だいぶ前に書いたリンゼル前提の何か(未完供養) 自分がどう生きるかとか、そういったことを考えたことは無かった。自分がニンゲンである以前に、国に奉公する一剣士であるという自覚こそ人生の道だったからだ。自分も他とそう変わらない普通のニンゲンだと思いながらも、剣の道から抜け出すことのできない運命に生きる、どこか特殊な存在であるいうことも理解していた、と思う。
俺は100年の間眠り、とうとう記憶の殆どを失っていたが、色々(では語り尽くせないが)を経た今では全て蘇っている。ただ、頭では記憶していても実感がないというのか… 自分の内面のことにはどうにも現実味を感じられずにいた。かつて余程に笑わない性分だったから、姫は未だに今の俺を信じられないと仰る。無責任な話だが、100年も経っているとなれば、連続した記憶として捉えられずとも仕方が無いなと納得している部分がある。
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