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    yamagawa_ma2o

    山側(@yamagawa_ma2o)のポイポイ部屋。

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    yamagawa_ma2o

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    書こう書こうと思って書いている現代大学生AU忘羨ピアスの話④。どうしてこうなったのか編。忘羨がちゃんとくっついて最終的にR18になるのを目指しています。何でも許せる忘羨大好き大人向け。(成人向け描写はまだありません)

    ##1010Fes!
    ##忘羨

    耳環④「忘機」
    「はい、兄上」
    「寂しいかい?」
    「いえ…………」
     藍忘機は窓の外を見た。飛行機は、さっきまでいた場所からどんどん離れていく。彼は、隣に座る兄への返答の中に、無意識のうちに言葉とは正反対の意味を込めていた。彼は無垢な自分の耳朶に触れ、あの時の小さな事件を反芻せずにはいられない。藍曦臣は、そんな弟を気遣ってか、それ以上声は掛けないで本を開いた。



    「お前が知る必要はない。いや、……ここで言っておく。――あいつは、育ててくれた恩のある江家を裏切って行方をくらましたんだ!」
     江澄が叫ぶと、藍忘機はほんの一瞬険しい表情になり、魏無羨は今日は戻らないと告げた。しかし、江澄は興奮気味のまま、更に言葉を重ねた。
    「あいつは、何も言わずに出て行った! 俺を支えると言ったのにだ! 金家に後見を任せて自分は出て行って……、父さんと母さんを、江家をあんなふうにしておいてよくそんなことができたものだよ……。藍忘機、あいつに会ったら首を洗って待っていろと伝えておけ! 八つ裂きにして犬の餌にしてやる!」
     藍忘機はおろおろと狼狽えている寮監に、「知り合いの高校生が家出をしてきたのでまず自分の家の者に連絡してほしい」と伝えると、江澄を寮の来客室で待たせた。彼は魏無羨がどこかに行っていることに藍忘機が少なからず関わっていると考えていたが、自分の家の事情に藍忘機という他人を関わらせるつもりはないようだ。藍忘機は家の者に江澄を送らせて、寮監にたばこを差し出した。
    「ハハハ、公子も悪いことを覚えましたね」
    「お手数をかけましたので」
    「このくらいどうということはないです。成績発表の後で保護者が怒鳴り込んでくるより全然いいですよ」
     寮監はため息をつくと、藍忘機にもらったたばこに早速火を点けた。藍忘機はもうすぐ講義が始まることに気づき、その場を辞した。


     講義を終えた藍忘機は、その足で魏無羨のいるかつての母の家に向かった。魏無羨はテレビを観ながらソファでくつろいでいた。意外なことにゴミはきちんと片付けられている。
    「江澄の奴、寮に押し掛けたんじゃないのか?」
     藍忘機は頷くと、ダイニングの椅子に座ったが魏無羨に呼ばれてソファの片隅に座った。もともと女性が一人で住んでいた部屋のソファなので、魏無羨と藍忘機は窮屈ではないが姿勢を崩すには物足りない感じになっている。
    「君に会わせるには冷静さを欠いていた」
    「……そうか。そりゃあそうだよな…………」
     魏無羨は怒るでも呆れるでもなく、ただ淡々と独り言のように呟いた。
    「魏嬰」
    「どうした?」
     魏無羨は何でもないように返事をしたが、次に藍忘機が何を言うかは分かっていた。
    「魏嬰、…………私が進学してから、君に何があったのか聞かせてほしい」
     魏無羨は窓の外を見た。窓の向こうはやさしい陽が照らしているが、それが遥か遠く、手の届かない場所にあるような気持になった。


