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    Dom/Subユニバースのナオ武
    DomのナオトとSubの武の甘々プレイ

    Dom/Subのナオ武① もう何日もまともに眠れていない。
     睡眠不足の頭はズキズキと痛むし、身体に力が入らなくてフラフラする。
     バイトはなんとか乗り切った。でも、帰り道を歩く足には力がほとんど入らず限界がきていた。
     原因はわかっている。オレの第二性であるSubのせいだ。「男女の性とは別に、ダイナミクスという力量関係によって異なる性が定義づけられる」って意味のわからないのことを説明されたのは、中学生になったばかりのときだった。どうにも体調がすぐれなくて病院に行ったら「花垣武道さん、あなたはSubです」と医者に告げられた。世の中にはDom、Sub、Neutralの3種類の第二性があるらしい。Domは誰かを支配したい、甘やかしたい、躾たいという欲求を持っていて、反対にSubは、支配されたい、褒められたい、躾されたいという欲求を本能的に持っている……らしい。neutralはどちらでもない人。つまり普通の人たちだ。
     オレはよりによってSub。本能的に支配されたい人間なうえに、実際の社会でも支配されている。学歴もなくて、低収入で、これといった特技もないオレは強い人間に従うだけの人生だった。中学では年上の不良に目をつけられて奴隷にされるし、中卒だからバイト先でも馬鹿にされてきた。しかも、Subの支配されたいという欲求は、満たされないとわかりやすく体調が悪くなる。うまく眠れなくなって、食欲も無くなって、体温調節もできなくなる。本当に勘弁してほしい。
     欲求を満たすにはパートナーを作って定期的にプレイするのが一番いいそうだ。だけど、オレみたいな容姿がいいわけでもないSubはやり捨てされるのがせいぜい。ちょっと前もマッチングアプリで知り合ったDomに縛られて、殴られたばっかりだった。オレはSubだから、殴られてヤられるのは仕方ないんだろうって、そのへんはもう諦めている。諦めているけど、今はどうにもマッチングアプリで相手を探そうという気力が湧いてこない。心底疲れていた。
     フラつきながら階段を上がり、マンションの一室のインターホンを鳴らした。鍵が開く音がして、扉の隙間から男が顔を出す。
    「上がってください。今日も頭に入れてほしい資料が山程あります」
    「ええ……オレを殺す気か」
     この、ナチュラルにオレに対して鬼畜行為をする男の名前は橘直人。オレの元カノの弟だ。こいつとは元カノの橘日向を救うために協力関係を結んでいる。組対の刑事であるナオトは、仕事で得た情報を徹底的にオレの頭に詰め込もうとしていた。
    「ここ、重要です」
     オレはPCデスクに座らせられ、膨大な資料を読んだ。後ろでは常にナオトが見張りのように立っていて、居眠りなど許してもらえない。ただでさえ睡眠不足で体調が悪いのに本当に辛い。でも、オレはやるしかなかった。それは人生唯一の彼女である橘日向を救いたいからだ。
    「タケミチ君、ちゃんと読んでますか? さっきからスクロール動いてませんけど」
    「う……、ちょっと頭に入らなくなってきて……」
     小さな文字を追っていると、眩暈がして吐き気もしてきた。文字は追っているけど頭には全然入ってこない。
    「ごめ……休憩させて」
     吐き気を我慢しながら椅子から立ち上がると、グラリと視界が歪んだ。力が全身から抜けて、崩れ落ちそうになる。倒れかけたオレをナオトは咄嗟に受け止めた。
    「大丈夫ですか?」
     ナオトが焦った声を上げる。いつも厳しくて全然優しくないナオトの心配そうな顔は珍しい。
     オレは、大丈夫だと伝えようとして、そのまま気を失ってしまった。

     目が覚めるとナオトのベッドに寝かされていた。寝返りをうって横を向くとナオトが無表情にオレを見ていた。
    「…………ごめん、ちょっと体調悪くて」
    「最近、顔色が悪いとは思ってました。体調が悪いなら言ってください」
    「……悪い」
     オレが謝ると、ナオトは眉間を寄せて睨んでくる。体調管理もできないのかと怒っているんだろう。実際オレはSubの欲求のコントロールも全然できてないし、ダメな奴なのはわかっている。
    「タケミチ君、君は、」
    「ハイ……」
     怒られる準備をしてたら、ナオトが予想外のことを言ってきた。
    「君の第二性はSubですね」
    「あ、そう。わかる? 言う必要ないかなって黙ってたけど……」
