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    96noScull

    @96noScull
    まいたけメイン武受けスキーですがかっこいいみっちも好きなのでたけまいになることもあります

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    96noScull

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    武ヒナ前提バレンタインマイ武。もっとわちゃわちゃしたやつが浮かんでいたけども、アルファベットチョコって中学生らしくていいんじゃないかなって思ったので。中学時代→からの梵天監禁マイ武です。

    #マイ武

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     「タケミっち」
     帰宅途中に出くわしたのはマイキーだった。
    「マイキー君奇遇っスね!」
     飼い主を見つけたわんこもかくやという様子で走り寄る武道。
    「今日バレンタインじゃん。
    ヒナちゃんとデートじゃないの?」
    「や、ヒナ塾あるって言って…チョコは昼休みに貰いましたし」
     テレテレと鞄をいじる様に、マイキーはふぅん、よかったじゃんと笑みを浮かべた。
    「マイキー君こそバレンタインは女子からいっぱい貰ってそうなのに」
     見たところマイキーは手ぶらだ。やっぱりチョコよりあんこ派だからなのか。
    「貰ったけど全部は食えねぇし、手作りなんて何入ってるかわかんねーもん。
    ケンチンに仕分けてもらって大丈夫そうなやつだけ家に持って帰ってもらった」
    エマがそわそわしてたしな、と妹思いな面を出す。
    それはそうか、仮にも暴走族のトップだ。手作りチョコに何か仕込まれているかもしれない。
    イケメンにはイケメンの苦労があるんだなぁと、彼女持ちの余裕で同情心を抱く武道だった。
    「ヒナちゃんのは手作り?」
    「そっすね、前クッキー貰って食ったらうまかったし楽しみっス。
    あっくんとタクヤはモテるから机にチョコつっこまれてましたけど、マコトと山岸がひがんで…ていうかまぁ、去年まではオレもそっち側でしたけど」
     ヒナは優しいから山岸達の分もくれたんスよねぇ。おすそ分けだって。マコトたち感激して小躍りしてましたよ。
    「母ちゃんが寄越したの、徳用パックのチョコっスよ?
    お友達と分けなさいとか言って」
     ラッピングもされていないアルファベットが印字された一口サイズのチョコレート。
    「いいじゃん、オレ好き」
    「あ、じゃあこれオレからマイキー君に」
     賞状を渡すように捧げ持つと、マイキーが呆気にとられた顔をした。
    しかしすぐに飄々とした雰囲気を纏って、
    「使い回しじゃん」
    いい度胸だなタケミっち、とヘッドロックをかけた。

