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    yuno

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    yuno

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    #曦澄ワンドロワンライ の『失せ物』にて。曦澄と叔父甥。失くしたと落ち込むじうじうを兄上が慰めていたら、幼児が颯爽と解決する話です。現パロ設定。二人はスケーターで、あーりんは5歳設定でじうじうと二人暮らし。(スケーター要素はこの話にはありません)

    #曦澄

    【曦澄】大事なものだから「……ない……!」

    何度見てもない。慌てて周りに落ちていないか探してみたが、見つからない。
    江澄は青ざめた。

    「ど、どこに行ったんだ……っ」

    おかしい。昨夜、明日はこれをつけるからと出しておいたはず。それから今まで、手に取ったりはしていなかったはずだ。
    ベッドサイドチェストの上の、空っぽになっているジュエリー用のトレーを、江澄は信じられない思いで見つめた。

    失くしてしまったのは藍渙からもらったアメジストのピアスとリングだ。誕生日祝いにと揃いで贈られたそれらは、控えめなサイズながらも美しく光る石のカットが気に入っていた。

    とても精巧な技術で、石や台座の留具が滑らかな手触りに仕上げられており、阿凌が触っても怪我をしないのも良い。藍渙が自分たちのことを考えて選んでくれたのだとよくわかる。
    その気遣いが嬉しくて、だから、彼と出かける時はいつも身に着けるようにしていた。気に入ってくれているんだねと、嬉しそうにはにかむ笑顔が見たくて。
    それなのに。

    着け忘れるどころか、失くしてしまうだなんて。

    とにかくもう一度探そう。
    諦め悪く探し回るも、見つからない。苛立ちと焦りが募り、思わず枕に八つ当たりしたところで、玄関の呼び鈴が鳴った。


    「藍渙、すまない……」
    「うん? どうしたの?」

    出迎えの開口一番に沈んだ面持ちで謝られ、いったいどうしたのかと藍渙は困惑した。
    もしや出かける約束が難しくなってしまったのかと問えば、違う、そうじゃないと首を振られる。

    「何があったんだい?」

    とても落ち込んでいる恋人に、とにかく事情を聞こうと、藍渙はリビングの椅子を引いた。江澄を座らせる。

    「……貴方からもらったピアスが見つからないんだ。揃いの指輪も」

    どこかにやってしまったみたいで。昨夜までは確かにあったのに、探しても見つからない。
    すっかり気落ちして項垂れる江澄に、とりあえず何か健康面での問題ではなかったと藍渙はほっと安堵の息をついた。

    「昨日の夜まではあったの?」
    「ああ。今日、着けていこうと思って出しておいたんだ。朝起きた時もあったように思う。着替えて、着けようとしたら、出しておいたはずの場所から失くなっていたんだ」
    「そうなんだね。じゃあきっと家の中のどこかにあるよ」

    落ち着いて探したら出てくるんじゃないかな。
    宥めるように肩を撫でる。だが、江澄は力なく首を横に振った。

    「かなり探したんだ。でも、出て来ない。ベッドの下も見たんだが……」
    「大丈夫だよ、きっと見つかる。こういうものって、どんなに探しても見つからなかったのに、後からふっと出てきたりするでしょう?」

    だから大丈夫だよ。あまり気に病まないでと、慰めてくれる藍渙に、ようやく江澄は苦く笑みを浮かべた。

    「だと良いんだがな」
    「家の中にあるのは確かなんでしょう? 大丈夫だよ」
    「ああ」

    気持ちが落ち着いたのか、抱きしめた腕に甘えるように江澄が寄りかかってくる。
    ホッとして、その滑らかな髪に顔を埋めていると、あー、らんほぁん来たー! と奥の部屋から出てきた金凌がはしゃいだ声を上げた。

    「こんにちは、阿凌。偉いね、お着替えはもう済んだのかい?」
    「うん! じうじうもおきがえ、おわった?」
    「あ、ああ」
    「じゃあ、はい! これ!」

    つけるでしょ?
    そう言って金凌が得意げに出してきたのは、先程まで江澄が必死に探していたピアスとリングだった。

    「あ、阿凌! お前が持っていたのか?!」

    江澄が驚きに声を張り上げる。大きく目を見開き、金凌の手の中にある箱を取り上げた。箱の中を凝視する。

    「うん!」

    驚愕する江澄をよそに、金凌はにこにこと笑っていた。

    「それ、じうじうのだいじなものでしょ? だからあーりんの宝ばこの中にしまっておいてあげたの」

    なくしたらたいへんだもんね!
    得意げに胸を張る幼子に、江澄は安堵と脱力が同時に来て、膝から崩れ落ちた。

    「阿凌……」

    元はお菓子の入っていた箱だ。きれいな飾りのついた箱を金凌がいたく気に入って、宝物入れにすると取っておいたもの。その中に、アメジストのピアスとリングが大事そうに入れられていた。

    子どもの純然たる好意に怒ることもできず、江澄はがっくりと項垂れる。
    良かった。とにかく見つかって良かった。

    金凌はとても良いことをしたと誇らしげな顔をしている。藍渙はすぐには立ち直れないでいる江澄に代わって、偉いねと幼子の頭を撫でてやった。

    「すまない。騒がせた……」

    揃ってアパートから出つつ、江澄が決まり悪げに顔を俯かせる。その耳にはアメジストのピアスが光っていた。
    江澄の瞳に合わせたそれはやはりとても似合っている。無事に見つかってよかったじゃないかと藍渙は少し丸まった背中を撫でた。

