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    ramenhaoishiyo

    @ramenhaoishiyo

    アイコン・ガオmaker 様

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    ramenhaoishiyo

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    こういうあったか創作したかったのです

    第一回乗客を甘やかすの回〜レムナン編〜「第一回! レムナンを甘やかすの会を開催します!」
     あるループの始まり、私はセツの前で高らかにそう宣言していた。なんの前口上もなくそう告げたのは、セツを驚かせたいという悪戯心からに他ならない。
     セツはさぞ戸惑った顔をして首を傾げるだろうと思っていたのだが……その予想は大きく外れることとなった。
    「あぁ……ついに第一回か。最初はレムナンがターゲットだったんだね」
     私の予想に反して、セツは何故か感慨深そうに遠くを見つめ始めたのだ。
    「……ねぇ、もしかして」
    「……正解。第二回以降の開催に出くわしたことがあるよ」
     ふふっ、と私を揶揄うように笑ったセツに、何だか恥ずかしい気持ちになった。


     “レムナンを甘やかすの会”を思い付いたのは、十ループほど前のこと。そのループでは『わくわく! 人間牧場』通称ニンボクという謎のバトルゲームで、ジョナスとしげみちが対戦する様子を見守ることになっていた。
     勝負の結果としては、激戦の末、ジョナスが僅差で敗れることとなる。しかし、勝者のしげみちはというと、喜びのあまり「これがグノーシアの力だ!」とうっかり口を滑らせてコールドスリープされるという何とも笑える結末を迎えていた。勝負に勝って試合に負ける、とはまさにこのことだろう。
     しかし、そんな面白い出来事と同等に印象に残ったのが、その勝負を見守っていたレムナンの楽しそうな表情だ。
     いつも彼は不安げで、笑っていても表情にはどこか陰りが見える。しかし、ニンボクを実況している時のレムナンは、目をきらきらと輝かせて、嫌なことなんて全て忘れたかのように、年相応の本当に楽しそうな笑顔を見せていた。
     この表情こそ彼の素顔なのかもしれない。
     そう思ったら、どうにかしてその笑顔を再び引き出したくなったのだ。
     そこで思い付いたのがこの“レムナンを甘やかすの回”なのである。まぁ方法は単純で、とにかくレムナンを甘やかすのだ。レムナンにとにかく優しくし、労い、助け、でろでろに甘やかす。とにかく甘やかす。
     正直、第一回! とセツに紹介したのは、場を盛り上げようとしただけだったのだが、私はどうやら本当に何度もこの回を開催するらしい。あくまでレムナンを甘やかすために考えたものだったが、第二回以降では他の乗客も対象になるようだ。もしまたやるようなことがあれば、今度は“乗客を甘やかす回”に名称を変更するべきかもしれない。
    「今回は……あぁ、レムナンとユウが留守番なんだね。私はレムナンを守ればいい?」
    「……話が、早いね」
    「ふふ、伊達にループしてないからね」
     私が“レムナンを甘やかす回”を開催するにあたり、このループを選んだのにはきちんと理由があった。
     この宇宙船にはグノーシアが存在している。そんな状況下で無作為にループを選んでレムナンを甘やかせば、彼が早々に消されてしまうかもしれないし、彼がグノーシアであった場合に他の乗員に顔向けできない。
     だから、レムナンが留守番として人間であることが確定しており、セツが守護天使としてレムナンを守ることができるループが来るのを選んだのだ。または、私とセツがそれぞれ守護天使かエンジニアで、レムナンの正体を探った上で守護出来るループでも良かったのだけど、ことごとくレムナンはバグがグノーシアで、結局今回まで条件に合うループは訪れなかった。
    「それじゃ、他に守るべき人が生まれない限りはレムナンを守っておくよ。甘やかすの、頑張って」
    「あ、う、うん……」
     自分で言っといて何だが、これはそれなりの奇行だと思っていたため、冷静に頑張れと言われると恥ずかしいものがある。だけど私は決めたのだ。レムナンを甘やかす。絶対にだ。
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    Replies from the creator

    ramenhaoishiyo

    PROGRESSまだまだピを模索中なので地の文もセリフも修正するけど、進捗あげることで頑張れる気がするのでとりあえずあげます、完全に2話目なので以前の短編見てないとなんのこっちゃ分かりません。
    ※猫姿なのでぬるいですが、ピにしもの世話される描写あり※生物だから仕方ないのだ※
    主人公が猫になるやつの続き ユウが猫になった翌々日も、俺たち乗客は総動員で彼女を捜索していた。LeViから告げられている「ユウの生体反応はある」という言葉に何とか士気を上げているものの、当然人間の姿で彼女が見つかるはずもない。初めは楽観視していたしげみちやSQも、三日間探してこれは只事ではないと気付き始めたようで、今では船内には重い空気が流れていた。
    「グノーシアの一件で、LeViの生体検知も馬鹿になったンじゃない?」
    「現実的に考えてみなよ。ユウは船から飛び降りたンでしょ」
     なんてラキオの発言に、セツではなく沙明が怒っていたのが何だか印象的であった。
     捜索の半ば、俺は一人で共同寝室に戻る。しげみち達が部屋にいる間は、迂闊にユウに話しかけることはできない。だから、あいつらが確実に出払う捜索時を狙って、俺は部屋に戻ることにしたのだ。
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