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    とわこ

    @towako71

    レツゴ(主にエリシュミ、シュミ右)とかレツゴストDKとか

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    とわこ

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    ブレ←シュミ←エリのひどいやつ
    後味が悪い
    皆悪いし誰も悪くない

    とっぷり日が暮れて、しかし夜更けと呼ぶにはまだ早い時間。
    「……まだ帰ってくるには早いか…」
    時計をチラッと見て、エーリッヒは溜息をつく。
    同室で幼なじみで親友、そしてエーリッヒが密かに想いを寄せているシュミットは今夜、ブレットに誘われてディナーに出掛けていた。
    ふたりきりで、だ。
    「行かせて良かったの?」「なんで許したんだよ」なんて、何人かの外野にイライラと訊かれたが、「他の男とふたりきりのディナーなんて行かないで欲しい」だとか言えるくらいなら、とっくにシュミットにこの思いを告白している。
    そうしないのは、シュミットがブレットに惹かれていると感じているからだ。彼がブレットを選ぶのならば、自分はせめて一番近しい友人でありたい。
    シュミットはブレットをライバルとして認めているが、それ以上に好意を持っていることは、彼らがふたりで過ごすことが増えるにつれエーリッヒにも察せられた。
    今までずっとエーリッヒと一緒だったランチを、ブレットと。シュミットがエーリッヒと過ごす休日は減っていき、ブレットと出掛けたりブレットの部屋で過ごすことが増えて。
    シュミットは幸せそうに嬉しそうに、その日ブレットとどのように過ごしたかをエーリッヒに語るのだが、エーリッヒはそれを聞くのが辛かった。
    はぁ、とまた溜息を吐いて、気分転換にコーヒーでも、と思ったその時。
    カチャッと部屋の扉が開き、シュミットが帰ってきた。
    「シュミット!お帰りなさい」
    飼い主の帰宅を喜ぶ犬のように、思わず弾んだ声を掛けるエーリッヒ。尻尾があればぶんぶん振っているかもしれない。
    「…ただいま」
    対して、シュミットは不機嫌だった。
    「早かったですね!コーヒー飲みます?それとも、ホットミルク?」
    「どっちもいらない。それよりちょっと聞いてくれ、ブレットのやつ!」
    ドサッとソファに座ったシュミットは、エーリッヒに隣に座れと目線で示す。
    「ブレットと喧嘩でも?」
    内心ふたりが上手くいかなかった様子をこっそりと喜びながらも、エーリッヒは心配そうな顔を作ってシュミットの隣に座った。
    「ディナーだぞ?ふたりきりだぞ?なのに、こんな早い時間に帰されて!」
    ぷんぷんとシュミットはエーリッヒに詰め寄って、頬を紅潮させてブレットの文句を言う。
    「ディナーの後、当然なにかあるとこっちは期待するじゃないか?セックスは無理でも、せめてキスくらい、って!」
    「セ…………だ、ダメですよ!そんなの!」
    「なんで!そういう雰囲気になるなら、してもいいと私は思っていたのに!」
    「ダメです!」
    エーリッヒがわたわたとしているのを見て、シュミットは乗り出していた身を少し引いた。
    「……………お前は私の味方をしてくれると思っていたのに」
    シュミットは唇を尖らせて、ぷいとそっぽを向く。
    「味方って。あなたがブレットとセックスするのを喜べと?」
    「そうだよ!アイツは私と一線を越えたくはないのか?アイツの理性を突き崩すだけの魅力が私にはないのか?」
    「シュミット、あなた、自分の年齢と立場を考えて──」
    言いかけて、エーリッヒはハッとした。
    あのいつも凛としている、気の強いシュミットの瞳がうるうると濡れている。
    「……ブレットと、恋人になりたい?」
    そんなこと訊くな、訊いたらこの秘めた恋もお終いだ、そう思いながらもエーリッヒはつい訊ねた。
    シュミットはこくりと頷いた。
    「アイツのことが好きなんだ」
    シュミットはそう言うと、隣に座るエーリッヒの肩にこてんと頭を預けて凭れかかった。
    「もう疲れた。どんなに誘惑しても、アイツは絶対に私に手を出さない。クールな顔をして『そういう態度は誤解を招くぞ』って……」
    「………ブレットには、他に好きな人が居るんじゃないですか?」
    エーリッヒはポツリと、心の内の悪魔に唆されるがままに呟いた。嫉妬でまともな思考が働かない。
    「………そうかもな」
    シュミットの声が少しだけ震えた。
    エーリッヒはシュミットの肩を抱く。そして、甘い声で
    「あなたに魅力が足りないなんて、そんなハズないですよ。僕はこんなにも、今すぐ齧りつきたいくらい、あなたに夢中なのに」
    と言うと抱き寄せる手に力を込めた。
    「エーリッヒ?」
    シュミットは弾かれたようにエーリッヒの顔を見る。
    一瞬離れかけた身体をエーリッヒは両腕で思い切り抱き締めた。
    「ブレットのことは、諦めた方がいいんじゃないですか」
    「諦める……?」
    「彼は男には興味がないのかもしれませんよ。じゃなければ、あなたに誘惑されて冷静でなんていられません」
    「………やっぱり、男同士じゃ上手くいかないのか」
    「ブレットとはね。でも僕は違いますよ」
    エーリッヒの言葉を、シュミットはじっと抱きしめられるままに聞いている。
    「今まで、あなたの気持ちを尊重して、僕の気持ちは押し殺してきましたけど……あなたの想いが実らないのなら、僕も黙ってはいられません」
    「エーリッヒ……それは、どういう…?」
    戸惑いと、………微かに期待の滲んだシュミットの声音。
    「僕と付き合いませんか、シュミット?キスだってセックスだって僕は喜んでしますよ」
    シュミットは大きく目を見開き、そしてくしゃりと泣きそうに顔を歪めた。
    「同情しているのか?」
    「いいえ。僕はずっとあなたが好きでした。あなたを幸せにしたい。あなたが望むことはなんでも全てしてあげたい」
    「……そうか。……それもいいかもな。もうブレット相手に頑張るのは疲れた。お前に甘やかされていた方が幸せかもしれないな」
    シュミットは溜息をつくような調子でそう言った。
    エーリッヒはそっとシュミットの唇に指で触れる。
    シュミットは抵抗しなかった。
    「キス、してもいいですか」
    エーリッヒが訊ねると、返事の代わりにシュミットは自ら唇を重ねてきた。
    触れ合った唇はすぐに離れた。
    「ブレットに相手にして貰えない、哀れな私を慰めてくれるか?エーリッヒ?」
    シュミットはエーリッヒの首に腕を搦めて、媚びるような上目遣いで甘ったるい声で言った。
    「もちろん」
    エーリッヒはそっとソファにシュミットを押し倒す。
    もう一度キスをして、今度は舌を絡め合い、シュミットの服の裾から手を差し入れた。
    触れた素肌は滑らかで、あたたかく、エーリッヒは残っていた最後の理性が崩れていくのを感じていた。
    「抱いてくれ、エーリッヒ」
    そうシュミットは言ったのか言わなかったのか。記憶にない程性急に、エーリッヒは興奮に任せてシュミットを貪った。


    翌朝、先に目が覚めたエーリッヒはシュミットの寝顔を見て頭を抱えた。
    このままではシュミットが遠くに行ってしまう、ブレットに取られてしまう、ずっと好きだったシュミットが、と、昨夜はカッとなってしまったが、冷静になるとどう考えたってやりすぎた。
    まさかシュミットがあんなにも抵抗しないどころか、むしろ進んで脚を開くなんて。
    後悔と、歓喜とが、エーリッヒの内でぐちゃぐちゃに混ざって暴れる。
    これからの自分たちはどうなるのだろうか。
    シュミットはエーリッヒのことをどう思う?
    溜息をつきたいような、喚いてしまいたいような、そんな気持ちでいると、隣で眠るシュミットが身動ぎをした。
    「ぅ………ん……、…エーリッヒ?…おはよう」
    とろんとした、寝起きの無防備な顔をして、シュミットはエーリッヒの名を呼ぶ。
    たったそれだけの事に、エーリッヒはきゅうんと酷く甘酸っぱい気持ちになった。
    「おはようございます。……身体、大丈夫ですか?」
    「……うん?ああ、大丈夫、気にするな。誘ったのは私だ」
    「いいえ、僕が殆ど無理矢理………あなたが傷ついているところに付け込んで」
    しゅんとするエーリッヒに、シュミットは
    「そんなふうに思っていたのか?」
    とふふっと笑った。
    「どっちが悪いとか、そういうのはナシにしよう。たまたまそういう雰囲気になって、好奇心と性欲に負けてしてしまっただけ。な?」
    「…………あなたはそれでいいんですか?ブレットのことが好きなんでしょう?」
    エーリッヒはおずおずと訊ねる。
    シュミットは少し寂しそうな顔つきになり、
    「ああ。好きだよ」
    とハッキリと肯定した。
    「だが私だって追うばかりでは疲れる。たまには誰かに甘えたくなっても仕方ないだろう?」
    「……そうですね」
    「これからも、私が色々と溜め込んで爆発しそうになった時は、お前が発散させてくれるか?」
    シュミットはじっとエーリッヒを試すように見詰めた。
    「それは………これからも、ああいうことを僕としたい、という意味ですか?」
    「ああ。…ダメか?」
    「………好きでもない僕に抱かれるのは、嫌じゃないんですか」
    「好きだよ、お前のことも。……いまはまだ、恋愛の好き、ではないがな」
    シュミットは少し眉を下げ、エーリッヒに手を伸ばす。
    「私はブレットが好きだが、お前の想いに応えたいとも思っているんだ。でも…この身体を差し出す以外に、お前の気持ちに報いる方法を思いつかない」
    「僕は…………あなたの気持ちを手に入れることは出来ないのですか」
    「さぁ?それは、これからいくらでも可能性はあるさ」
    シュミットは起き上がり、エーリッヒに顔を寄せる。
    「今は………ただ甘えさせてくれ。我儘で悪いが」
    そうしてシュミットはエーリッヒの唇をちゅっと吸った。
    「……あなたがそうしたいなら」
    エーリッヒはシュミットの後頭部に手を添えて、朝にそぐわない深いキスを返した。
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