     蓮の美しい湖のほとりの街で、魏無羨はほんの少しだけ年下の江澄と、彼らよりもう少し年の離れた姉・江厭離、そして姉弟の両親である江楓眠と虞紫鳶と暮らしていた。魏無羨は幼い頃に両親を亡くし、父親同士が懇意であった江家に引き取られたのである。江家は代々の大地主で、財産の管理と街の人々との付き合いが家業のようなものであった。当然、地元の有力者の家の子である江澄と魏無羨は近所の同年代の子どもたちのリーダー格となり、街中を遊び場にして育った。
     順風満帆な時代を過ごしていた江家であったが、魏無羨が高校に進学した年にそれは一変した。一家は毎年休暇中に旅行へ出かけており、あの日も出発の慌ただしさの中にどこか楽しい気持ちを皆抱いていた。そもそも父親同士が知り合いであったとはいえ、魏無羨は江家の使用人の家の子である。それで、魏無羨を旅行に連れて行くことを虞夫人はあまりよく思っていなかったが、江楓眠と江家の姉弟がどうにか説得して、彼も毎年の旅行に同行していた。あの年はちょうど江夫妻が結婚して二十年の年で、子どもたちは協力して贈り物を準備していた。
     しかし、一家の車が道路に出てすぐ、江澄が今までにない青ざめた表情で魏無羨を見た。
    「まさか、忘れてきたのか?」
     魏無羨が小声で言うと、江澄が小さく頷いた。しかし、江澄は忘れ物をしたので引き返してほしいと一言言うのができなかった。なぜなら、夫妻は前日に小さな諍いを起こしており、誰が見ても到底家族旅行に行く途中の車内の雰囲気ではなかったのである。そんな様子を見て、魏無羨が思い切って声を掛けた。
    「江おじさん! ごめん! 忘れ物しちゃったんだけど、ちょっと車戻せる?」
    「……阿羨、急にどうしたかと思ったよ。それは今取りに戻らないといけないのかい? 着いた先で買っても良いんじゃないか?」
    「いや、それがさ、どこにも売ってないものなんだ! 悪いけど家の近くまで戻ってくれたら、江澄と取りに行くから!」
    「仕方ない。戻るとしよう。阿澄、お前もついて行ってやりなさい」
    「はい、父さん……」
     この一連の出来事に、虞夫人はかなり苛立っていたし、魏無羨に嫌味を言った。
    「魏嬰、あんたがそんなんだと予定がおかしくなるのよ。江楓眠、魏嬰を連れて行くってこと、私は承諾していないわよね?」
    「虞紫鳶、君はまたそのようなことを…………。江澄、魏嬰。ここで待っているから今のうちに取りにいってきなさい。……ああ、厭離。君も弟たちについて行ってほしい。今の時間、この通りはよくトラックの裏道にされているから気をつけるんだよ」
    「分かりました」
    「ありがとう、江おじさん!」
     三人はどうにか険悪な雰囲気の車を降り、家に戻ることができた。三人は江澄の部屋の片隅に置かれていた準備していた贈り物をしまい、留守居の使用人たちに夫妻が喧嘩しているからまた戻ってくるかもしれないと冗談を言いつつ家を出た。
    「江澄、こんなでかい物を忘れるなんて、お前らしくもない」
    「魏無羨、お前の準備が遅くて気が気じゃなかったんだよ! 俺の成績が上がらなかったから母さんも朝から機嫌が悪いし……」
    「何言ってるんだ、お前の成績なんて端から端まで全部優秀だろ? どうせ江おじさんが店の家賃をと取りそこねて喧嘩になったんだ。あの店は先月の家賃も払えなかったんだろ? 江おじさんは気前が良すぎるけど、虞夫人は街の人から怖がられてるからな…………」
    「まあまあ二人とも。取り返しがつく時に気づけて良かったわ」
     その時、地震か雷のような轟音が響いて、三人は思わずその場にしゃがみ込んだ。
    「きゃっ…………!」
    「なんだ?!」
     魏無羨はすぐに立ち上がると、二人を助け起こして辺りを見回した。角を曲がったあたりからどす黒い煙がもうもうと漂い、周りの家の人たちが窓から様子を窺っている。煙の方角を見て、魏無羨の心臓はすぐに飛び出しそうになった。
    「……、急ごう、江おじさんと虞夫人のいる方だ!」

