Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ヰ不🍀

    @kamuidaimon2551

    進捗とか呟くには長ったらしい妄想とか投げます。
    絵文字ありがとうございます🙏

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 💕 👏 😆
    POIPOI 16

    ヰ不🍀

    ☆quiet follow

    息抜きのらくがき。
    勝(→)オルさん前提の仮免補講組+オルさんのキスに関するお話。
    ご都合のギャグなのでカッコイイ爆豪は居ません……
    キャラ崩壊気味のストレスマッハな苦労人爆豪なら居ます……
    バスの運転手さんは雄英のAIロボットということを念頭に置いてIQ3くらいにして読んでくださいませ。スローガンは「深く考えない」でございます。

    Kiss Me 今日も補講を終え、専用の送迎バスで帰路につく三人。
     ゆるやかに揺れる車内で、それぞれが心地よい疲労感を感じながら座っていた。
     そんな中、不意に「あ」と小さく声を上げるオールマイト。
    「?」
    「……?」
     オールマイトを挟んで座っている轟と爆豪が揃ってオールマイトへと視線を向ける。
     そしてオールマイトは、ごく自然な顔で、何の前触れもなく尋ねた。
    「轟少年。キス、いる?」
    「ぶっっっ!!」 
     その言葉に爆豪が盛大に吹き出す。
     隣で起きた突拍子もないやりとりに、爆豪は思考が一瞬で混乱する。 
    (な、何言ってんだこの人はァ!?) 
     驚愕と困惑が入り混じったまま、爆豪の視線はオールマイトと轟を全力で往復するのだった。
     轟はオールマイトの唐突な申し出に、一瞬きょとんとした顔をする。だが、すぐに何かを理解したように「ああ」と小さく頷いた。
     そして、まるで試食品コーナーで言うかのように、至って自然なトーンで「もらいます」と答えた。
    「てめぇ、何ちゃっかり貰おうとしてんだ!!」
     爆豪、大激怒。
     意味がわからない。というか理解したくない。
    (何だ!? 何を!? 何のキスをもらうってんだコイツは!?)
     轟の何の迷いもない反応にさらに混乱を極める爆豪。
     轟はオールマイトの「キス」という言葉に対して疑問を抱く様子もなく、素直に受け入れている。
    (どういうことだ!? こいつらは俺の知らねぇところで何かあんのか!? 何かあんのかァァァ!?)
     頭の中で爆発的に疑問と焦りが渦巻いていく。そんな中、また軽々しくオールマイトは声をかける。
    「爆豪少年は? いる?」
    「はぁ!? は、はあ!?!?」
     爆豪の思考が完全にパンクする。
    (俺に一体何を聞いてんだこの人は??)
     顔が熱い。心臓がうるさい。
     隣で普通に構えてる轟との温度差が激しすぎる。
     オールマイトは純粋に爆豪に尋ねて、首を傾げている。
     その仕草すら妙に色っぽく見えてしまうのが腹立たしい。
    「え、だって轟少年がいるなら、爆豪少年にもあげようかなって……」
     さらっと爆弾発言を重ねるオールマイト。
    「なっ、まっ、まま、待て!!」
     爆豪は全力で制止する。
    「な、なんで俺まで対象に入ってんだ!! てかあんた、自分が言ってんのか分かってんのか!?」
    「え? だからキス……」
    「それ以上言うなぁぁぁぁ!!」
     バスの車内に爆豪の絶叫が響き渡る。
    「疲れてるだろうし、いいかなって思ったんだけど……」
     オールマイトは至って真剣な顔でそう言った。
    (そんなほいほい簡単にキスすんのかこの人は!?)
     信じられない。
     というか、信じたくない。
     いやいや、だってオールマイトは清廉潔白で、誰よりも高潔なヒーローだ、そんな軽率にキスをするような人では……そんな期待を打ち崩すように、優しく何気ない調子でオールマイトは問う。
    「どうする爆豪少年、いる?」
     その言葉に、爆豪の喉がゴクリと鳴る。
    「う、ぐ……っ」
     爆豪は言葉を詰まらせる。
     オールマイトからのキス。そんなものいるに決まってる。
     どんな形であれ、もらえるのならば、欲しくてたまらない。
     けれど。
     今隣には轟がいる。
     ここでオールマイトに「いる」なんて素直に言ったら、確実に「爆豪、お前もオールマイトからキス欲しかったのか」とか何とか無遠慮に言ってくる決まってる。
     そんな屈辱的な展開を迎えるくらいなら「いらねェ」と言った方がマシだ。
     ……けれど本当に? 本当に、いらないのか?
     もしかしたら「いらねェ」なんて言ってしまったら、一生のチャンスを棒に振ることになるのでは……? そう思うとすぐに返事なんて出来なくて。
    (どうすりゃいいんだよクソがぁぁぁぁ!!)
     爆豪の脳内が、かつてないほどの大混乱に陥る。
    「いる」と言いたいが言えない。
    「いらない」と言いたくないのに言わねばならない。
