ストロベリー・スカッシュ! 急に自分の気持ちを伝えようと思い立って、松井江は豊前江の姿を探していた。今日は完全に非番の日だから本丸内を歩いていれば出会えるだろうが、それでも自分の中の想いがまだ鮮明に言葉にできるうちに、松井は豊前を見つけてしまいたかった。
しかし目星をつけていた厩舎にもその姿は見えなかったため、松井は次に庭へと向かう。その途中、松井は廊下の曲がり角でばったりと鶴丸国永に出くわした。
「おっと、」
松井は少しだけ目を丸くしたが、目礼だけしてその場を去ろうとした。しかし、
「なんだなんだ、豊前でも探してんのか?」
自分の目的をズバリ言い当てられ、松井は思わず鶴丸の方を振り向いてしまった。
「おっ、図星か」
「……何故、わかった?」
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