伝説のステージ「勝っちゃった、ね」
「ああ全くだ」
FF優勝という勝利に沸くサッカーグラウンド。
紙吹雪が舞うここは地上ではなく、空に浮かぶ要塞のようなスタジアムで。自分たちの時代にあったアマノミカドスタジアムと地上から離れた高いグラウンドでたたかうという点では同じだが、もしかしたらこの10年前の方がテクノロジーは発達していたのではないだろうか、と目の前の胴上げされている円堂を眺めながら松風天馬はぼんやり思った。
遡ること1週間ほど前のこと。久しぶりにフェイたちと再会してイナズマタイムキャラバンでタイムワープするところまでは良かったものの、謎の不調によりこれまた何故か天馬と剣城だけがタイムキャラバンから振り落とされてしまうというアクシデントが起きてしまう。気が付けば10年前の円堂たちが中学生だった時代にまで戻ってしまったが、奇妙なことに天馬と剣城の存在は雷門中サッカー部の一員として既に受け入れられているパラレルワールドであった。タイムキャラバンが迎えにこない限りはこの世界から脱出することができないため、「迎えが来るまでいっそこの世界を楽しんじゃおう!」という天馬の提案に反対する理由もなく、天馬と剣城に課せられた設定に逆らうことなく雷門中のサッカー部1年として、口伝でしか聞いたことのなかった歴史の数々を二人は目の前にしている。なんだか妙な気分ではあったが、非常に気分が高揚した。と、まあ気付けばあれよあれよという間にFF優勝まで二人は雷門中サッカー部の一員としてたどり着いてしまった。10年前の雷門中のユニフォームを着たままで。
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