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    doen2525

    ネタのメモやらチラシの裏レベルのらくがきやらの避難場所

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    doen2525

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    とある本丸の話

    ツバメの話今年も本丸の軒下に燕が巣を作っていた。それを見つけた長義は興味深そうにそれを観察している。気付いた国広が近づいた。「あんたは燕の巣を見るのは初めてか?」「そうだね……あれが雛か。小さいね」「ああ。ここは毎年燕が巣を作りに来るんだ。そうして毎年ここから巣立っていく。それを見ていると、とてもいい気持ちになる」「偽物くんもそういう感性を持ち合わせているんだね」「当たり前だ」
    燕は毎日せっせと餌を運び雛に与えていた。それを毎日見るのが長義と国広の日課になっていた。「毎年六月ごろになると巣立ちするんだ」「そう。それは寂しくなるな」燕の泣き声を聞いていると、ふいに懐かしい記憶がよみがえった。


    「ちょぉぎ、あれなに?」「こら国広。まだ打たれたばかりなのだから勝手に動き回ってはいけないよ」「あれ、あのくろいやつ!」「……あれは燕だよ。ツバメ」「つばめ?」「そう。今の季節になるとね、人の近くで巣を作って、数か月で巣立ちするんだ」「かっこいいねぇ、ちょぉぎ」「国広、俺のことは本歌と呼べとあれほど」「おれもすだちするのかなあ」「……そうだね、いずれはね」


    「本歌?」顔を覗き込まれて長義はびくっと肩を震わせた。「どうした?ぼーっとしていたが」「いや、なんでもないよ」「そうか……なんだかあんた、優しい顔をしていたから」「……冗談はやめてくれるかな」
    それから数日、巣はもぬけの殻になっていた。「無事に巣立ったのかな」「ああ、そうだろう」「来年も、再来年も……あの子たちはきてくれるだろうか」「ああ、勿論。ずっと来てくれるさ」口元を緩める国広を横目に見て、長義は「そうだね」と小さく笑った。
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    doen2525

    DOODLE100%捏造設定。モブ職員さんいますし喋ります。
    とある写しととある本歌のよもやま話山姥切長義は幼い姿で顕現した。それだけならよかったのだが自身の霊力のコントロールができず、しばしばその力を抑えられず暴走させ体調を崩していた。霊力をうまく扱えるようになり安定するまで時の政府管轄の医療機関に収容されることとなった。ここは合戦場で手入れですら治らない深い傷を負った刀剣男士が何振りも収容されており、治療を続ける個体、あるいは最期の時を静かに待っている個体がいた。
    「おれはほんかやまんばぎり。でも、おれはふかんぜんだから、かっせんにいくことも、ましてやかたなをふるうこともできない。おれは、どうして」
    そんなある日の事だった。霊力が暴走し、ベッドでうなされていた長義の元に誰かが近づいてくる。それは汗で張り付いた長義の前髪を指で梳き、優しく頭を撫でてくれた。そうすると、その日の夕方には症状がおさまっていた。とても懐かしく温かな大きな手のひら。ぼんやり覚えていた長義は、いよいよその誰かと対面する。その誰かは唐突に長義の病室を訪れた。一目でわかった、それは山姥切国広。長義の写しである刀剣男士だった。
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