    「貴方がとても必死に探してくれたのが嬉しかったよ。気に入ってくれてありがとう」

    照れたように笑う藍渙に、貴方がくれたものだし、それに、これを着けている俺を見るのが貴方は好きだろうとは流石に口にはできず、江澄は赤くなった顔をごまかすように、お出かけにはしゃぐ金凌の手をそっと握りしめた。
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    y4u3ki

    DONE曦澄ワンドロワンライのお題が「夢」だったので考えたけどこんなんしか思いつかなかった。やばい。まじでやばい。キャラ崩壊とかいうレベルじゃない。ギャグセンスのないやつが書いたギャグ。怒らないでほしい。「阿澄、私の夢を話してもいいかい?」
    「なんだ藪から棒に。まぁ…構わないが」
    「私の夢はね、いつの日か、江家にも藍家にも後継ができて、我々がその役割を終えるときがきたら」
    「うん」
    「それはきっと遠い遠い未来の話だと思うのだけれど、すべてを捨てて。立場も家も、すべてを取り払って、ただのひとりの男として」
    「うん」
    「BARを開きたい」
    「うん。………え?」
    「バーテンダーさんってかっこいいなって」
    「えっちょっと待って今そういう流れだったか?そこは『過去も立場も全て捨ててあなたとふたり只人として慎ましく暮らしていきたい』って言うところだろ」
    「それもとても魅力的なのですが、どうしても蔵書閣の書にあった『あちらのお客さまからです』っていうのをやってみたくて」
    「どういう世界線?」
    「ちょっと予行演習で今やってみてもいいですか」
    「漫才の導入部分だった」
    「お願いです阿澄…!!」
    「くそっ顔がいいな。わかったじゃあ俺が客をやればいいんだな」
    「話が早くて助かります」

    「はぁ…仕事は山積みだし、見合いはことごとくうまく行かないし、酒でも飲まないとやってられんな…」
    「失礼します、お客さま。 1633

    takami180

    PROGRESS恋綴3-3(旧続々長編曦澄)
    うーさぎうさぎ(羨哥哥が出ます)
     藍曦臣の長い指が、江澄の頬をなでる。
     顎をくすぐり、のどぼとけをたどり、鎖骨の間をとおって、袷に指がかかる。
    「やめてくれ!」
     しかし、藍曦臣の手は止まらなかった。
     無常にも袷は開かれ、傷跡があらわになる。
     温氏につけられた傷は凹凸をつくり、肌をゆがめていた。
    「見るな!」
     江澄は両手で胸を隠したが、遅かった。
     藍曦臣の目が見開かれて、柳眉がひそめられる。
     汚らしい、と聞こえた気がした。

     江澄は飛び起きた。
     跳ねのけたらしい掛布が足元で丸まっている。
     ここは宿だ。姑蘇の宿である。
     江澄は清談会に出席するための旅の途中であった。
    (またか)
     長大なため息がもれた。
     同じような夢を見るのは何度目になるだろう。今日はもう雲深不知処に到着するというのに。
     胸に手を当てる。
     傷痕は変わらずにここにある。
     最後に藍曦臣と会った後、江澄はあらゆる傷薬を取り寄せた。古傷を消すような軟膏を求めて、文献をあさった。
     しかしながら、都合のいい薬種は見つからず、今に至る。
    「宗主、お目覚めですか」
     扉の向こう側から師弟の声がした。少々寝坊をしたか。
    「起きた。すぐに行く 2468

    CH1KUWA_bu

    CAN’T MAKE江澄が生理痛に苦しむ話。
    曦澄前提ですが、兄上殆ど出てきません!!笑
    ずっと双傑が話しています!!男性妊娠、男性生理ネタが苦手な方はUターンで!!!
    全然書き終わらないのでどなたか尻をたたいてください!!!
    男性生理ネタ江澄痛い。
    腹の内側から見えない手で内臓をぐちゃぐちゃに握りつぶされているようだ。江澄は寝台の上で胎児のようにうずくまり、ずくりずくりと波のある痛みと悪寒に脂汗を浮かべて耐える事しか出来なかった。とめどない寒気に身体を暖めようにも寝台の上から動けない。
    ふぅ、ふぅ、と不規則な呼吸が食いしばった歯の隙間から漏れ、貧血でもはや灰色にすら見える血色のない顔の眉間の皺を更に深くした。
    (痛い、痛い痛い痛い!はやく、早く終わってくれ………………っ)




    ―きっかけは些細なものであった。

    時は遡ること半年前になる。

    江澄は、長い長い閉閑を終えた藍曦臣と紆余曲折を経て恋仲になりしばらく経つ。互いに時間が許せば姑蘇へ行ったり雲夢へ来たりして少ないながらも二人で過ごす時間を設けていた。藍曦臣は江澄を愛していたし江澄も今までの人生で持ったことの無いくすぐったいような感情が常に胸中で渦巻いていた。
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