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    とわこ

    @towako71

    レツゴ(主にエリシュミ、シュミ右)とかレツゴストDKとか

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    とわこ

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    大人ミハシュミの世界のツガイの話

    「シュミット、大丈夫ですか?」

    エーリッヒに不意に訊ねられて、俺は目をぱちぱちさせた。
    自宅のリビングで、エーリッヒと気に入っている映画を見つつコーヒーを飲み、並んでくつろいでいる時のこと。
    心配されるような心当たりなんて、何も無かった。

    「大丈夫、って。何の心配だ?」
    「目の下にくまが。……睡眠はしっかりとっていますか?」

    エーリッヒは眉を寄せて、俺の頬に触れてきた。
    そのまま親指で目の下をなぞられる。

    「大丈夫だよ、少し疲れは溜まっているかもしれないが」

    俺は笑って見せて、エーリッヒの手を払い除けた。

    「疲れ……ミハエルに、寝かせて貰えない?」

    エーリッヒは、顎に手をやり、そう呟いた。
    ぽっと耳が熱くなる。
    図星だった。

    「ミハエルは、随分あなたにご執心のようですね。…まあ、こどものころから懐いてはいましたが」
    「違うよ、エーリッヒ。昨夜は私がミハエルにねだったんだ」

    静かに頭を振って否定すると、エーリッヒは「そうですか」と小さく呟いた。

    「あなたが、愛する人に大切にされているようで何よりです」
    「気にしてくれているのか?私のことを」
    「勿論ですよ」

    エーリッヒは穏やかに微笑んだ。
    昔と変わらないその微笑みに、ほっとした。

    「でも、ミハエルには釘を刺しておきますね。あなたをあまり酷使しないように」
    「エーリッヒ…そんなこと、しなくていいんだ」
    「いいえ。いくら恋人同士でも、節度は大切ですよ」

    全く、頭の固いことだ。
    ため息をついて、コーヒーを口に運ぶ。
    ミハエルにめちゃくちゃにされるのは、嫌ではない。……むしろ、大歓迎なのに。

    「シュミット…今、ミハエルのことを考えていましたね?」

    エーリッヒに指摘され、俺は驚いて顔を上げた。

    「何故?」
    「頬が少し赤くなりましたし、……その、なんとも言えない、見たことの無い顔をしていたものですから。そうかなと」
    「はは、参ったな。そんな顔していたか?お前は私をよく見ているな」

    俺が笑うと、エーリッヒは微かな溜息をついた。
    呆れた、という感じではないが……なんだかひっかかり、俺は首を傾げる。

    「どうした?」
    「…シュミット。小さい頃の約束、覚えていますか?」
    「約束?どの約束だ?」

    幼なじみだ、約束なんて今までいっぱいしてきた。どれのことを言っているのか分からなくて、俺は問いかけた。
    エーリッヒは懐かしそうに目を細めて語り出した。

    「まだ幼い頃……みっつくらいだったでしょうか、あの頃から僕はあなたの事が大好きで……大きくなったら僕のお嫁さんになってください、ってあなたにプロポーズしましたね」
    「……あったか?そんなこと」
    「覚えてなくても仕方がないです。随分昔のことですから。だけど、あなたの返事はJaでしたよ。……あの頃は、あなたも僕も、結婚とか、恋とか、全然分かっていなかった。でも、ただずっと一緒に居たかった」
    「……」
    「あなたは僕のお嫁さんになってはくれませんでしたけれど、こうして今でも僕を隣に置いてくれて、僕は嬉しいです」
    「エーリッヒ…」

    なんだかむず痒くて、でもエーリッヒから目を逸らせなかった。

    「これからも、親友でいてくださいね」

    エーリッヒは、にこっと笑った。
    ふふっと俺も笑う。

    「ああ、もちろんだ。ずっとお前は私の親友だよ」
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