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    ekri_relay

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    書いた人→ブミ

    ハロウィンとか相談所(9)「ごめんね、突然電話して」
    「いや、珍しい事もあるもんだね。君から掛かってくるなんて思ってなかった」

     茂夫は今までほとんど自分から掛けた事がないテルに連絡を取っていた。面倒な事になりそうな予感がする、というエクボの危惧に対して自分よりもっと機敏に動ける人間が調べる方が適任だと考えてのものだ。久しぶりに聞いたテルの声は生き生きと弾んでおり、少なくとも迷惑だと思っている様子は伺えない。
    とは言っても、面倒な事態を引き起こしたであろう師匠の面倒をさらに波及させてしまう気がして、言葉が続かない。

    「影山君から連絡があるって事は、霊幻さん絡みかい?」
    「何で分るの」

     その洞察力の深さに今更ながら驚く茂夫を他所に、テルの声が快活に響いた。

    「だって、何でも大体の事は自分で解決できるし、しようとする影山君が僕の所に電話をしてくるなんて多分込み入った話だろうし、そんな心配をする相手って言ったら霊幻さんくらいしか浮かばなかったしね。何かあったの?」
     
     テルの中で霊幻はトラブルメイカーのフォルダに整理されていた。
    だが茂夫で手に終えない事として自分を頼って来てくれる事を素直に受け止め、喜んでいる。

    「うん…実はね」

     茂夫は事の経緯を簡単に話す。エクボの感じるきな臭さをテルは察したようで、電話の向こうで深くため息をつく声が響いた。

    「そんな重要な役目、霊幻さんの事務所に任せるかな」

     テルも『霊とか相談所』のうさん臭さを肌で感じ、よく知っている。
    それだけに調味市長が持ち込んだ話には、どう考えても裏があると茂夫に告げる。
    テルの賛同を得た事でエクボや茂夫の危惧は現実味を帯びてきた。

    「そうだよね。僕もそう思うんだ」
    「調査が必要じゃないかな。おかしなことに相談所や君たちが巻き込まれる前にね。
    明らかに相談所や霊幻さん個人に対して狙いが何かあるように感じる。それも何だか不気味だよ。…これ、僕が探り入れてみようか?」

     思ってもみない提案に茂夫の声も弾む。
    傍で聞いていたエクボは、まあテルの奴なら器用に何でもこなせるだろうから探りを入れるくらいなら任せてもいいだろうと判断し、小さな腕を組んで頷いている。

    「調査って言ってもどうするの?」
    「僕、高校の新聞部に籍があるんだ。まあ幽霊部員みたいなもんだけど。調味市のハロウィンイベントについて校内新聞で記事を書きたいからって言えば、まあ無下にしないよ」

     テルの通う学校は調味市外ではあるが、県内では随一の進学校だ。伝統ある新聞部の取材とあれば市長も嫌な顔は出来ないはずである。

    「すごいね、花沢君」
    「おい、テル。無茶はすんなよ。深入りする必要はない、ちょっと探り入れるだけでいいからな」
     
     エクボが心配げに声を掛ける。悪霊と言ってエクボはも面倒見がよく、子どもたちの身の安全を第一に考える。テルは才気煥発な少年でもあり、それだけに先走った行動に出ないか心配な所があった。

    「俺様もステルスモードで同行する。何かあったら茂夫に溶かされちまうからな」
    「エクボも花沢君もありがとう。師匠の事、お願いするね」
    「君には借りが沢山あるからね。このくらいどうって事ないよ」

     こうしてまた一人、花沢輝気が事態に巻き込まれる事になった。
    翌日、取材の約束を申込み取材のアポを取り付ける。
    取材に赴くテルとエクボはここで、ある男と嬉しくない再会を果たす事になる。
    島崎―――元超能力集団『爪』の幹部。
    輝気にとって因縁深い相手との再会であった。
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