樹が最近何かをずっと開発しているらしく、任務がある時以外はよくラボに篭っている。
今日は朝から姿を見てないな……と思って他の皆に聞いても見ていないらしいのでラボまで様子を見に行ったらラボの中はぐちゃぐちゃで。いつも綺麗なのに珍しいなぁと思いつつ山の1つに近づいたらそこに人影が。
「樹?!何やってるんだ、こんなところで」
「…………青斗」
上から覗き込んだ樹の顔は目の下のクマとか色々酷いもので。慌てて山から引っ張り上げる。
「全然ラボから出てこないから心配したんだぞ??」
「少し……研究が行き詰っていて、それで何か打開策がないか考えていたら……えっと今って」
「丸1日は経ってるけどもしかしてずっと起きて作業してたのか?!」
「……そんなに経っていましたか……?」
「もーーー!!とりあえず寝てくれ!!」
「でも、」
「でもじゃない!!」
もだもだ言っている樹をひとまずラボから出してベッドに押し込む。
「……あの……?」
「ん?」
「大丈夫ですから戻って貰っていいですよ?」
「えっ寝るまで見張ってるけど?」
「……子供じゃないですし、別に一徹二徹ぐらい平気ですよ」
ムスッとしながらそう言っているけれどこのまま目を離したらまた研究の続きをしそうなのでどうしようかと考えて言うか悩んでいた事を話す。
「あのさ……2人で任務に行って俺が怪我して帰ってきた時の事、覚えてる?」
「……?あぁ、あの時の任務ですか」
「その時に無茶するな、大丈夫も駄目って樹が言ってくれたの、覚えてない?」
以前大した怪我ではないけど任務中に怪我を負った時に樹に真っ青な顔をして捲し立てられた事を思い出していた。今日はすっかり真逆だけれど。
「それは……」
「今度は俺に言わせて。いくら樹が大丈夫って言ってもちゃんと寝て欲しいし、元気じゃないなら心配するよ。他の皆だって」
どうにか聞いて欲しくてじっと樹の目を見つめる。目が合ったけど目が泳いでいて、あ、逸らされた。
「う……仕方ないですね……今日はちゃんと寝ますから、ね?」
「そうしてくれると安心だ」
「……ふふ、あの時とは真逆ですね。少し……自分が情けないです」
小さく笑うと俯いてそう言うのでそんな事ないよ。と言い切る。
「後で起こしにくるからそれまで寝てていいよ」
「ありがとうございます……」
「夕食は作っておくから」
「はい……おやすみなさい」
「うん、おやすみ……ってあれ」
おやすみ3秒、なんて言う言葉があるけれどあっという間に寝息が聞こえてきてやっぱり大丈夫じゃなかったんだなと思う。
「うーん、伝わったかなぁ……」
「ねぇ樹、大袈裟だって思うかもしれないけど。皆心配なんだよ、もちろん俺だって。……おやすみ」