独占欲「俺はさ、どうやったら親父が俺の側からいなくならないか考えたんだよ」
ぽつりぽつりと話し出す。
目が合っているはずなのに何故か目が合っていないような気がして気持ちが悪い。
「例えば簓さん達を殺して居場所を無くしたとしても俺の所に戻ってこないしきっと俺の事を憎むだけだ」
「洗脳させて親父から離しても親父はまた違う仲間を作るだろうし俺がやったって気付くんだろうな」
ぽつり、ぽつり。
「だったらさ、親父と俺を結びつける何かがあればいいんじゃねぇかって思ったんだよ」
ぽつりぽつり、一郎が話すたび不安が募る。
「子供、作ろうぜ。俺の親父の子供」
「…は、ついにいかれたか?男同士でガキ作れるわけねぇだろ」
それに近親で子供を作るなんて倫理的にもアウトだろう。
「違法マイクを手に入れた」
「違法マイクでも人体の構造を変えるなんて不可能だ」
そんなことが可能であれば俺がとっくに開発している。
それはどんな手を使っても叶わなかった。
「あぁ、そうだな」
「それが分かっていてなんでお前はそんな馬鹿げたことを口に出すんだ」
ヒタッと指先を額に当てられる。
そこから伝わる温もりがやけに気持ち悪い。
「体は変えられなくても思考は変えられるんだろ」
「親父の体に子宮があるって認識させたらどうなるんだろうな」
「思考が感情に勝つのが先か、感情が思考に勝つのが先か楽しみだな、親父」