    「プライベートなことなので、それはいいんです。でも、ここまで体調を崩しているならボクも無視できません。Domとのプレイは行っていますか? ボクがここに呼び出しているせいでパートナーとの関係が悪くなったりしていますか?」
     ナオトは怒りを含んだ声で、オレに次々と質問してきた。
    「……ここに来てるからとかは関係ねえよ。パートナーなんていないし。……プレイは最近面倒でやってない」
    「今までプレイ相手は誰にお願いしてたんですか」
    「え?……アプリとかでテキトーに」
     そう答えると、ナオトは黙ってしまった。沈黙が落ち着かなくて、手を握ったり開いたりしてしまう。姉ちゃんの元カレがアプリで適当に相手を探してヤってるなんて聞きたくなかったのかもしれない。
    「……応急処置ですが、ボクとプレイしますか?」
    「へ? ナオトと……?」
     突然の提案に、間抜けた声が出た。ナオトとプレイ? それが何を意味するのか理解するのに時間がかかった。
    「……だって、お前……Domなの?」
    「普段は抑制剤で抑えています。薬が効きやすいので」
    「そうなんだ……」
     思い返してみれば、ナオトはDomらしい性質がある。管理して、厳しく躾ける。何で今まで気づかなかったんだろうと思うくらいDomに当てはまる。
    「NG行為はしませんし、セーフワードも設定します。……タケミチ君が嫌でなければどうですか?」
    「うん、全然大丈夫……。むしろ悪いな」
     本来プレイは互いの欲求を擦り合わせてやるものらしい。暴力がNGなSubもいるし、性的行為がNGなDomもいる。どんなに支配的なプレイが好きなSubでも、本当にやって欲しくないことはセーフワードを言えば中止してもらえる。オレは、いつもセーフワードなんて設定してもらったことも無いし、Domがやりたいようにやられていた。だからナオトの提案はちょっと驚いた。
    「タケミチ君のNGは?」
    「……とりあえずエロ系は無し。殴られたりも嫌だ」
    「わかりました。ボクも暴力行為はできません。一応警察官ですしね」
     ナオトの言葉にホッとして、身体から力が抜けてきた。痛い思いはしなくていいとわかって安心したからだ。オレはナオトに向かって「よろしくな」と笑いかけた。
    「いえ……これくらいのこと。君にはもっと頑張ってもらわないといけませんから」
     ナオトがオレを気遣ってくれてるのがなんとなく伝わってきて、口は悪いし、態度もキツイけど結構いい奴だと印象が変わった。
     今までオレの周りには、Subを痛めつけるのが好きなDomしかいなかった。とくに中学のときの先輩はヤバかった。オレがSubだとわかると「痛いのが好きなんだろ」と殴られて、無理矢理やられたっけ。オレの周りの治安が悪すぎるだけかもしれないけど、Domに優しいイメージなんて無い。
     ナオトはオレの顔色を確かめるように、覗き込んで額に手を当てた。
    「熱は無いようですね」
    「……寝不足なだけ。最近眠れてないから」
    「今から簡単なコマンドだけ試してみましよう」
    「う、うん」
    「セーフワードは『ストップ』でいいですか? タケミチ君が嫌なことはしません。それは誓います」
    「……うん」
     ナオトは今まで聞いたこともない穏やかな声で話しかけてくるから、妙にドキドキしてきた。普段の様子からめちゃくちゃドSなプレイをするんじゃないかとビビってたけど、優しい声に不安が消えていく。
    「……じゃあ、最初のコマンドは」
     ナオトが言葉を切って、オレの目を見つめる。Domに見つめられると、身体中に電流が走ったように本能が目覚める。ああ、ナオトはDomだ。そう本能で理解できた。
    「Kneel (おすわり)」
    「…………っ、あ、……」
     ナオトがコマンドを告げた途端、頭の中に指示が入り込む。よろよろとベッドから降りて、床にぺたんと座った。犬がお座りするようにナオトの前に座り込んでいた。
    「よくできましたね」
     そう言って、ナオトは優しく微笑んだ。柔らかい声で褒められてゾクゾクした。全身に血が一気に巡る。今まで褒められるタイプのプレイはしたことがなかったから、耐性がなかった。
    「……ナオト……オレできた?」
    「タケミチ君は上手にお座りできました。次は……Come (おいで)」
    「……は…い」
     床を四つん這いになって、犬みたいにナオトの側に寄って行った。近くに行くとナオトはふわっとオレの頭を撫でた。
    「……あ、もっと撫でて?」
