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    173_yama

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    173_yama

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    同級生狂聡。前投稿したのを加筆修正しました。

    #狂聡
    madGenius
    #同級生パロ

    同級生狂聡💬コーポ〇コーポ/岩〇れんじさんのとあるネタを拝借しています。


     ここら辺は近寄ったらあかん、と担任の先生が地図を前に指さしながら言った地域は、俺の住んでる長屋があるとこらへんだった。
     たしかにすれ違う人はほとんどみんなきな臭い感じがするし、体に絵を描いている人が多いし、怒鳴り声やヒステリックな叫び声は日常茶飯事だったけど、生まれも育ちもその地域にいたから気にしたこともない。かと言って不服を言えるほど愛着もないので、そうなんやぁくらいのノリでしかみていなかった。
     そんな事よりも。教室の隅にちらりと視線をなげると、聡実くんがノートに板書されたものを書き写している姿がうつる。俯いた首筋がすらっとしてて綺麗だ。まじまじと見つめていたら不意に目が合ったから、ちょいちょいと手を振ったけれど視線でいなされてしまった。ごめんね聡実くん。

     聡実くんとお友達になれて嬉しい。
     浮き足立ってるのを姉に指摘されてちょっと狼狽えるくらい無意識にテンション爆上がりしてる。
     姉の経営しているスナックにたまにお手伝いと称して呼ばれることがある。バイト代も出るから割と暇な時は出るようにしていて、今日もそうだった。今日も聡実くん、可愛かったな。なんで同い年の男の子やのにあんなにキラキラしてんねやろ。ボーッとそんなこと考えてたから話しかけられた時にコップ割ってどつかれた。百均で買ってくるように言われてチャリで買いに行く。店から百均までそんなにないけど、商店街を突っ切っていくときに道の途中で見た看板のことをなんとなく覚えてた。

     翌日。
    「英語の小テストあるんやて」
    「はぁ?だる」
     そんな会話を右から左に受け流す。
     狂児ぃ、今度さァデートしよ、デート!なあきいてんのお?狂児んち行きたい!なんて甲高い声するのにも生返事。
     視界の端に入る聡実くんの事しか考えてない。
     ラインが届く音。チラ見したら聡実くんから。え、なに。うれしい。先生来て授業始まったけどすぐに中見てしもた。

    デート行くん。て書いてある。

    え、デート……デート?!俺と?!

     なんて、アホなノリで「行きたい、行こ」と返す。ちら、と視線を投げたら怪訝な顔してる聡実くん。暫くあとに、僕と?とくるから、うん、行きたいとこある?と聞いたら、しばらく時間置いて、成田くんち行きたい、て返事来て驚いてガン!て膝で机打ち付ける音が教室に響く。成田ぁ!授業中にスマホいじるな!て怒られてすんません、て言いながら「ええよ、いつくる?土曜日とか?」て食い気味に返事したら、既読つかなくて、目で見たら呆れた顔した聡実くんが口パクであとで、て言うからニコニコ笑ってしまって周りからドン引かれる。先生からはたかれる。怒られて笑ってるからマゾか?て言われても気にしない。聡実くんとデート。しかも俺んちに来るって。マジかぁ。それで頭がいっぱい。

     土曜日、朝から。

     約束の前日寝られなかった。そわそわしてたら姉ちゃんからどつかれたけど。だって明日聡実くんがうちにくる。何買っとこ。あ、金ない、姉ちゃんバイト代ちょうだいよ、え?こんだけ?もう手伝わんよ、殴らんとってよ、じゃあ今日と日曜頑張るから前借りさして。


     姉ちゃんからバイト代前借りしてお菓子とか買いに行く。おばあちゃんがやってる古臭い駄菓子屋。
     聡実くん何が好きかな。チョコレート好きやろか。菓子パンも買っとこ。買い漁ってたら奥からおじいちゃんが出てくる。引きこもっててなかなか出てこない人だけど俺には関係ないし。お会計してたら羽振りがええのおと絡まれる。にいちゃんええもんみしたろか。
     女のまたぐらみぃひん?て聞かれるけど正直興味無い。いやいらんです、グロいし、と言ったら爆笑されて経験済みかいな、んじゃあお友達誘ってき。
     ええですいらんです。
     ええからええから、300円でええから。初回やし安くしとくで。てらてらした酒焼けの頬と欠けて黄ばんだ歯を見ながら、聡実くん、みたらどんなになるかな、て考えついてしまう。
     聞いたらこの前見た看板のとこ。あそこで似非ストリップショーしてるんやって。土曜日友達連れてくるわ、て伝えて帰る。夜はバイトで味もわからんカクテル作って、接客して、ホステスにナンパされて軽く流して。翌日、聡実くんが来るから駅まで迎えに行く。

     聡実くん、女の裸見た事ある?

