喫煙してるので注意◆
辛うじて見える消え入りそうなくらい細い月は、夜空を照らすほどの光を放つことはなく、その変わりのようにいつもは見えないような六等星以上の星まで細々と輝いている冬の真夜中。ひんやりとした空気が体にも喉にもしみてくるけれど、それがなんだか心地よくも感じる。
五条悟は、こっそりと寮の窓から抜け出し高専の屋上にやってきた。
「さっむっ……」
自分一人しかいないのに思わず声が出てしまうほど冷え込んでいて、見通しが甘かったかなと思いながらも、どうせ長居はしないとそのままここに居座っている。
部屋着のスウェットパンツにTシャツ。その上に一枚薄手のコートを羽織ったラフな格好は、気温一桁の夜中には少々心もとないのは確かだ。吐き出す息は白くて、それが寒さを視覚的に表していて、余計に寒く感じもした。
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