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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
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    銀鳩堂

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    ヤンクロ13話「真実の剣」TEXT版
    フィリップ王子とマレフィセントが城門の前で対峙する少し前に時は遡る。森の中、マレフィセントが去った後、三妖精と王子は……。

    ※クロウリー学園長の過去話(捏造200%)連載中。このパートのインスパイア元は映画「マレフィセント」ですが前回から独自の世界線へ入っているため捏造特盛です。何でも許せる人向け。この回はディアヴァル(後のクロウリー学園長)は出番なし。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第⑬話「真実の剣」 三人の妖精たちは、ここからどうしたものかと思案していた。
    「王子さまをローズに合わせるのは良いのだけれど、そのローズがどこにいるのやら……」
     と、メリーウェザーがぼやく。
    「そうよね、困ったわ……」とフォーナ。
     そこで、それまで考え込んでいたフローラが口を開いた。
    「真実の泉! あそこならきっとローズの居場所がわかるわ。行きましょう!」
    「そうだわ、泉があった!」「行きましょう!」フローラとメリーウェザーも同意する。
     三妖精は、フィリップ王子を妖精の森の奥にある泉へと導いた。そして、王子に心の底からローズのことを念じながら泉の中を覗くようにうながした。
     すると、水面がゆらめき、微かな光を放ち始めた。暗い森の中で泉だけが輝き、あたりをほのかな光で照らし出す。
    「泉よ、教えてくれ。ローズはいまどこに?」
     すると、水面が鏡のように平らぎ、何かを映し始めた。
    「これは……」
     王子と三人の妖精たちは身を乗り出して泉を覗き込む。
     そこに映し出されたのは、ステファン王の城だった。水鏡に映る光景はするすると城の尖塔へと近寄っていき、その中で起きていることを映し出した。
     床に倒れたローズ。ローズに駆け寄るマレフィセント。
     そして、マレフィセントの慟哭どうこくと変身。
    「大変だわ……」とメリーウェザー。その声には恐れがにじんでいる。
    「ローズが! ローズを助けなければ!」と王子が叫ぶ。
    「なんてこと……。ああ。ローズ、ローズ、マレフィセント……」と、フォーナが涙ぐみ両手を揉み合わせながらつぶやく。
    「マレフィセントを止めなきゃ!何か、何か方法があるはずよ……」とフローラ。
    「あなた達、何か思いつかないの!?」と叱咤するが、フローラもメリーウェザーも首を横に振るばかり。
     水鏡は、ローザを片手に抱えたドラゴンの暴れるさまを映し出している。
    「ローズを助けなければ!! あのドラゴンを倒すにはどうすれば……。武器は? 何か武器はないのですか!?」と王子。
    「倒すって、あれはマレフィセントなのよ!?」
     と、フローラが涙声で叫ぶ。
    「武器……。そんなものは、ここには……」
     と、困惑するメリーウェザー。
     だが、その時、水鏡の光景が変化した。
     新しく映し出された景色は、いま四人がいる泉だった。水鏡は、今度は泉の中の小島を映し出す。その小島には、幾千年を経た大きな樫の木が生えていた。その樫の幹の上、見えにくいところに穴があることが見て取れた。その穴の中に微かな光が見える。
    「あれは……?」王子が問うが、答えはない。ただ、光が強くなったような気がした。彼は、泉にむかって足を踏み出した。
     フローラが慌てて押し止める。
    「王子さま、どうかその乗馬ブーツをお脱ぎ下さい。魔法に鉄は毒なのです」
     王子は言われるままにブーツを脱ぐと、泉に足を踏み入れた。水鏡の映像はかき消されたが、彼は気にもとめず浅い水を渡りきり島の巨木の下にたどり着いた。見上げた葉叢はむらに、気をつけて見なければわからないほどのかすかな光の反映が見えた。
     フィリップ王子は意を決したように幹に取り付くと、よじ登り始めた。太い幹が幾つにも枝分かれするところまで来ると、ほのかな明かりはよりはっきりとわかるようになった。木の股に這い上がると、そこにはぽっかりとうろが口を開けており、その中から白く清らかな光があふれ出ていた。
     虚を覗き込むと中は案外と広く、人が一人立てるほどの空間があった。王子は思い切ってそこに入ってみた。虚の縁に手をかけ、慎重に足を下ろすと、底は硬い木の感触。思い切って中にすっぽりと入ってみると、目の前に思いがけない物があった。
     虚の壁のくぼみには、美しく輝く剣と盾が安置されていた。虚の外に漏れた明かりは、その剣と盾の発するものだったのだ。
     王子がまばゆい武具を手に取ると、光はすぅっと薄らいだ。まるで王子の身体に光が流れ込んだかのようだった。
     それらは不思議にしっくりと手に馴染んだ。まるでずっと使ってきた愛用の品のようだ。
     王子は盾を背負い、剣を腰に下げると虚を這い出し、三妖精の元へと戻った。三人は目を丸くして王子の持ち出した品々を見つめた。
    「これ、まさか……」とメリーウェザー。
    「そのまさかだわ」とフローラ。
    「こんなところに隠されていたなんて!」とフォーナ。
    「何をそんなに驚いているのですか?」
     王子が怪訝な顔で問う。フローラが皆を代表して答えた。
    「これは行方のわからなくなっていた妖精の秘宝です。真実の剣と美徳の盾。魔法の加護が与えられていて、どんなに強力な魔物にも打ち勝つことが出来ると言われています」
    「妖精の秘宝……」
    「そうです。今こそ明かしましょう。私達は妖精です。マレフィセントの邪悪な呪いからローズ、いえ、オーロラ姫を護るため、人間の姿に身をやつして暮らしてまいりました。フィリップ王子、貴方の愛するローズは、貴方の婚約者オーロラ姫その人です。どうか、マレフィセントを止めて、姫を救って下さい」
    「驚いた……。貴女達が妖精だったなんて!」
     光の粉が飛び散り三人を包んだ。三人は王子の目の前で次々に元の姿へと戻ってゆく。王子は目を丸くしてそれを見つめた。
    「本当に妖精なんだ……」
    「ええ、そうです。これで私達も素早く動けます。さあ、城へ参りましょう!」
     王子は力強く頷くと、乗馬ブーツを履き直し白馬にまたがったのだった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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