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    pagupagu14

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    暴君の引っ越し業/シアセレ(終ヴィル)
    シアン救済エンド後のシアセレです!

    #終遠のヴィルシュ
    endOfTheWorld
    #終ヴィル
    endVirus
    #シアセレ
    shearCere

    暴君の引っ越し業 「おい、選べ」
    ばさりとテーブルの上に乱暴に置かれた本を手に取ると一つは住宅雑誌でもう一つは通販の雑貨雑誌だった。
    「シアンさん、引っ越しされるんですか?」
    「引っ越し……まあ、そうだな」
    シアンさんの家がどこにあるのかは知らないけれど、流石に研究室に引きこもれる生活は良くないと理解されたのだろうか。そんなことを思いながらシアンさんがどういう意図で渡して来たのかよく分からないままページを捲る。
    「それで、選べと言うのは…?」
    「好みとかあるだろう。どういう間取りがいいだろか、こういう家具がほしいだとか」
    …シアンさんはこういったことを決めることがはじめてだから私の好みを参考にしたい、と…そういうことなのだろうか。ううん、きっとそうなのだろう。
    そう理解するとシアンさんに伝えていく。
    「キッチンが広くて、冷蔵庫が大きいと助かりますね」
    「ふむ…何故だ?」
    「広いと、料理もしやすいですし冷蔵庫が大きいと作り置きもたくさん作っておけますから。それに、大きくて困ることはありませんよ」
    「…そうか、他は。」
    「他は…ベッドはちゃんと置いて寝て欲しいですね」
    じっとシアンさんの方を見て言えばふっとシアンさんは小さく笑う。
    「今のままでも充分なんだがな…」
    「不健康です!なので、ちゃんと睡眠は取ってほしいです」
    「わかった、わかった、善処する」
    納得しきれなかった私だったけれどシアンさんに続きを促され希望を述べることしか出来なかった。
    「…以上か」
    「は、はい!」
    「…分かった。追って連絡する」
    追って…?と疑問を浮かべつつも私はこくりと頷いた。
    ***
     そんなことがあってからしばらく、その出来事を頭の片隅にやっていた頃。朝、目が覚めると騒がしいことに気づき支度を済ませて降りていくとマムの怒号が聞こえた。
    「ま、マム…?」
    「セレス!出て来ちゃダメ!部屋に戻っていなさい!」
    「えっ…?」
    よくわからず疑問符を浮かべる私の前にマムをすり抜けやってきたのはシアンさんだった。
    「し、シアンさん…?」
    「セレス、お前の部屋に入るぞ」
    「えっ…?えっ…?」
    事態が飲み込めていない私を他所にシアンさんは業者の人らしい人たちを連れ、私の部屋の荷物を運びこんでいく。
    「あ、あの、シアンさん…これは…?」
    「【引っ越し】だ」
    「引っ越し…」
    「前に聞いただろう」
    「でもあれはシアンさんのじゃ…」
    はぁ、とため息をシアンさんは吐く。
    「お前、分かってなかったのか」
    「分かってなかった、って…」
    「俺とお前で暮らす家だ。だからお前に選ばせたんだ」
    「そ、そういうことだったんですね…!」
    そう気づくとじわじわと私を幸せが蝕んでいく。
    「し、シアンさん…」
    「ん?」
    「い、一緒に住んでも…いいんですか?私が…」
    「言っただろう、お前が【死神】と呼ばれる所以を解明してみせると。それに、未来の伴侶だ、一緒に住んで何が悪い」
    「ありがとうございますっ」
    そう、笑った途端呆れた顔のマムと悲しそうな顔をした子供たちが飛び込んでくる。
    「…セレス、こんなろくでなしと一緒に暮らしたい?後悔しない?」
    「はい……私は、シアンさんと一緒に、いたい…です」
    「そう…分かった。分かったわ。…許します、けれどそこのろくでなしのせいで別れの時間が取れないのも、私も…子供たちも寂しいわ」
    「…私も、お別れが言いたいです」
    「……別れ、か。それは考慮していなかったな」
    今気づいたというようなシアンさんの言葉にマムはがっくしと肩を落とした。
    「夜に迎えに来なさい。それまで、セレスはうちがまだ住まいだから」
    きっと怖気づくこともしなく言うマム。そんなマムを無視してシアンさんは私を見る。
    「…待ってます、シアンさん」
    「はあ…分かった、また夜な」
    「は、はいっ…!」
    別れを言う時間を許してくれたことが、私の意志を尊重してくれたことがシアンさんに感情があることを実感してしまい、またシアンさんが優しく頭を撫でるものだから顔を赤くさせてしまう。業者と共にシアンさんがいなくなったあと、私は子供たちに抱きつかれてしまったのだけれど考えるのは…シアンさんのことばかりだった。
    -Fin-
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