Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ramenhaoishiyo

    @ramenhaoishiyo

    アイコン・ガオmaker 様

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 13

    ramenhaoishiyo

    ☆quiet follow

    まだまだピを模索中なので地の文もセリフも修正するけど、進捗あげることで頑張れる気がするのでとりあえずあげます、完全に2話目なので以前の短編見てないとなんのこっちゃ分かりません。
    ※猫姿なのでぬるいですが、ピにしもの世話される描写あり※生物だから仕方ないのだ※

    主人公が猫になるやつの続き ユウが猫になった翌々日も、俺たち乗客は総動員で彼女を捜索していた。LeViから告げられている「ユウの生体反応はある」という言葉に何とか士気を上げているものの、当然人間の姿で彼女が見つかるはずもない。初めは楽観視していたしげみちやSQも、三日間探してこれは只事ではないと気付き始めたようで、今では船内には重い空気が流れていた。
    「グノーシアの一件で、LeViの生体検知も馬鹿になったンじゃない?」
    「現実的に考えてみなよ。ユウは船から飛び降りたンでしょ」
     なんてラキオの発言に、セツではなく沙明が怒っていたのが何だか印象的であった。
     捜索の半ば、俺は一人で共同寝室に戻る。しげみち達が部屋にいる間は、迂闊にユウに話しかけることはできない。だから、あいつらが確実に出払う捜索時を狙って、俺は部屋に戻ることにしたのだ。
     部屋に戻ってベッドの一段目を覗けば、ユウが入口の近くで丸まってすやすやと寝息を立てており、白い毛並みがゆっくりと上下している。
     ……あぁ、可愛い。写真を撮って良いだろうか。
     無意識にポケットに手を伸ばして「プライバシーの侵害だろ!」とギリギリの理性でそれをグッと堪えた。
     ユウが猫になった日から、共同寝室の一段目の部屋は全て彼女のものとなっている。きちんとジョナスにも許可を取り、ベッド、食卓、トイレ……と各部屋をそれぞれの役割で分けるようにしたのだ。とは言っても、やはり俺に世話をされるのは恥ずかしいようで、ご飯も食べてくれないし、トイレもまだしてくれていない。このままでは、彼女の体が心配である。早急に話し合う必要があると感じていたのだ。
    「ただいま。寝てんのに悪ぃな。起きてくれないか」
     俺が声をかけながら背中を撫でれば、彼女は薄目を開ける。沙明やしげみちに触られる時は毎回怯えを見せているが、俺の時は特に拒否する反応はない。気を許してくれているというのは、さすがに自惚れではないだろう。
     睡眠を邪魔するな。といった具合に、ユウの喉元がクゥゥと鳴る。
    「ハハ。眠いよな、わかるわかる。でも起きてくれねぇか? 大事な話だから」
     俺の言葉を受け、のそのそとユウが起き上がった。眠気を必死で抑え込んでくれているようである。感謝の気持ちを込めて再度頭を撫でれば、彼女から小さな鳴き声が漏れた。その声は弱々しく、体が衰弱し始めているのが分かる。だから、俺はあえて猫の名前で彼女を呼んだ。
    「……なぁレネット。知り合いの俺に、猫の姿とは言え世話をされるのが恥ずかしいのは分かるぜ。性別も違うしな。でもよ」
     彼女を抱き上げ、ベッドに腰掛けた自身の太ももの上に乗せる。ユウは恥ずかしいのか、逃げようと身を捩るが、二日もご飯を食べていない彼女に逃げるほどの気力はなかったようだ。すぐに俺の膝上に収まる。
    「……でも実際のところ、猫の姿をしたお前が、人間の生活を送るのも難しいだろ? 屋外ならまだしも、ここは閉鎖された船内だしな。俺が言いたいこと、分かるか? このままだと、お前が死んじまう」
    「にゃ……」
    「俺は、お前に死んでほしくない。マジで怖かったんだぞ。お前が……行方不明だって言われた時」
     あの時の嫌な気分が蘇る。あの時点での俺は、ユウをどう捉えているのかふわふわしている部分もあったが、あの一件で“ユウを失う怖さ”を知り、そして猫になった彼女を見て、“ユウと共にいられる幸せ”を知ってしまった。もう、二度と失うわけにはいかない。それはもう、どんな手を使ったって。
    「この船には他に猫を飼ったことあるやつも居ないみたいだし、世話するならやっぱり誰よりも猫に詳しい俺が適任だと思うんだ」
     ユウの視線が苦しげ伏せられる。普通の猫であればその動作に深い感情はないのだろうが、目の前にいるのはひとりの女の子だ。避けられない現実を前にして、平静としてはしていられなかったのだろう。
    「そこで、だ。悪ィが、強硬手段を取らせてもらうことにした」
     きゅるんとした橙色の瞳が、不思議そうにこちらをじっと見上げた。興味あり気にこちらを見上げる視線は、この船に乗ってから何度も目にしてきたものである。
    「お前がメシを食べなかった分、俺もメシを食わねぇし、お前がトイレに行かない分、俺もトイレに行かねぇ」
    「ニャッ⁉︎ にゃーっ! にゃあー!」
     そんなの駄目だ! と、彼女は鳴いて俺に訴えかける。狙い通りだ。優しい彼女なら、そういう反応をすると思っていた。
    「おっと。あんまり責任を感じるなよ。これはお前のせいじゃねーから。猫好きを公言しておいて、目の前にいる猫を救えない俺の不甲斐なさのせいだ。だったら俺は、せめてお前と一緒に死にたい」
    「みゃぁ……」
    「昨日の夜にそう考えてさ。実は、すでに朝ご飯を抜いてきたんだぜ。ははっ、お前とお揃いだな」
     しばらく、無言で見つめ合う。そして、ユウはふいに視線を逸らすと、静かに膝から降りていった。
    「レネット?」
     彼女が向かった先は、左隣の個室__食事スペースである。水を舐める音がして、それから小さな咀嚼音が聞こえてきた。
     良かった。これで彼女が餓死する未来は回避できたようだ。
    「食べてくれてありがとな。お前はほんと、優しい奴だよ。それじゃあ、俺は一旦みんなのところに戻るから……。何度も一人にして悪い。今日は暇つぶしになる本とか、探してくるよ」
     あまり俺が居座っても食べづらいだろうし、捜索をサボっているのがバレたら、みんなに非難されるのは間違いない。俺は廊下の様子を伺いつつ、部屋を後にした。


