※tr視点
シービーからtr♀に告白した後、tr♀が "トレーナーって立場とか性別や年齢の壁があるから貴女の気持ちには応えられない" みたいなこと言った直後の話
ジリジリと壁際に追い詰められる。もう後ろには壁しかなくて目の前にはシービーしかいない。彼女が壁に手をついて所謂これは壁ドンという状況。彼女の顔がどんどん近付いて額同士をくっつけられてしまった。
「ねえ、トレーナー」
息が上手くできない。逃げたいのに逃げられない。どこにも退路は存在しない。
「そんなタブー、だれが作ったんだい?」
そうだ、彼女にタブーなんてものは通用しないのだ。そんなの私が一番わかっているくせに。シービーは今まで見せたことがないような妖しい笑みを浮かべて笑う。瞳は私の本音を見透かしているように輝いて、いつの間にか片手は私の腰に回っている。
「で、でも…」
こんな風に反論しようとしても逃れられないのはわかっているのに素直じゃない口はこの場から逃げようとする。
「でも?」
ただその口も彼女に少し強めの口調で返されたら黙る他ないのだけど。ああ、なんてことだ。ここまで私はシービーに弱いだなんて思っていなかった。
「……ふふっ、可愛い。トレーナー?そんなタブーがあったとしてもキミのことを想うこの気持ちは変わらないから」
そう言ってシービーは私から少し身体を離したかと思えば手を取りその甲に軽くキスを落とした。心臓が更に大きく飛び跳ねる。これ以上ドキドキしたくないのに。そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼女は小さく微笑み私から背を向ける。
「じゃあまた明日ね、トレーナー」
ああ、やっと解放された。そう油断したが最後。シービーはもう一度私の方に振り返り私の手首を掴んで自らの方へと引き寄せる。気付いた時には抵抗なんて出来ずに彼女の唇は私の頬へと押し付けられた。