     「タケミっち、今日は何の日だ」
      マイキーに撃たれてふたりでビルから転落。しなかった。
     持ち前の頑固さと頑丈さでマイキーの手を離さず、白目をむいたままびくともしなかったと言っていたのは三途だ。忌々し気な表情付きで。伝説の弁慶の立ち往生ばりである。
     マイキーの命の恩人なんだからもうちょっと態度どうにかならないのか、と内心思うが口にすれば頭にズドンと一発喰らうこと必須だとわかりきっているので口を噤む。
     あの出血量で生き延びる自分の生命力が怖いを通り越してもう人外なんじゃないかと思っている。というか三途含めあの惨状を知っている人間全員に人外扱いされている。ちょっと泣いた。
     長い治療を受け、車いすに乗れるようになったら流れるように梵天管理下の高層マンションに住処を移された。所謂監禁生活だ。出血多量の影響で五体満足といかなくて下半身不随になってしまったことはマイキーに生きる力を与えたらしい。
    腕は使えるというのに甲斐甲斐しく食事の介助までしようとする。
    さすがの武道も自分の身の上を考えれば心が折れただろう。マイキーはそう踏んで娯楽とネットの類は自由に使わせている。
    むしろボロアパートで一人暮らしをしていた時より人間らしい生活をしているかもしれない。
    悲しい現実に思いをはせていたら、マイキーがうんともすんとも言わない武道に不機嫌になった。
    「あー今日っスか…」
     車いすで逃げる見込みがないとはいえ、マンションの外へ出る自由はなかった。なのでカレンダーの感覚が狂ってくる。
    「二月…あぁバレンタイン?」
    「正解。これ食べよ」
     マイキーが手に持っていたのは徳用のチョコ。アルファベットが印字されている一口サイズのチョコだ。
    「へぇ、珍しいっスね!
    なんかこういう庶民的なの、もう食べないのかと思ってた」
     たまに訪れる九井や灰谷兄弟は聞きなれない菓子店のケーキや焼き菓子を差し入れてくれる。今まで食べたことのない味で最初は感激していたものの、如何せん舌が貧乏なので庶民的なものを欲していた。
    「オレ、これ好きなの」
     どこを見ているかわからないマイキーの目が、なんだか優し気に細められた。
     開けた徳用パックのチョコをバラバラとテーブルに広げる。
    「何してんの?」
    「アルファベットが書いてあるでしょ?
    マイキー君の名前作ろうかなって」
    『M』『A』『I』『K』
    「Aはいらないよ、マイキーはMIKEY」
    「あ、そうなんだ。Yが見つからない~」
    パズルが好きな武道だからか、ちょっとした遊びを思いついたらしい。
    マイキーも手近なチョコを集め始める。
    チョコを全部見たがYが印字されたものは見つからなかった。気にして食べていなかったからAからZまで全部揃っているかと思っていた。
    マイキーは手元を見る。
    『LOVE OU』
    IとYを見つけられなかった。Oを口に放り込むと、スッとLOVEの前にIが置かれた。
    「MIKEYが完成しなかったからIあげます。
    I LOVE U、で完成っスね。お洒落なロゴとかでYOUをUに略してたりするし」
    にしし、と笑う武道は、あの頃のままで。
     ねぇ、覚えてないだろ。
     お前がくれたチョコ。あの頃は自分の気持ちに気づいてなくて、ただただもやもやしてて。
     ヒナちゃんとお前のこと応援してるのに、時々叫びだしたい気持ちになって。
     あの時貰ったチョコ、大事にちょっとずつ食べてたんだぜ。
    「愛をくれるの?」
    「あげますよ」
     ごめんな、お前を手放してやれない。
     マイキーの真意をわかっているのかいないのか。武道は笑っていた。


     おわり
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    96noScull

    DONE最近こちらに投稿してなかったなぁと思って。表向きビデオ屋裏でころしややってる記憶なしみっちとそんなみっちを愛しく思うまいきの話が読みたい…とついったでぼやいて悶々考えた末に出来た産物。まちるだ、せいへきゆがむよね…
    マチルダは微笑む「花垣く~ん?
    またDVDの中身が違うと苦情が来たんですが洋画のコーナーは君担当でしたよねぇ~?」
    答えなくてもわかっていると言わんばかりに年下の店長がねっとりした口調で責め立てる。
    愛想笑いしながらすみません、と頭を下げれば「はいまた口だけぇ~」とあてこすられる。
    謝る以外に道がないが、謝らなければ謝らないで「どうしたんですかぁ~その口は飾りですかぁ~考える脳みそないんですかぁ~」と嫌味が倍増すること請け合いである。
    なんでこんなところにいるんだろ。バイトならいくらでもあるのに。
    でもなぜだかここから離れられない。若い店長は使えない年上のバイトなんかさっさとクビにしたいみたいだが。
    いつも店に最後まで残るのは武道だ。DVDの中身のチェックを終えると一番最後に見るものがある。お気に入りの洋画。腕利きの殺し屋がアパートの隣人の少女を汚職警官から庇い、共に過ごしていくうちに絆が芽生えるストーリー。端的に言えばハッピーエンドではない。殺し屋なんて生業である以上、主人公は幸せになるべきではないんだろう。少女に金を遺し、自分は少女の家族の仇を道連れに死ぬ。
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