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    RyukA_d

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    RyukA_d

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    カミュベロ版ワンドロワンライ
    お題:オレの連れがなにか?
       
    やさぐれミュになってしまった……。

    誰の何あーあ、あのおチビめ。
    ……いや、今は小さくねぇのか。

    だからオレは先に言ったんだ。
    虫よけになろうかって。

    そしたらあのおチビ——……チビじゃねぇや。
    「今は一人で歩きたい気分なの」とか言いやがって。

    親切心蹴り飛ばしたのはそっちなんだからどうもしてやんねぇよ。もう。

    「……」
    「……いや、気になるなら行きなよ」

    相棒が白けた目で街中の一点を指さす。

    「いや、行ったらオレの負けになる。だから行かねぇ」
    「誰と勝負してるのさ」
    「ウチのチビ」
    「今日、ウチにお子様はいないよ」
    「……」

    相棒の言う通り、今日子供はいない。
    旅の途中に挟む『休息の日』では、よほどのことがない限り戦闘にはならない。

    自由行動を良しとしているので、この機会に連携技の練習でもするかと意気込むおっさん達もいるが、大体女たちは浮足立って街に飛び出す。

    女全員で行動することもあれば、それぞれバラバラになって行動することもある。
    どうやら今日は後者らしく、「3時にあの場所で落ち合いましょうね」と約束を交わしてそれぞれ旅立った。

    あの双子じゃまだ姫様の酒の趣味には合わないだろうし無理もない。

    「変な意地張ってないで行きなよ。どうするの? ベロニカが『いい話ね!』とか言ってついてっちゃったら」
    「そんな警戒心の無い女じゃねぇよ」
    「……そこを信頼してほしいんじゃなくてね?」

    イレブンがそう言うと、相棒はフン、と鼻を鳴らす。

    ほらぁ。
    そこまで気にするならさっさと行けばいいのに。

    そう思いながらイレブンは相棒が先程からずっと気にしている一点を見据える。

    そこにいるのは金髪の女性だ。というかベロニカだ。
    意気揚々と大人の姿で飛び出した彼女だ。

    そしてそんな彼女の対面には数名の男性がいる。
    一部始終を見ていたから分かるが、どうも質の悪い声かけではないらしい。

    道を知りたいというところから入り、ベロニカが「あたしも詳しくないのよ」と答え、そこから話が弾んでいる。
    ここに詳しくないってことはどこか別のところから来たの? という話題を経て、そこ行ったことないけどどんな感じの場所なの? という話題に移り、お姉さん何をしてる人なの? という話題に今は着地している。

    つまり、今男たちの関心がベロニカに移ったところだ。

    まぁ、気にもなるだろ。
    軽装備で旅をしているという若い女のことなんて。下心なく、普通に。

    どんな事情があるんだろうか、というちょっとしたいらない好奇心だ。

    この旅はあんまり大々的にしたいものではない。
    実は世界が終わりかけだ、なんて知らなくても生きていけるんだったらそれでいい。

    問題は、人間っていうのはそうやって隠されると興味を持つことだ。
    そいつの奥を知りたくなる。
    少し教えてくれたとしても、今度は次の秘密がある。
    そのうち、全部知りたくなる。

    ―—それが夜の女の商法でもあるって分かってんのか、あのチビ。

    それと同じことしてるんだから野郎は気が惹かれてるんだよそれ。
    ただでさえ男は顔面で靡きやすい本能なんだから。
    ブーストかけてるって分かれよ。あの馬鹿。

    「……行ってくる」
    「おっ!」

    やるねー! とヤジを飛ばしてくる相棒の声なんて聞こえない。聞こえない。

    あのチビ、声かけたら声かけたで「なんで居たの?」とか言ってきてもおかしくねぇな。
    別に「見てたから」って答えるのは構わない。あいつが出かける前から苦言は言ってたんだし、気にかけてたことを知られるのはどうでもいい。

    ……あいつ、普段ガキやってるせいでたまには人の眼を浴びたいとか思ってるんじゃねぇだろうな。
    見た目を持て余してるとか思ってたりすんじゃねぇか?

    「……」

    それはないって、お前が一番分かってるだろ。
    そういう女じゃないだろ、あれは。

    しようもない理由で腹立てて、女を貶すって。お前の方がガキじゃねぇか。

    やってらんね。
    そうは思いながら、多分この調子じゃあいつを迎えに行ったその口でいつもと同じことをするに違いない。
    売り言葉に買い言葉。

    まぁ、それでもいいか。
    一人で出かけると男が一匹うるさくなるぞって分からせてやればいいか。

    そんな不貞腐れ方をしながら彼女たちの間合いに入ると、「あ!」と誰かが声を上げる。

    あ? と思いながら顔を上げると、ぱたぱたと目当ての女が自分に駆け寄ってくる。

    「言ったでしょ。この人よ」

    ベロニカがするり、と自分の腕をこちらの腕に絡ませてくる。

    「あたしの連れ」

    だからあなたたちとはここでさよならなの。
    そういわれて簡単に引き下がるようなら数分とはいえ執着に派生しない。

    どうすんだよこれ。
    そう目で問おうとして彼女の顔を見ると、すでに菫色が先回りをしていた。
    そんな縋るような目で頼るしかなくなるんだったらはじめっから連れまわした方が楽だったろうが。ったく。

    カミュは自分の腕を強く引き、腕にしがみつく彼女を引きはがす。
    そのせいでやや体制を崩す彼女の腰につかさず手を回し、そのまま力強く自分に引き寄せる。

    「オレの女になにか?」

    おー、そうそう。
    そうやって一々赤くなるの、相手には効果覿面の演出になると思うぜ。








    「馬鹿! あそこまで言えとは言ってないじゃない!」
    「あそこ? どれだよ」
    「『オレの女』!」
    「じゃあ何が良かったんだよ」
    「『オレの連れ』でよかったでしょ」
    「連れ?」
    「連れ」
    「断る」
    「なんでよ」

    オレの気がすまねぇからに決まってんだろ。
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