     そこから先は、魏無羨もよく覚えていない。結論から言うと、路肩に停めて三人を待っていた江夫妻の車に、発作を起こして意識を失った運転手の乗ったトラックが突っ込んだのだ。運転手は仕事のために覚せい剤を常用していて、中毒状態になっていたらしい。トラック自体はさほど大きなものではなかったが、不幸なことにガスボンベを運んでいた。一瞬で二台の車は原型を失うほど燃えてしまった。
     その光景を見て、江厭離はショックのあまり気を失い、江澄はその場に泣き崩れた。魏無羨はどうすることも出来ず、ただ立ち尽くした。

     江家は街の名家であり、事故の賠償に関する交渉と両親の葬儀を三人の未成年の子供たちが執り行うのは非常に困難だった。それに、この混乱に乗じて江家の土地で商いをしている者たちは、なんとか土地や建物を自分のものにしようと動き始めたのである。そこで援助を申し出てくれたのが、江厭離の婚約者の家である金家であった。皇室に連なる名家である金家の家長・金光善のもとに嫁いだ金夫人は、虞夫人と旧知の仲であり、二人は互いの子ども同士の婚姻を約束していた。
     そういうわけで江家の姉弟たちは、どうにか金家の支援のもとで両親の葬儀を執り行い、金家の後見の下で資産を守ることができた。四十九日が終わる頃には、三人の暮らしは表面上は元に戻っていった。
     魏無羨が江家のことをしてくれている金家の管財人に呼び出されたのは、それから暫くが経った頃だった。魏無羨はまだ中学生の江澄に代わり、しばしば彼から報告を聞いてあれこれ話をしていた。
    「魏さん、皆さんはお変わりないですか」
    「おかげさまで」
    「今日は、今後の江家の皆さんの暮らしに関しての相談です」
    「分かりました」
    「非常に心苦しい部分もあるのですが、…………順を追って説明します」
     魏無羨は淡々と話を聞いていたが、ここにいるのが自分一人で良かったと心から思った。管財人が言うには、金家と江家は互いに不測の事態が起こった場合に助け合うという取り決めを交わしていたのだという。魏無羨が書類のコピーを見た限り、それは紛れもなく江楓眠と金光善の筆跡で書かれていた。そこには、助け合う内容として、財産の保護や家族への援助、使用人の再就職先の斡旋などが細かに書かれている。
     しかし、問題であったのがこの書類が取り交わされた年月日であった。
    「魏さん……、申し上げにくいのですが、ここの『江家の者』の中に、あなたは含まれていません」
     これが取り交わされたのは、江澄が生まれて一か月が経とうとしていた頃である。魏無羨は三歳の頃に引き取られたので、まだ江家の中におらず、この書面のルールをどうにか適用しようにも、戸籍上赤の他人で養子縁組もしていない魏無羨には適用のしようがなかった。魏無羨が戸籍上赤の他人のまま養われていたのは、魏家の名前をなくさないようにという江楓眠の配慮だったのだが、かえってそれがここで問題となってしまっていた。
    「つまり、俺はもう江家の人間ではないから、江家の金で学校に行って生活しているのはおかしいってことだよな?」
    「…………そういうことになります」
     管財人はどうやらかなり魏無羨のことを思いやってくれたらしいのだが、魏無羨は江厭離の婚約者である金子軒と折り合いが悪かった。江厭離は金子軒のことを思っていたが、金子軒はそれで周りからちやほやされるのを嫌い、江厭離に冷たく当たることがしばしばあったのだ。魏無羨はその度に金子軒と喧嘩をしていたので、金家の人間からの心象が良くない。結局、高校卒業までは面倒を見るが、その後はすぐに家を出ていくようにという厳命が下された。
    「分かりました。金光善様には、くれぐれも感謝をお伝えください。それから、江家を頼みますと」
    「江家のお二人には、このことをお話しますか?」
    「いや、江澄がこのことを聞いたら、金家とひと悶着起こしてお前の今までの努力を水の泡にしそうだ。姉さんの結婚が破談になっても困るし、とにかくお宅ともめたら江家は潰れる。俺が奨学金の手厚い遠くの大学に行けば、多分なんとかなるよな?」
    「ま、まあ……、それはそうですが…………、――分かりました」
    「羅さん、ありがとう」
     管財人は魏無羨の判断に対してそれ以上口を挟まなかったが、自分の娘とそう大して変わらない年頃の魏無羨が、学業の傍ら江家のために管財人とともに土地の借主を訪ねて回ったり、役人の元を訪ねて回ったりしていたのを知っていたので残念な気持ちでいっぱいだった。残念ながら江家が下手を打てば、金家は約束を反故にして江家の財産をどうにでもできる立場だ。魏無羨の判断が適切であることは誰の目にも明らかだった。

