《ラブユー テルミー》怜×サク「……これは」
「良くないね」
二人で苦笑する。お互いに見つめ合うこの光景は、あまりにもよくない。
「怜くん、ちゃんと男の子なんだよね」
「それはひどくない?」
「僕、好きだよ」
事の始まりは、怜とサクが二人で見たドラマだった。同い年くらいの男女が青春を謳歌している、そんなドラマ。壁ドンをするあまりにも初々しくかわいらしい二人に、本当にそんなにドキドキするものなのかと、二人で壁ドンをしてみようという話になったのだ。
「あのね、実はね、僕、なんとなく分かってたんだよね」
「あぁ……そう、なんだ……おれ、はさ……余裕だと思ってたんだよね。実は」
怜はそういいながら、サクから目線を外す。しかし、怜の腕は壁につけられたままで、サクは依然としてその場から身動きが取れない。
「でも、さ……サクくんの顔見てたらさ、おれの事好きなんだなぁって思って」
「ちょ、ちょ、ちょっとまって……うそ、僕そんな顔してた? うわ……」
「その顔だって……」
怜が思わずサクの顔に触れると、その顔が見る間にどんどん赤くなっていく。怜の顔を見ようにもうまく焦点が合わず、視線が定まらない。
「な……むり……怜くん、手、どけてくれる……?」
「……いやだ」
「あ、ぇ……?」
怜が上目遣いでサクを見上げる。
「おれだってたまにはさ、サクくんの彼氏っぽいことしたいよ」
「……それ、反則だとおもう。だって、僕は怜くんの事が好きなんだよ? だって、そうじゃなきゃあんなに抱かれたりしないもん」
「抱……ッ!?」
「ね、怜くん」
「……なに」
「大好き」
「……おれも、すき、だよ」
今度は怜の方が顔を赤くして視線をさまよわせている。サクはその隙をついて怜の腕を掴み自分の方へ引き寄せると、自分と入れ替わりに怜を壁際に追い詰めた。
「ふふ……怜くん、油断したでしょ。僕だってね、愛したいんだよ」
「は、あ……ッ」
サクは悪戯が成功した子供のように、楽しそうに笑った。
「キス、してもいい?」
「そ、れは……、おれに拒否権はないんだよね」
「もちろん」
サクは身動きの取れない怜に目線を合わせ、そのまま吸い込まれるように唇を合わせた。はじめはついばむような触れるだけのキス、徐々に唇の触れる時間が長くなっていく。
「ん……ふ……ッ」
「ぅんッ……は、ァ……」
舌を絡ませ、お互いにもっと、とねだる。自然と呼吸が荒くなり、お互いの身体が密着する。怜はサクの肩を抱き、サクは怜の腰に手を回した。
やがてどちらともなく熱を抱えたまま唇を離した。名残惜しいというように、糸を引くがそれもすぐにプツと切れる。
「はぁっ……はぁ……ッ」
「ん……ぁ……はぁ、ッ」
「れ、くん……すき」
「……反則」
「ふふ、さっきの仕返し?」
サクは揶揄うように、それでいて慈しむように笑った。
「ねぇ、愛してるよ。怜くん」
「……おれも」