     会って早々聞いたら絶句されて頭を左右に振るから、見に行かん?て腕掴んで聞いたらいらん、いらんって、ていうけど俺の手は振りほどかない。見れる言うても一瞬で、ちょっとだけやと思う。興味無い?て聞いたら顔真っ赤にして、成田くんも行くならいく、て言質取って内心よし、て思う。

     看板のとこに着いたら駄菓子屋のおじいちゃんがもう来ていた。
    「誰?」
    「ん、案内してくれる人」
     手招きされるのについて行く。狭い店舗の中。ピンクの証明。カーテンが部屋の角にしてあって、椅子が置いてあるのに座って、聡実くんの分も合わせて600円おじいちゃんに払う。まいど!ごゆっくり!あ、お触りは罰金やから、見るだけやからね、時間は五分ぽっきりな、値段のしこやな、ガハハと笑って出ていく。
     顔色悪い聡実くんの横に座ってまってたら、カーテンが開く。某アイドルに似た女が狂児の顔を見てポッと顔を染めるけど気にしない。チープな音楽が流れてくる。音割れしててしょうもないし雰囲気もあってないようなもの。狂児は最初から興味無い。
     始まってみたら聡実くんが俯いてるから、顔上げて、ほら、女の裸みたかったんやろ、て聞いても頭左右にふって見てくれなくて、見てくれないと困るから、て顔に手で触れたらビクッと驚いて顔上げた隙に女の方向かせる。股開いてるのをガッツリ見てしまった聡実くんがうう、て呻いて俯く。割と綺麗な方やと思うけど、初回でアレ見たらトラウマやろなて内心思いつつ、時間が来たので去ろうとする女が狂児に近寄ってくる。腕を取られて体を押し付けられる。胸元がきらきらしたラメで光ってた。服に移ったらいややなぁと思う。ただでええから今夜ココおいで、気持ちいいことしたるて耳打ちしてくる。はぁめんどくさ。もちろん行く気は無い。

     女を振りほどいて意気消沈してる聡実くんつれて俺ん家に向かう。

     家についたら誰も居ない部屋の中に案内する。俺の部屋って言っても居間のすみっこのスペースが俺のってだけで家族帰ってきたら筒抜けや。一応夜まで誰も帰ってこんと思うけど、ヘタなことできんからそこら辺しんどいな。
     どうやった?女の。てきいても最悪や、としか言わない。けど、あの部屋にいたときハーフパンツが膨らんでることはわかってた。
     あんなんでも興奮するんや、聡実くん、おぼこいなぁ。かわいいなあ、て思いながらみてたら、成田くん、夜にあの人のとこ、行くん?てきかれる。
     あれ聞かれてたんやて思うけど別に気にしない。
     行くわけないやん、てこたえながら、じりじり近づく。昨日な、聡実くん何が好きか分からんかったから、色々お菓子買うてきてん、一緒に食べよ、と誘いながら、肩に触れる。いや、今触らんといて、て拒否されてちょっと泣きたくなる。

     チョコレートすき?あ、ほんま?菓子パンもあるよ。
    「甘いのばっかやん」て突っ込まれて俺甘いの好きやから、て言いながら一緒にチョコたべたりする。そうしてるうちに近寄っても拒否されなくなる。聡実くんから甘い匂いがして嬉しい。

     トイレ貸して、て言うから場所案内する。

     ドアの前に立ってたら、あっちいってて、て言われたけど離れる気は無い。ドアの前に立ったままでいたら、最悪、てまた聞こえてくる。コンコン、ノックしたけど返事は無い。すん、すん、て鼻をすする音して、衣擦れの音して、用を足す音がして、女の股を見てもたたなかったちんぽがむずむずする。

     なあ、女のまんこ、どうやった

     しつこく聞いても返事は無い。
     コンコン、またノックする。

    「俺な、あんなん見ても興奮とかせえへん、けどな、アレ見てもじもじしとる聡実くんみてたら、めっちゃ興奮しててん」

     聡実くん、て呼んだら、鍵を開ける音がする。でもドアは開かない。内側から開ける気配がないから、ドアノブに手をかけて、中に体を滑り込ませる。


     衣擦れの音。
     水が弾けるような音。
     荒くなる息遣い。暗転。



     聡実くんが、成田くん、て呼んでたのが、狂児、て呼んでくれるようになって、心から喜ぶ。翌週の土曜日にも聡実くんが遊びに来てくれる。でも、いつも誰かいる俺んちだと気持ちいいことなんてそうそうできない。部屋は一応あるけど居間の隅の方のスペースだから、母や姉、祖父がいたら聡実くんとろくに会話もできないし、キスすらするタイミングを見計らってしなければいけない。聡実くんは平気そうだけど、俺はもっと聡実くんとくっつきたい。絶妙なタイミングで、駄菓子屋のおばあちゃんが道楽がてらやってるアパートの部屋が余ってて困ってるって話してたのを聞き付けて、家賃いくらなん?て飛びついた。月五千円で電気も水もあるって最高やん。

     お金貯めておばあちゃんのしてるアパートの一室を借りるのが、それからすぐやった。

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