     魏無羨は家に帰ってから、ここ数か月の様々なことを思い返した。何も良いことがない中で、江澄と江厭離が穏やかに暮らせることが決まったのは良いことだろう。金家に対して思うところはあるけれども、元々こんな裕福な家で自分が世話になっていたことの方がおかしいと思えば納得できた。魏無羨はふと、鏡を見て両耳に開けたピアスのことを思い出した。
    「藍湛の奴、今頃どうしてるかな…………」
     魏無羨が藍忘機にピアスを開けるようにせがんだのは、中学を卒業して藍忘機が引っ越す数日前のことだった。特に重大な理由はなく、元々卒業記念にピアスを開けたいと思っていたところに藍忘機がいただけだった。自分でやるよりもきっと器用な藍忘機がやってくれた方が、失敗なくピアスを開けられると思ったのだ。
     それから、魏無羨は何度かもう少し色んな所にピアスを開けようと思っていたが、藍忘機が開けてくれた場所が特別なように思えて躊躇していた。けれども今、何もかもを失いつつある魏無羨には、藍忘機にピアスを開けてもらったあの時の痛みが何でもないけれども幸せだった日々の象徴になっていた。彼は買い溜めていたいくつかのピアッサーで、思いついた場所にピアスを開けた。何度も皮膚を突き刺す針の痛みを覚えたが、どういう訳か穴が開くと不思議な安心感を感じた。
     自分の両親、それから育ててくれた江夫妻、そして、江家にいた自分。気がつくと両耳に一つずつだったピアスは三つと四つになっていた。

     魏無羨は数か月後、江厭離と金子軒の結婚式を見届けるとその足で空港に向かい、江家を出た。江澄には一枚だけ置手紙を残した。
    『遠くの大学に行く。暫く会えないと思うけど元気でやれよ!』


     江澄は進学先まで好き勝手にするなんてと思い、初めは異変に気付かなかったようだが、連絡を取る手段もなくなっている上、金家の誰も進学先を知らないということが判明して大慌てで探しに来たのだろうと魏無羨は結論付けた。
    「江澄から見たら、俺が好き勝手出て行ったことになっているからあんなに怒っているんだ。支えるって言ったくせに、潰れかけの家の再建策を建てるだけ建てて見届けずに出ていったんだから俺は裏切り者だよ。まあ……近くまで来てるんなら一回話さないとダメかな…………」
     魏無羨は苦笑したが、藍忘機は真面目な表情で魏無羨の手を取った。
    「君が責められる理由は無い」
    「だけど、あいつは金家と上手くやっていかないといけない。江家の後見は金家で、俺は全く関係ない他人だ。俺のことは忘れるように、もう他人だってきちんと言ってやらないと……。さすがにもう激昂して金光善を殴りに行こうとする歳ではないだろう」
     魏無羨が立ち上がると、藍忘機もソファから立ち上がった。
    「私も行く」
    「お前なあ……人の家の事情に首を突っ込むのか?」
    「君を逃がすのを手伝った」
     藍忘機がそう言うと、魏無羨は確かにどこかほっとしたような気分になった。
    「わかったよ。ありが……」
    「私と君の間にそういった言葉は不要だ」
     魏無羨はそう言われてすごく嬉しかったが、けれども藍忘機に何か報いたいという気持ちも強く感じていた。今度はピアスを外そうとしたが、もう藍忘機が開けてくれた場所以外には何もない。
    「どうしよう、もうお前のために出来ることがないよ」
     藍忘機は静かに首を振った。不思議とそこに普段の冷たい雰囲気はなく、魏無羨は温かさだけを感じた。
    「構わない。私は君が君である限りここにいる」
     魏無羨はこんな状況であるにもかかわらず、藍忘機の一言が嬉しくてつい笑ってしまった。
    「ハハハハッ……なんかさ、告白みたいだな? 冗談はこの辺にして、行こうか」
     どこの国でも未成年者の家出は騒ぎになるが、その未成年者が資産を持つ少年となれば大騒ぎになる。幸い、藍忘機の兄が保護している江澄と金家の間の連絡役になってくれているらしく、魏無羨と藍忘機も藍家の屋敷に出掛けることになった。
    「なあ、お前んとこの怖い叔父貴はいないよな?」
    「大丈夫、叔父上は仕事で成都にいるようだ」
    「よ、良かった…………。人の家の事情なのに会談場所まで提供させて悪いな」
    「構わない。元々金家は藍家とも先祖代々の仲だ」
     二人は何分かしたあとで来た迎えの車に乗りこんだ。

