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    pagupagu14

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    青空の色/斎時(Fate)
    斎藤さん一人称が俺の時は本音だったらいいのになぁ、と思ってます。ネイルをつける時尾さんの話、ちょっとだけなぎこさん出ます

    #Fate/GrandOrder
    #FGO
    #斎藤一(Fate)
    ichiSaito
    #斎時
    saisai
    #藤田夫妻

    青空の色 「あれ、時尾っちじゃん!」
    そう言って声をかけたのは清少納言こと、なぎこだった。首を傾げつつもなぎこへと時尾は近づく。
    「どうしました?」
    「あたしちゃん、思うんだよね!こんな逸材が勿体無いって!」
    「勿体無い?」
    「せっかく現代に現界できてるんだから楽しんでもいいって思わない?」
    「…つまり?」
    「爪塗らせて!あたしちゃんが塗りたいってのもそうだけどさ、水仕事して爪に目が入ってそれが可愛かったらテンション上がらない?あたしは上がる!」
    そう力説され、その様子を想像し「確かに」と時尾は頷く。
    「だったらいい!?」
    「私でよければ」
    「時尾っちがいいんだよ!何色がいい!?たくさんあるよ!」
    そう言ってなぎこが取り出したネイル道具を見てある色を時尾は指差したーー。
    ***
     「はい、どうぞ」
    「ああ、ありがとうーー…」
    と言って斎藤は目を丸くさせた。湯呑みを置くと妻の時尾を手招きする。すると時尾はちょこんと側に座るものだから苦笑し時尾の小さな手を取った。
    「爪、どうしたの?今朝はなかったろうに」
    「清少納言さ…いえ、なぎこさんが塗ってくれて」
    「へえ、あの子が」
    「…五郎さんはお嫌いですか?」
    「いや、そう言うんじゃないさ。…この色は、時尾が選んだの?」
    「はい」
    「そうか」
    時尾の指に塗られた色は鮮やかな水色。浅葱色とも呼ぶ色は新撰組といえば、と言えるようなそんな色だった。噂では聞いていたかもしれないが新撰組時代から時尾と知り合っていたわけではないからこの色を塗っていたことが斎藤にとっては不思議だった。
    「勘違いしないでください」
    「うん?」
    「これは新撰組だからとかあなたが所属していたからとかそういう意味で選んだわけじゃありませんから」
    「じゃあ、どうして?」
    「これは…青空の色です」
    「青空…」
    「斗南の生活…苦しかったでしょう?畑を耕したり、薪を割ったり、運んだり…何かと大変で、惨めでつらかった…でもふと見上げると青空がとても綺麗でそう感じることが出来るのなら私はまだ大丈夫だ…とよく、そう思っていたものです。だから、私はこの青空の色が好きなのです」
    にこりと時尾は笑って言う。
    「はは、青空の色か…そりゃあいい…くく、ははっ…」
    「な、なんで笑っているんです!?」
    「いんや、案外名に縛られてるのは俺の方かもしれないなと思って」
    「?」
    斎藤は嬉しかった。カルデアで【斎藤一】として召喚された以上自分は新撰組の斎藤一だ。それ以上も以下もない。斎藤がどれほどその先の記憶を持っていようとも。しかし、時尾は新撰組なんてどうでもいいといった風で、ただ目の前の自身の夫を愛し一人の人として接している。当たり前のことだが、その当たり前が斎藤にはたまらなく嬉しかったのだ。
    「時尾、やっぱお前はいい女だよ」
    「何ですか、いきなり」
    「いや、惚れ直したんだよ。お前に」
    そう言って目を細め、斎藤は愛する妻に愛の言葉を語った。
    -了-
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