温泉にいくわちゃわちゃ鯉月(原作軸)どこそこに刺青の囚人がいるだの、樺太だのと。思えば、色んなところへ共に職務のため移動したものだが。こんな私的に二人で移動するのは初めてのことだろう。
二人分の休暇届を出し、職務から二人揃って離れるのが心配なのか、後ろ髪をひかれるような様子の月島の背中を押して旭川を後にした。汽車に乗ってしまえば諦めがついたのか、切り替えたらしい。月島は落ち着いた様子で窓に流れる景色を眺めている。
「楽しみだな」
試しにそう声をかけてみる。
「……はい」
すると、そう返事が返ってきたので。鯉登はにんまりと笑って月島と同じように窓の景色に視線を向けた。
そんなわけで。道中、鯉登はわかりやすく、そして月島は密かに。共にご機嫌であった。
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