    (耳環⑤へつづく)
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    yamagawa_ma2o

    PROGRESS花怜現代AU音楽パロ完結編。幸せになあれ~~~!!!!!って魔法をかけながら書きました。ハピエンです。
    すみませんが、③以降は原作(繁体字版とそれに準ずるもの)読んだ人向きの描写がはいっています。

    金曜日くらいに支部にまとめますが、ポイピク版は産地直送をコンセプトにしているので、推敲はほどほどにして早めに公開します。
    よろしくお願いします。
    花を待つ音④(終) コンサート本番、謝憐はどういうわけか花城の見立てで白いスーツを着ていた。
    「哥哥、やっぱり俺の予想通りだ。すごく似合ってる!」
    「本当かい? なんだか主役でもないのに目立ち過ぎないかな?」
    「俺にとっては哥哥が主役だからね」
     そう言って笑う花城はというと、装飾のついたシャツに赤い宝石と銀色の鎖のついたブローチをつけている。ジャケットとスラックスは黒いものだったが、ジャケットの裏地から見える光沢のある赤い生地が華やかさと季節感を演出していた。
     師青玄も白いスーツだったが、彼の方が生成色寄りで謝憐は雪のように白いものという違いがあり、共通点と相違点が適度に見えて舞台映えする。師青玄は中に緑色のシャツを着ていて、謝憐はあまり中が見えないが、薄い水色のシャツを着ていた。
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    yamagawa_ma2o

    DONE天官賜福(英語版)読破記念&日本語版3巻発売おめでとうにかこつけて書いた初書き花怜。何でも許せる人向け。帯の言葉をどうしても入れたくて捻じ込みました。ネタバレというほどではないけど暮らしている場所とかが完走した人向けです。捏造モブ神官(名前なし)がちょっと出てきます。
    太子殿下弹奏古筝(太子殿下、琴を奏でる)「ガラクタや不用品を回収しています。お家の中に処分に困っているものはありませんか?」
     ガラクタ集めは、色々なことが終わった後の今でも彼の暮らしの中にある。八百年の中で染みついた行動は、中々変えることが難しいのだ。そういうわけで、謝憐は今日も朝からガラクタを集めていた。
     昔と違う点は、必ずしも生活をするためのガラクタ集めをしているわけではないことだ。謝憐はガラクタ集めに関してあまり苦労したことはないが、その昔は換金性の高いものが集められないと少しがっかりすることもあった。けれども今は、千灯観か極楽坊に持って帰って楽しめそうなものであれば、謝憐は何でも集めている。
     それに、ガラクタ集めからは人々の暮らし向きが見える。神々の噂話の書物を拾うこともあれば、打ち捨てられた小さな神像にこっそりと居場所を提供してやることもあった。貧しい村では拾った本を子どもに読んで聞かせたり、売れそうなものを自分たちの神像の横にこっそり置いていったりすることもあった。
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