    (結局どっちに転んでも地獄じゃねぇか!!)
     爆豪はグルグルと葛藤しながら、歯をギリギリと噛みしめた。
    「とりあえず、今は大丈夫そうかな? もし欲しかったらあとでも言ってね」
    「」
     爆豪の声が妙な裏返り方をする。
    (……後で?)
     つまりそれは「今この場で素直に言えないなら、あとでこっそりおいで」ということなのだろうか。
     この場にいる轟の目も耳もない場所で、ふたりっきりで、誰にも邪魔されずに、オールマイトが自分だけに、キスをくれるということか?
    「あ、あぁ!?」
     何かを言おうとするが、理解が追いつかず頭の中が沸騰して言葉にならない。
    「ん? どうしたの爆豪少年?」
     オールマイトが優しく首を傾げてこちらを覗き込む。
     その穏やかで包み込むような笑顔に、爆豪はさらに脳が焼き切れそうになる。
    「……な、何でもねェよ!!」
     爆豪は顔を真っ赤にして、勢いよく前を向く。オールマイトの顔を直視できなかった。
    「じゃあ先に轟少年にあげようか」
    「あ」
     自分のことで頭がいっぱいだったが、大事なことを忘れていた。
    (半分野郎にキスするオールマイトなんて、絶対に見たくねェ!!)
    「ちょっ、待っ……!!」
     そう爆豪が言葉を発した時には、もう遅かった。
    「はい、轟少年、今日も補講お疲れ様」
     オールマイトは優しく微笑みながら、ひょいっと手を伸ばす。
     そして。
     小さな銀色の包みを、轟の手のひらにそっといくつか転がした。
    「…………は?」
     爆豪の脳が急停止する。
    「はい、どうぞ」
    「ありがとうございます」
     轟は何の疑問も持たず、ただ素直に受け取り、礼を言った。
    「おい、それ、まさか……」
     爆豪はまだ少し混乱したまま、オールマイトを見やる。
    「ん? Kissチョコだよ! 疲れた時の糖分補給にどうかなと思って」
     オールマイトがにこっと微笑みながら言う。
     その隣では既に包みを開けた轟が、口の中でチョコを転がしながら「うめぇ」と呟いていた。
    「ま、紛らわしいんだよ……!!」
     爆豪は拳を握りしめながら叫んだ。
    「あれ? もしかして何か勘違いさせちゃったかな?」
     オールマイトがくすりと笑う。
     いつもの優しい笑顔とは少し違う、どこか意地の悪そうな、けれど柔らかい笑み。
     爆豪の顔が一気に熱くなる。
    「ふふっ、爆豪少年のおませさん♡」
     ふわり。
     そう言うオールマイトの指先が、爆豪の頬に軽く触れる。
     つん♡
     ほんの一瞬の出来事だった。
     けれど、それは爆豪にとって衝撃的すぎた。
     オールマイトの指先が、爆豪のほっぺを軽くつついた。
    「ッッッッ!!」
     頭が真っ白になる。
    (な、にしやがんだこの人は!!)
     しかし、それ以上のリアクションが爆豪はできない。
     動揺と衝撃で身体が固まってしまって、振り払うことも怒鳴ることもできない。
     ただ目を見開き、オールマイトを見上げるだけだった。
     オールマイトはそんな爆豪の反応を見て、楽しそうに声を上げる。
    「あははっ、ごめんね? ちょっとからかいすぎちゃったかな?」
    (からかい、だと……!?)
     未だにじんわりと熱を持つ頬。
     指が触れたたった一瞬の感触が、まるで焼きついたかのように離れない。
     オールマイトは何事もなかったかのように微笑んで、爆豪の反応を楽しむように、いたずらっぽく首を傾げる。
    「でも、そんなに赤くなっちゃって、一体何をそんなに考えてたのかな? 爆豪少年のえっち♡」
    (は、はァァァァァァァァァ!?)
     ついさっきの「おませさん♡」すらとんでもなく衝撃的だったというのに、追撃を仕掛けられて爆豪の脳内が一瞬の内に沸騰する。
     思わずバチバチッと手から個性が爆発というか、暴発というか、とにかく漏れそうになったのを、何とか拳を握りしめて耐える。
    「……おい、今あんたなんつった!!」
     色々と限界な爆豪がオールマイトに怒鳴る。
    「えっ? 何が?」
    「何がじゃねぇよ! わかってて言ってんだろ!!」
    「だから……爆豪少年の、えっち♡」
    「っぐ、やめろッッッッ!!」
     真っ赤になりながら、オールマイトの肩を思いっきり揺さぶる爆豪。
     オールマイトは「あははっ、ごめんごめん♡」と笑いながらされるがままだ。
     オールマイトは楽しそうにクスクスと笑い、爆豪は顔を真っ赤にして怒声が響き渡る。
     それを轟はオールマイトからもらったKissチョコを「二人共仲いいな」と呟きながら、むしゃむしゃと頬張っていた。
     
     Fin.
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😚🍫😚💋☺💗💗💗☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator