夜が深まり、23時もとっくに過ぎた頃。
ミハエルはベッドには入らず、ソファにちょこんと座り、眠たい目を擦りつつ、まだ起きていた。
「眠たいなら、眠っても良いのですよ」
少し呆れたように言う隣のシュミットの腕に「イヤーッ!」と絡みついて駄々を捏ねると、シュミットは優しい溜息をつき、
「エーリッヒ、コーヒーでも」
とエーリッヒに言った。
ソファを立ったエーリッヒの背を見送り、ミハエルはシュミットの腕をまだ抱きしめたまま、上目遣いにシュミットを見る。
「あとほんの15分だもん。起きていたいよ」
「まったく。夜更かしはあまり褒められたことではないのですが」
シュミットはそう言いながらも、手にしている本ではなくミハエルに視線を向けてくれている。
1968