
「大丈夫だよ」
目立つところがやられているだけでまだ動けるし。大袈裟だなぁ。なんてつい笑っていると、
「何言ってるんですか!大丈夫じゃないでしょう!!」
そう言ってああもう、と捲し立ててくる樹の顔は俺から見ても真っ青で。
「と、とにかく撤退しますよ」
と俺の手を引っ張り敵の拠点を脱出する。
「…………あの、」
「…………」
「い、樹?」
脱出からしばらくして黙り込んでしまった彼に恐る恐る声を掛ける。
「…………怪我、見せてください」
「あぁ、あの、ほんとに見た目ほど大した怪我じゃ」
「つべこべ言わない」
反論の言葉を続けたかったけど樹がぴしゃりと言い切り半ば無理やり怪我の治療を始めたので黙る。
「…………」
「はぁ……別に私は叱りたい訳ではないですよ」
「うっ…………」
「あぁいや……言葉を変えますね、貴方がいくら大丈夫と言っても黄島さんや白鷹さんやロイ……皆はそんな姿で帰ったらとても心配しますよ」
樹は手当が上手いのでてきぱきと治療が進む。
「……もちろん私もです。例えばもし青斗が明らかに怪我をした私を見つけたら心配してくれるでしょう?」
「!それは当たり前だ!っ……」
急に動いたせいで痛みを感じて起こしかけた体を止める。それを留めようとしてくれた樹の顔を見るとまだ少し青くて。
「だったら、無茶しないでください。大丈夫も、駄目です」
「…………ごめん。心配してくれてありがとう、樹」
「ほんとに貴方って人は……わかって貰えたならいいですよ。大丈夫な様ならアジトに戻りましょうか」
立てますか?と優しい声が掛かる。
大丈夫、と答えかけて素直にちょっと痛いけど……と言ったらここまできたら安全ですしゆっくり帰りましょうかと樹が穏やかに笑う。
アジトへの帰路につきながら出来ればもうあんな顔はさせたくないな、と思った。空はいつの間にか夜深くなっていた。