     温かい手のひらに、頭がふわふわする。Subの本能からもっと撫でて欲しくなってナオトの顔を見上げた。犬みたいな行動をしながらも、どこかに理性があって、自分が恥ずかしい。でも、いつも厳しくて、怒ってばかりのナオトがオレを優しく褒めてくれる。もっと、褒めてほしいし、自分を差し出したくなってくる。
    「素直でとてもいい子です」
    「ほんと……?」
    「でも、嫌なことは言ってください」
    「嫌なことなんて、まだ何もされてない」
    「……じゃあ、次はボクの膝に頭をつけて」
    「うん」
     ナオトの太ももに手を添えて、頭を乗せた。体温が近くて、死ぬほどドキドキする。これからきっとあの手で撫でてもらえる。その期待感で眩暈がするほどだった。
     長い指がオレの髪を触る。あのナオトの大きくて綺麗な手に触れられてるかと思うと身体が熱くなった。梳くように頭に指を入れられてから「よくできました」と撫でられた。
     頭がふわふわして、胸が嬉しさでいっぱいになった。もっと褒めてほしくてナオトを見上げるとちょっと困ったような顔をしている。何かダメなところかあったんだろうかと不安になって涙が出てきた。SubはDomに嫌われると途端に不安定になる。
    「そんな目で見られると……少し困りますね」
    「なんで……オレだめ?」
    「タケミチ君はいい子です。ボクが……欲求を抑えられないだけです」
    「……ナオトはどうしたい? 何が好きなの? オレするよ」
     プレイ前はエロ系も痛いのも絶対に嫌だった。だけどナオトに優しく触られて、もう何でもしたいし、してほしくなってきた。自分でも本能に忠実すぎて呆れる。
    「嫌だったらセーフワードお願いします……」
    「うん、わかった」
    「ボクの膝に乗って」
    「……いいよ」
     なんだ、そんなことかと少しガッカリしながらナオトの膝に跨った。ぴたりと身体が密着して、安心する。これ、すごくいい。
    「……ナオト……ぎゅってして、それから撫でて」
    「はい」
     ナオトはオレの背中に腕を回して抱きしめてくれた。それからまた頭を軽く撫でて、頬も撫でてくれた。顔が近くて自然と目が合う。たまらなくキスしたくなってきた。でも自分からエロ系にNGを出しているから、キスをお願いするのは躊躇った。
     ナオトの手のひらが頬に添えられたまま、唇に触れてくる。指で唇をそっと辿られて、我慢できなくなってきた。
    「……っ…ナオト……」
    「なんですか?」
    「くちびる……が……」
    「お願いがあるなら、ちゃんと言ってください。タケミチ君は言えますよね」
    「……うん……くちにキスして?」
     とんでもないことを言っていると冷静な自分が思う。ナオトにだってセーフワードを言うは権利ある。オレにキスなんてするはずないと思った。
     でも、ナオトはそのまま顔を近づけて唇に触れてきた。上唇を挟んでから、下唇も優しく挟んでくれた。何回も啄むみたいに唇にキスされて言葉にならないほど満たされる。
    「ん……」
    「ちゃんと言えたからご褒美です」
    「……う…ん」
     なんだか頭の中もとろとろに溶けてきて、力が抜ける。ぼんやりして、ものすごく眠たくなってきた。
    「タケミチ君……?」
    「ごめん……もうねむい……」
     ゆらゆらと波の上にいるみたいに気持ちよくて、ナオトに寄りかかったまま引きずられるように寝てしまった。
     再びナオトのベッドで目が覚めると、ものすごく頭がスッキリしている。目眩もないし、腹もすいてきた。プレイ後にこんなに体調がいいのは初めてだった。
    「ナオト! マジでありがとう!」
     オレはリビングまで走って、ナオトに感謝を伝えた。
    「おはようございます。……回復したようで、よかったです」
    「うん! こんなに体調いいの久しぶり! またよろしくな!」
    「…………そうですね、またお願いします」
     ナオトはオレの勢いに呆気に取られたのか、若干引き気味だった。でも、そんなことに構っていられない。ここまで相性がいいDomは初めてだった。自分が褒められて、甘やかされるのが好きなんだと、ナオトとのプレイで初めて自覚した。今まで命令されたり、痛めつけられることが多かったから、こんなものだと納得していたけど違ったんだ。
     ナオトには申し訳ないけど、しばらく応急処置のプレイに協力してもらおうと勝手に決めた。
    「あ、オレお前ならNG無しでいいから」
     そう伝えたらナオトはなぜか頭を抱えていた。
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