【曦澄】『困ります』「ねーえ、次の清談会はこれ! これを着ようよ!」
髪冠はこれね。きれいな細工でしょう? 帯留めと対になってるんだ。衣装を少しふんわりさせるから、濃い色の小物で引き締めるの。
うきうきと衣装箱から衣や装飾品を取り出しながら上機嫌の聶懐桑に江澄は遠い目になった。魂が半分抜け出そうだ。
「そんな衣装、俺に似合うわけないだろうが……」
ふんわりってなんだ、ふんわりって。そんな形容の衣が自分に似合うわけないだろう。衣装箱から出された淡い色合いの衣に呆れた口調も露骨にしたが、懐桑は訳知り顔で扇を左右に振るばかり。
「私が江兄に似合わないものを持ってくるわけないじゃない。まあ、着てみてよ。絶対大丈夫だから」
いそいそと姿見を引き寄せ、これとこれを着てねと広げていく。
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