    「あぁもう! なんで見つからないんだッ!」
     空間転移の一〇分程前。ロビーでは、悔しそうに壁を殴るセツを、沙明が必死で宥めている。
     食事の時間すら惜しみ船内を周回していたセツだったが、ユウを見つけ出すことが出来ず、着々と近付く下船に焦りを覚えているようだ。
    「……ハァ。LeVi、何度も聞いてすまないが、本当に生体反応から場所は特定出来ないのか?」
    『……はい。申し訳ございません』
    「それは……例えば、プログラムを改変したとしても? どうしても無理?」 
    『エンジニアの方がいらっしゃれば可能性はゼロではありませんが……エンジニア候補の方は全員眠っておりますので』
    「じゃあ、ジナとククルシカを起こしたら……」
    「ちょっ、セツ……! 気持ちは分かるけどよ〜、ちっとは冷静になってくれよ〜……グノーシアかもしれんやつを起こすのはちょっとなぁ」
    「あっ……ご、ごめん。そうだね。冷静さを、欠いていた……」
     もしも、猫になったユウと最初に出会ったのが俺ではなくセツだったら。目の前にある、あったかもしれない自分の未来に冷や汗をかく。そう考えると、やはりセツに黙っているのも申し訳ない気持ちが湧いてくるが、ユウを奪われる恐怖には勝てなかった。
    「……また明日、探そうぜ」
     だから、セツの肩を叩いてそんな言葉を吐く。俺はとことん性格が悪いのだろうなと思った。セツが赤い目で俺を捉える。
    「すまない。シピも……ユウがいなくなって、辛いだろうに。この船で、彼女と一番仲が良かったのは君だ。なのに……私ばかりが取り乱してしまって……」
     申し訳なさそうに、彼の視線が下がった。
    「謝んなくていい。辛いのは、お前も一緒だからよ」
    「……。……あぁ」
     そうして、空間転移の時間も近づいているためその場は解散となる。
     しげみちたちと部屋に戻れば、ユウはまた静かに眠っていた。しかし、今度は使用済みの綺麗な皿と、トイレが見える。ようやくご飯を完食してくれたことに、俺だけでなくしげみちと沙明も嬉しそうだ。俺は、元々LeViに用意してもらっていた黒地のポリ袋に、広範囲のトイレ砂を取って捨てると、しっかりと袋の口を結ぶ。一応、彼女が見られたくないであろうものを出来るだけ隠しながら捨てる配慮のつもりだが……これでいいのか分からない。また、彼女と相談しながら決めるべきだろう。
     作業をしている俺の近くで、しげみちたちは呑気な会話を楽しんでいた。
    「こりゃ、明日はユウも見つかるかもな!」
    「おうよ! つか、はよ見つかってくんねェと、俺のセツがやべぇっての……」
    「沙明のセツ? オレにはユウのセツって感じに見えたけどなぁ」
    「ハァ? うっせ! まぁ……けど、実際ユウが見つかったら見つかったで、今度はユウから片時も離れてくんなさそうだよなぁー。アー、やっぱ探すのやめっかな〜」
     ……沙明はこんなことを言っているが、彼が女性全般を好意的に思ってることは知ってる。きっと、本当にユウを探すことを諦める日など来ないだろう。正直、諦めてくれたらいいのにな、とは思う。人手が多ければ多いほど、ユウが見つからない違和感は増していくからだ。
     しかし、それ以上に厄介なことがある。それは、彼が無駄に動物の生態について詳しいことであった。今はまだ、ユウを捜索するために船内をうろついていて、沙明がレネットと大して触れ合っていないからバレていないが……。いちいち行動が人間らしくなってしまうレネットを見て、沙明が正体に勘付いてしまう可能性もある。
     船は順次、乗客の目的地へと向かっているが……俺の故郷へ帰るのはあと三つも後だ。なんとか対策を練らなくては。
     ユウと共に地上に降り立つには、まだまだ課題が山積みなのであった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ramenhaoishiyo

