受胎告知妊娠した。
男の俺が、子宮を持たない俺が、妊娠した。
思い当たる節はある。
妊娠しない体だからと避妊具の装着を怠っていた。
もちろんリスクがある事は認識していたから普段はつけていた。
だがバトルで負けたあの日、互いに余裕なんて一切なく抱き合った。
たまたまゴムの残量が少なく足りなかった。
そのたまたまで妊娠した。
数年前レントゲンを撮ったときには子宮なんて存在しなかった。
それなのに今ハッキリと写っているこの生命はなんだ。
いったい俺のどこで命を育てていんだ。
「前例がありません」
医者は言う。そりゃそうだ。
無かったモノが急に存在するなんて。
「このまま順調に育つ保証もありません」
「年齢的な問題もあります」
そんな事分かりきっている。
「このままでは天谷奴さんの命も危ないです」
分かっている。
「なるべく早く、答えを出される事をおすすめします」
生かすか。殺すか。俺が死ぬか。2人で死ぬか。