    PROGRESSまだまだピを模索中なので地の文もセリフも修正するけど、進捗あげることで頑張れる気がするのでとりあえずあげます、完全に2話目なので以前の短編見てないとなんのこっちゃ分かりません。
    ※猫姿なのでぬるいですが、ピにしもの世話される描写あり※生物だから仕方ないのだ※
    主人公が猫になるやつの続き ユウが猫になった翌々日も、俺たち乗客は総動員で彼女を捜索していた。LeViから告げられている「ユウの生体反応はある」という言葉に何とか士気を上げているものの、当然人間の姿で彼女が見つかるはずもない。初めは楽観視していたしげみちやSQも、三日間探してこれは只事ではないと気付き始めたようで、今では船内には重い空気が流れていた。
    「グノーシアの一件で、LeViの生体検知も馬鹿になったンじゃない?」
    「現実的に考えてみなよ。ユウは船から飛び降りたンでしょ」
     なんてラキオの発言に、セツではなく沙明が怒っていたのが何だか印象的であった。
     捜索の半ば、俺は一人で共同寝室に戻る。しげみち達が部屋にいる間は、迂闊にユウに話しかけることはできない。だから、あいつらが確実に出払う捜索時を狙って、俺は部屋に戻ることにしたのだ。
    3833

    recommended works